水戸地方検察庁土浦支部 溝口 裕子 検事(平成15年任官)

 平成17年4月から水戸地方検察庁土浦支部に配属となり,週1回他の検察官が起訴した事件の公判を担当し,その他に自分が配点を受けた事件の捜査と自分が起訴した事件の公判立会をしています。
 このように私の公判活動の経験はまだ浅く,私が公判に立会して印象に残っていることを紹介したいと思います。
 一つは,被告人が交通事故を起こして被害者を死亡させたという業務上過失致死罪の事件です。被告人は過失について否認していました。被告人が否認しているのですから当然と言えば当然なのですが,被告人から遺族に対して謝罪は全くなく,遺族の被告人に対する処罰感情がとても強い事件でした。
 私は,被告人が否認をしていても過失の程度などから執行猶予の判決が出てしまうのではないかと感じていましたので,きちんと被告人の過失を立証し,遺族の処罰感情も証拠としなければならないと思い,目撃者の証人尋問を行い,被告人質問で自分なりに被疑者の不合理な点を追及し,遺族の証人尋問を実施しました。
 判決は,執行猶予の判決だったのですが,遺族の方は私の公判活動に対して最後はお礼を言って下さり,私のつたない公判活動に対して,そのように言って下さったときは,恐縮するやら少しうれしいやらでした。
 また,否認の被告人質問で,期待していた不合理な弁解を言わせた時などは公判が楽しく感じることもあります。
 しかし,ほとんどは,自分の質問の下手さに落ち込むことばかりですので,これから質問する力を磨いていきたいと思っています。
 これからは,裁判員制度も始まりますので,新制度を勉強し,分かりやすい公判活動が行えるよう経験を積んでいきたいと思っています。

水戸地方検察庁土浦支部 溝口 裕子 検事(平成15年任官)

 
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