何気に点けた夜中のテレビや、車内で何気に点けたラジオ(しかもAM)でBUCK-TICKが流れる。しかもなんか曲がちょっと良かったりする。
しかしBUCK-TICKなんぞに引っ掛かったことなんて一度も無いはずなのに・・・
って嘘です。
22年ほど前になるでしょうか。
俺が高2か高3の頃、上京したてのBUCK-TICKのライブに行ったことがあります。
新宿JAMスタジオ。
パンク雑誌「DOLL」の、新人バンド紹介みたいなものすごくちっちゃい記事と写真を見て、とにかくその写真のメンバー全員の髪の逆立ち方が尋常ではなく、過剰を求める高校生としてはその髪型だけでビックリし、当時先物買いに命を賭けていた友人・田口君と一緒に行きました。
4バンドくらい出演するカンジだったのですが
BUCK-TICKは2番目か3番目でした。
客はほとんどいなくてガラガラでした。
演奏は下手クソでしたが、ルックスはパンク+ビジュアル系+ニューウェイブみたいなカンジでおもしろく(ヤガミトール・樋口豊兄弟はモヒカンだったような気がします)、ステージ前で田口君と二人でバカみたいにポゴダンスをしました。当時の言葉で言うと「ポゴる」というやつです。とはいえ、ポゴってるのは僕ら千葉の高校生二人だけでした。若さとは恐ろしいもので、ガラガラのライブハウスでもポゴれてしまうのです。曲もYMOをパンクにしたような変な曲ばかりでした。
ライブが終わって田口君とビールを飲んでいると背の低い男が声を掛けてきました。
ベースの樋口豊でした。
飲みに誘われました。
どこか居酒屋にでも行くのかと思ったらメンバー全員と電車に乗り、ボーカルの櫻井さんの家に行きました。たしか桜上水だったと思います。普通のボロアパートでした。
駅前の酒屋で買ったビールやら焼酎「純」やらを男7人で朝まで飲みました。あ、櫻井さんの同棲してる彼女もいたか。甲斐甲斐しくツマミを作ってくれたっけ。
何を話したかはまったく覚えていませんが、とにかくメンバー全員ものすごく良い兄ちゃんばかりでした。田口君が「どうやって髪を逆立ててるんですか?」と聞いたら「ダイエースプレーのスーパーハードだよ」と教えてくれました。寝る前にスプレーして寝て、寝癖を利用しつつ、さらにスプレーするんだと言ってました。
明け方になってみんなで雑魚寝して、目が覚めたら7時くらいでした。
田口君を起こして玄関を出る前にふと部屋を見ると、差し込む朝日の中、みんな髪を逆立てたまま寝てました。商店街を田口君とホテホテと歩いていると、前から櫻井さんが彼女と腕を組んで歩いてきました。ちなみにその彼女は櫻井さんより年上でおそろしく美人でした。
「あ」
「みんな寝ちったから散歩してたんだよ、あ、帰んの?」
「はい」
「じゃまた」
「またライブ行きます」
「うん」
ふと、田口君の手を見るとマジックで小さく「ダイエースプレースーパーハード」と書いてありました。
それから2回くらいJAMに行ったのですが
インディーズ(太陽レコード)デビューしたこともあってか
あっという間に女のコのファンでいっぱいになっていて
曲ごとに振り付けみたいな踊りも決まっていて
こりゃもうないわ。と思ってそれきり行きませんでした。
今年BUCK-TICKはメジャーデビュー20周年だそうです。
メンバーを一度も変えずに20年ってすごいな。
あれから22年、初めてBUCK-TICKのCDを買いました。
あ、テレビで観たのこれだ。
継続は力なりってやつですか。
って割に生演奏は相変わらずのような気もするし良い兄ちゃんぽさは変わらないなあ。