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先制ゴールを決めた田中達(中)はサポーターを指差し雄たけびを上げた(右は永井=共同) [写真を拡大]
◆アジア・チャンピオンズリーグ準々決勝第2戦 全北0―2浦和(26日・全州) 浦和が26日、当地で全北現代とのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦を2―0で制し、日本勢初の大会4強進出を決めた。スタンドからは花火が打ち上げられ、石やペットボトルが投げ込まれる異常事態。興奮してラフプレーを連発する敵に対し、上唇に裂傷を負った日本代表DF田中マルクス闘莉王(26)ら守備陣が冷静に完封した。また、ホームにセパハン(イラン)を迎えた川崎は、PK戦で敗れ、準決勝進出はかなわなかった。
終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、観衆3万1000人を包んだ全州W杯競技場は壮絶な修羅場と化した。
歓喜の浦和に、一部暴徒と化した地元サポーターは、水入りのペットボトルなどをどんどん投げ込む。試合中、GK都築の頭上にロケット花火を100発以上打ち込んだスタンドでは、発炎筒が何本もたかれた。日本から集結した4000人の浦和サポーターが、ゴール裏で花火2発を打ち上げて勝利を誇ると、警備会社がゴール裏に殺到する異常事態に発展した。
「あんなのはサッカーではない。勘違いしていて腹が立った。観客にケンカは見せられない。負けたときは認めないといけない」完封勝利の立役者、DF闘莉王は激怒していた。相手DF陣が前半4分に先制点を決めたFW田中達、ポンテの足首を狙い、凶悪なタックルを連発。全北のある選手は中指を突き立て、FWゼカルロは意図的にベンチのオジェック監督に強烈なシュートを直撃させるなど、昨季王者はルール無用の肉弾戦を仕掛けてきた。
体を張った守備で最終ラインを支えた闘莉王も犠牲者となった。後半20分、相手から卑劣なひじうちを受けて昏(こん)倒。「歯は折れてなかったけど、(唇に)穴が開いた。飲んだ水が出てきた」上唇の右側は完全に裂けていた。
だが、決して挑発に乗らなかった。「監督からは荒れるだろうと言われていたので、冷静にできた」とMF平川。ゼカルロから殴られた激情家の都築も必死に耐えた。その結果、全北の2選手が退場となり、前回大会覇者の自滅を誘った。
敗北を許されない日韓戦を制した赤い悪魔。「日本のサッカー、そして、浦和レッズを世界に見せたい」と闘莉王は言い切る。準決勝では終われない。アジアの頂点をつかみ取る。
(2007年9月27日06時04分 スポーツ報知)