Hatena::Diary

書物蔵 : 古本オモシロガリズム

2007/9/29(土)

[][]著作権法の特別法:映画盗撮防止法

「ネット時代の著作権」『出版ニュース』(2007.9中旬)に「映画の盗撮の防止に関する法律」(通称:映画盗撮防止法)の解説がある(吉田大輔氏)。それによると、これは著作権法に対して特別法の関係にある法律で、著作権法30条1項(私的使用目的の複製)を、映画の場合は認めないというものだという。

もともと、著作権法30条1項のほうでも、私的複製を認めないもの(適用除外)を2つ*1決めているんだけど、それらは著作権侵害で違法ではあるが、違法性が軽微なんで罰則はなかった。今回、映画の私的複製は違法とするだけでなく、罰則もあるようにしたというわけ。

著作権法の特別法なので、防止法違反の罰則は、著作権法の定めによることになる。著作権侵害罪として10年以下の懲役又は1千万円以下の罰金(2007.7から施行)。

ただ吉田先生のいうところでは、封切り後8ヶ月したら適用されないなど、海賊版取り締まりのための限定的な立法なので、現在進行中の議論(私的複製の範囲をめぐるもの)への「影響は小さい」という。

特別法は一般法に優先する

って、べつにわちきは映画産業のまわしものじゃない。

特別法と一般法の話をしたいのだ。

法学出身でないわちきにフシギだったのは、日本法の形式。まるで単行本のようにそれぞれにタイトルがついていて、あたかもタイトル単位で一著作であるかのように見える。

いや実際、管理はタイトル単位でされているわけだが。法の適用(行政指導や裁判の判決)にあたっては、実は個別の条文(スレッド)が相互に関係しながらも個々に影響を与えるのだ。

なにをいいたいかというと、著作権の権利制限やその適応除外や罰則について、べつに「著作権法」で定められていなくても原理的にはかまわないということ。

続きを読む

小河内女史の前半生

このまえあんま期待せずマケプレから届いた本。

公共図書館とともにくらして / 小河内芳子. -- いづみ書房, 1980.8. -- (くさぶえ文庫 ; 11)

片々たる並装文庫本なんだけれども…

ぬぁーんとこれが! 昭和期図書館史の回想録なのだ。

著者は小河内, 芳子 (1908-) ‖コゴウチ,ヨシコ おそらく児童サービス関係でいちばん偉い人。まだご存命(のハズ)。三重出身。

図書館職員養成所 第9期生(23名)のひとり。首席で卒業したそう。

それほどコツコツと勉強した覚えもないし試験の答案もたいして自信はなかったので、びっくりしました。試験の要領がよかったのか、また他の人たちが私以上にボケーッとしていたのかのどちらかでしょう。(p.38)

で、謝恩会で流行歌を歌った同期がいて、松本館長をおこらせちゃったとか。この9期生ってあんま成績がよくなかったのかも。同窓会の「芸草会(うんそうかい)」もちょっくら出てくるんだけど、順調に運営されてたとさらりと書いちゃってるのは不正確。同窓会が並立してケンカになっちゃった件とかがない。

けどご本人は大変運がよく、世界恐慌の翌年にもかかわらず、帝国図書館と京橋図書館(東京市立)の2つから、おいでといわれたんだそうな。で、結局、京橋へ。秋岡梧郎館長が、児童サービスをおやんなさいと言ったからとか。

京橋図書館(東京市立)

これがまた昭和4年に建ったモダンなもんで。特徴は、1)公開書架室(開架)と2)実業図書室(ビジネス支援)と3)児童室。秋岡がコンセプトを作ったという。

続きを読む

*1:お店のダビング機や自分のパソコンでやる私的複製と、プロテクトをむりにはずしてやる私的複製。ただお店のコピー機はこの適用除外からさらにまた除外されていて、当分の間は違法ではない。

2007/9/28(金)

古本市で疲れる

五反田へ

9:30まえに着く。

ガレージを一巡して階段前あたりで本を見てたら、いつのまにか行列が形成されてて自分がなかに取り込まれているの気づく(×o×)

ありがたくそのまま待機(^-^;)目録ではとくにアテはないのだけどね

二階ではタイヘンな混みよう。よく考えたら今日は神田がない集だから古本マニアがみな集まっちゃったというワケ。

軽いものを3冊ほど拾う。

と、そこへ友人が出現し、ガレージでTRCの書誌データ(名称典拠)啓蒙パンフを拾ったとのこと(・o・;) ぜんぜん気づかなんだ…

それから早稲田へ

早稲田で

オタどんや南陀楼さんなど古本道の諸先輩方を後塵を拝しつつも一巡。1冊買う。友人はいろいろ買ってた。さすがですな。

その後古本屋街を廻るも、暑くってヘロヘロに。あんまマジメに廻れんかった(´・ω・`)

古書現世ではノラちゃんが寝ていた。わちきが行くといつも起きているのにね。

帰ったら

某さんから督促状が届いていた(´・ω・`) さて、どうすべえか。

たった今

書庫がわりに使っとる部屋で「紙魚(しみ)」らしきものを見つけ心底おどろく! って初めて見たよ。

書庫のクンジョウを思い立つ!`・ω・´)o

オタどんがナニを見せようとしているのか

推論してみた。

まず当該号の目次があるといいなぁと思い、とりあえず雑索をみたら採録誌かつ採録号であった。

そこで。。。

とりあえずどの記事でもいいから「申し込み」をクリックし、それで出てくる画面の右一番下「他の記事一覧」という部分をクリックすると、当該号の目次が擬似的に再構成できるという寸法。

朝日ジャーナル』24(50) 1982.12.10

p3〜4 文部省ある限り自由な研究などできぬ.歴史学者は闘わなきゃ--歴史学者 羽仁五郎

p10〜20 「鬼っ子政権」を生んだ自民党

p10〜14 中曽根新総理の異様な挙党感覚--国際舞台で何ができるのか

p12〜13 外国特派員はこう考える

p15〜17 ナカソネ政権の何が一番危険なのか--大手を振る「社会を忘れた政治」

p18〜20 かくてアベコベの神話的秩序は成りぬ--日本型「ビックマン」選びの政治人類学

p22〜26 日本遠近-6-私の目に写ったパリ文化の特色

p28〜30 特派員リレーエッセ---ニューデリー 祭りの季節

p32〜34 映画は"不動産的"投機の対象ではない--サレルノ映画祭で思ったこと

p47〜50 アメリカ少数民族を紀行する-下-"寛容ごっこ"で対抗する白人保守勢力

p67〜69 エミール・シュタイガー 鎌田道生ほか訳「ゲーテ」全三巻--古典主義なき困難な場所で徹底して読み込む(思想と潮流)

p86〜91 光芒の1920年代-57-コルシュ,ルカーチ,ブロッホ--マルクス主義ルネサンスの三連星(みつぼし)

p92〜97 Scene′82 上越沿線狂乱暮色

p94〜95 「寛歩、駕にかへ」を思う

p98〜102 虐殺のレバノンを行く-下-PLO--「市民」と「戦士」と「殉教者(マーター)」

p104〜107 軍事介入3年のアフガニスタン--ソ連軍を疲れ果てさせたゲリラたちの"パルチザン塊"(ルポ)

でも、オタどん指定のページは出てこないから、きっと広告かなにかなのでは。

神保町のオタ 神保町のオタ 『雑索の不備なのか、広告ではなく1ページ丸々蟻二郎なのだ。』

森 洋介 森 洋介 『 たしかに「雑誌記事索引」は、採録誌で採録號であっても時々、採録されてない記事がありますね(難癖と思はれぬやう實際に一例、吉益脩夫「日本犯罪学会の歴史」『犯罪学雑誌』29卷4號,1963.8,pp.21-23、とか)。凡例で何か記してないと採録基準あってのことか不備や見落としなのか判然としません。』

shomotsubugyo shomotsubugyo 『■国会の「記事索」で拾われていないもの(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20061230/p2)で基本的な枠組みはやったですが、いろいろまだ問題があるようですの。』

2007/9/27(木)

明治人物レファレンス辞典?

週刊読書人』(2007.9.28)の「人名事典の奥行きの深さ」という紀田順一郎先生と植田康夫氏の対談が載っている。

紀田 明治から大正の半ば頃、あまり人名辞典が出ていなかったので、人物論の盛んな時期があって、『明治文学全集』の木村毅が編纂した「明治人物論集」というのがありました。ああいうものが辞典の変わりになるんですね。

なーるへそ。するってーと、『明治文学全集』の索引って、明治人物レファレンス辞典の代わりにもなるのね。これを人名で引いて、そこに92巻に記載ありとあれば、人物情報がわかるという寸法。偉大なり『明治文学全集』の索引。

ちなみに『大正文学全集』も『昭和文学全集』も、「文学」の間口をせまくとっているうえに索引がないので、こーいった応用がまったく効きません。いや、逆に『明治〜』が偉大すぎるということかな。

日本レファレンス史書誌(A very very short annoted blography/bibliography of history about reference services in Japan)

正統的文献の世界

ふと気づいて、文献展望(集)をひもといたらレファ史単独で立項されとった(・o・;) なんともマニアック…というか、bibliomaniacってかbibliotheticmania???

田村俊作「レファレンスサービスの歴史」『図書館・情報学研究入門』三田図書館・情報学会 勁草書房 2005 p.174-177 英米レファ史研究をまとめつつ、日本レファ史研究についても載っている。

米英

 Samuel S. Green嚆矢(1876)説は、Rothsteinによる通説だが、Rは理念系を用いており得失あり。

 Readers' Advisory Service(読書相談)研究は、常盤(1978)薬袋(1993)

 行政・立法支援 根本(1989) 中林(1997)

欧州大陸

 なし

日本

 長沢(1995)「最も包括的」 北原(1970)戦前を概括 稲村(1971)帝国図 阪田(1993)大学図 薬袋(1993)志智論 金津(2002)戦前 

そんで戦後日本のレファ史はわちきのブログ

 わちき「日本レファレンス史のミッシングリンク」(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20050928/p1

 1950s-1960s 志智嘉九郎(神戸市立)の大躍進

 1970s-1980s 停滞 貸出中心主義の影響

 <年表>公共図書館参考事務二十五年の歩み(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20070327/p3

2007/9/26(水)

満洲紳士?!

いや驚いた(×o×)

だってサ

今日、十数年前に死んだおぢいちゃんを見たのだ(・o・;)

もちろん…

本のなかでなんだけどね(o^ー')b

このまえ復刻されたばかりの『中国紳士録』の解題を読んでたんだけど… そのなかに同じ編者(中西利八)が編集した『満洲紳士録』の話が出てきて、フト、これが入ってる復刻シリーズの索引を引いてみたのだ…

まさかと思っておぢいちゃんの名前を引いてみると…

ナントある!

同姓同名の異人だろうと思いつつ当該ページにあたると、どっかで見知った顔の、はじめてみる若い顔!

びっくりしますた…

某会社の営口支店長なんかやって、ヤル気満々にみえるおぢいちゃん… って、今のわちきよりも若いのだなぁ… それに、ある意味エリート(・o・;)

この数年後、なにもかもなくなってしまうのであった…(*゜-゜)

内地に引き揚げてきてからは、郷里にひっこんで、なんだか不遇だったよう…

こんな、ヤル気にあふれたキリリとしたおぢいちゃんを見たのは初めて(にして最後か)

資料というのは、こちらから働きかけねばなにも答えてくれんのですのぅ(*´д`)ノ

みんなレファレンスをしたいみたいですの

こんな資料がネットにころがってると、国会のメルマガにあった。

図書館職員の資格取得及び研修に関する調査研究報告書(平成19年3月)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/07090599.htm

わちき的にはあんまオモシロくなかっただけど、それでも部分的にオモシロかったのは…

p.75の司書有資格者が行うべきと思う業務についてのアンケート。

もちろん、アンケートだから、それが正しいというわけじゃないすよ。ただ、現場の草の根(草莽)館員たちは、そう思っているぞよ、ということ。

選択項目はこまかく設定されてるんだけど、ダントツでみなさん、司書有資格者がやるべきと思っているのはレファレンス・サービス。

(・o・;)ほへー。

つぎが選書。

ほほぅ、これって要するに、

司書有資格者たるべきもの、すべからくreference librarian(日語レファレンサー)たるべし

ということだね。あるいは

須らくsubject bibliographer(訳語:主題専門家)たるべし

ということか。

いや、これが正しいかどうかはわからんが。ともかく、みながそう望んじまっているということだわさ。

そんで、整理(目録)業務がその次くるかと思いきや、プロジェクト管理とかをすべき、と皆がいっているそうな。

その次に整理。ずいぶんと人気がなくなったもんですの。

貸出はといえば、その後ぐらいにつけてる。かなり低い数字ですなぁ(・∀・) でも、ちと意外。館界の専門誌を見ている限り、まだ貸出派の人は結構いるかと思ってたですよ。

これは…

実は現場には貸出派の人はいなくなりつつあるということだね。そしてレファレンス・サービスをやりたがっているという。

わちきの憶測(■やっぱり志智はレファレンスのチャンピオン(守護神)http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20070122/p1の「でも… 関西でもレファの機運?」)が当たりましたの(・∀・)

いやモチロン、レファが日本司書の正しい生き残り策かどうかというのは別の話として、のハナシ。

もちろんわちきに言わせれば「書誌のこともワカランで、効率的レファレンスなんぞできっこねー」とか、「今迄さんざっぱらレファレンスのことほっぽり出してきた歴史をまずレファーせよ」とかいろいろ言いたいことはあるがね。

神保町のオタ 神保町のオタ 『青弓社の大串夏身『図書館の可能性』って、「図書館の最前線1」となっているけれど、今後続々と図書館本が出るのかしら。』

shomotsubugyo shomotsubugyo 『知らんかった(・o・;) 勁草書房の「図書館の現場」シリーズにかぶっとるような気も(゜〜゜ )
大串先生は微妙に改革派だけど青弓社はどっちかつーと新左翼ながれだからそれ系が動員されるのかな。またもや東條先生あたりか。。。』