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(2006年4月3日掲載) 「新富裕層」と「劇団四季」売上げ230億円、利益率は20%以上、総資産207億円、株主資本比率が66%。まさに優良会社の数字です。どこの会社かおわかりでしょうか。劇団四季を運営する四季株式会社です。今や四季は東京、名古屋、京都、大阪、福岡に常設劇場を持ち、年間公演回数は3000回に上ります。1万円前後するS席から売れ、「キャッツ」や「オペラ座の怪人」「ライオンキング」など半年以上先の席が取れない公演もあるほどです。東京ディズニーランドを持つオリエンタルランドの数字(経常利益率9%、株主資本比率56%)を見ても、四季の優等生ぶりがおわかりだと思います。 レベルの高い俳優陣の層の厚さ、専用劇場とダブルキャストでロングラン公演を可能にする、海外での人気作品のマーケティング、質の高い上演演目、四季の会による観客の囲い込み、四季を率いる浅利慶太氏の経営能力等々、四季の特色を上げればきりがありません。ここで私が注目するのが、「新富裕層」の登場です。日本は「中流層」が厚いと、これまで考えられてきました。ところが、リストラ、成果主義の広まり、デフレ不況の長期化等で中流層が分裂しているように思われます。トヨタ自動車のレクサス、東京・銀座に次々オープンする高級ブランド店、などは勝ち組を意識したマーケティングでしょう。 従来の富裕層に比べ新富裕層の特徴は「質実剛健」「商品に付随したストーリー」「自分のスタイルの追求」にあります。ですから、ベンツに乗って100円ショップに行くのも矛盾がないのです。彼らは生活スタイルの核をとても大事にします。環境、健康、趣味、芸術にその核を求めます。そうした人たちが、四季を支えているように思えてなりません。自由劇場で上演されている三島由紀夫の「鹿鳴館」の観客席を見てみるといいでしょう。身なりのしっかりした社会的地位のありそうな紳士、20代30代のスタイリッシュな若者など、単に芝居好きといった観客とひと味違う人たちをたくさん見受けます。 オリエンタルランドの2007年3月期の四季報予想は連続減益です。入園者数は2年連続減ると見ています。 劇団四季とオリエンタルランド。人々の「気」が今どこに向かおうとしているのか、格好の材料を提供してくれています。 |
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