輪島市出身の漫画家・永井豪さんのアニメの海賊版がイタリアで摘発された。光あれば影が生まれる。世界を制する日本のアニメの、厄介な副産物である 「先生の若いときのお作です」と古い絵を持ち込まれ、本物かどうか判断に迷ったという画家の話を聞いたことがある。本人でも見抜けぬほど巧妙な偽物もあれば、稚拙な偽物を見抜けない曇った目もある。いじめを「ふざけ合い」としか見なかった教師、集団リンチが愛のムチに見えた相撲部屋の親方もいた 僧侶や民衆を弾圧するミャンマー独裁政権は、「国家平和発展評議会」と名乗る。かの国の「平和」「発展」は、自由と命を奪うことにあるようである 偽物作りは、軸装や箱書きにひときわ気を配るという。よろいの下から弾圧がのぞく「平和」、秘密警察が暗躍する「民主主義」、飢える民を放置する「人民共和国」、あちこちに偽看板が出る国際社会である 本物が分かる目利きになる近道はないという。偽物をつかまされ、高い授業料に懐を痛めながら目を肥やしていく。そうだとしたら、ミャンマーの人々はいつまで偽の看板と闘わなければならないのだろうか。
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