『珍味を求めて　舌が旅をする』(松川次郎、1924年)には次のようにある。


1930年刊　『新朝鮮風土記』 著者　師尾源蔵


1931年刊　『食』 　著者　大谷光瑞


キムチは朝鮮料理の代表として認められ、絶え難いほどに、匂いは臭いが、味は良いと、当時の日本の著名な食道楽の面々などから、絶大な賛辞を受けていた

「キムチが高い評価を受けていたのとは裏腹に高級な朝鮮料理の評価が低かった理由」

併合前の朝鮮の料理は下記の２つに分けられていた。それは、自然発生的に出現したバラックや露天で営業する原初的な店と女給や妓生をおいてサービスする朝鮮料理店である。

朝鮮総督府発行の月刊誌『朝鮮』(昭和12(1937)年8月号)　「味覚の朝鮮」著者　河野節夫


普通の料理屋では本当の朝鮮料理は味わえないとあるが、これはどういうことだろうか？

朝鮮の伝統社会には、大衆的な食堂や飲み屋は存在したが、日本でいうところの料亭や料理屋は存在しなかった。その役割を担ってきたのが名家･富豪の両班家であって、各地方の文化の中心をなすこれらの家々では、家伝の手の込んだご馳走を準備して来客者や招待者を接待するのが常であった。そのため、洗練された朝鮮料理は、これらの両班家でなくては味わえなかったのである。

一方、日本が朝鮮半島に進出すると、日本料理を提供する料理屋（料亭）が作られ、やがてこの形式を模した朝鮮料理の店が作られる。
 
初期のころの朝鮮料理屋の広告を見ると、「韓国料理特別改良交子」のように、わざわざ韓国料理と断ってあるものがあることに気がつく。また、西洋料理やその他の料理は、「各種西洋料理」や「各国軽便食物」の名で示されており、酒も朝鮮酒や日本酒だけでなく、ビールにウイスキーと、ブランデーからワインまで取り揃えている。

本格的な朝鮮料理屋は、1909年に京城に開業した明月館が最初といわれているが、ここの料理も、朝鮮料理や諸外国の料理が混ぜこぜで並べられていて『韓国の風俗―いまは昔―』南雲堂、1995年）尹大辰訳によると、夜の料理として出されるものは「西洋料理のシチューあり、日本食の茶碗蒸しやたくあん、それに中国料理のタンスッ（糖水肉＝天ぷらのあんかけ）まである」と記されており、朝鮮料理に西洋料理や日本料理をいろいろ混ぜて出していた。そのために、「品数は多いが、ちっともうまくない」と評されている。

また、料理が不味い原因を、「料理を味わうというよりは妓生連れで遊ぶのが目的で、料理屋（ヨリチプ）に足を運んだのだから、料理などはどうでもよかったと述べられている。

これらの高級店では、もともと、宮廷のお役御免となった料理人が料理を担当していて、だが、彼らはタン(スープ料理)だけ作る人、菓子だけ作る人という具合に専門が分かれており(著者　黄慧性、石毛直道『韓国の食』平凡社、1988年)、しかもその料理は宮廷の儀礼に用いるためのものであって、料理屋（料亭）の宴会料理に適していたとは限らなかったのである。

料亭や料理屋は日本から入った新しい産業であったが、これらは急速に浸透した為に、それをまかなうに足る料理人の確保が難しかったのも、朝鮮料理専門の料理人のレベルが低くなるとともに、西洋料理や中国料理・日本料理を取り混ぜて出す伝統が生まれ、これが朝鮮料理の発展を妨げた原因だと思われる。

結局、料理屋の宴会料理にふさわしい朝鮮料理を提供できるのは両班家に留まり、こうして、「真の朝鮮料理は朝鮮料理屋では食べられず、両班家でなくては味わえない」とする評価が生まれ、朝鮮料理の低い評価と、悪評は、日本国内に留まらず、世界的な常識となってしまったのである。

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元スレ（kimyounafutae氏）：朝鮮料理の評価が、世界的に、超ｗｗｗｗｗ低い理由をｗｗｗ超ｗｗｗｗ真面目に研究してみました