ここから本文エリア 神戸の防災力、アジアへ 4カ国の担当者、1カ月の研修2007年09月26日 インドネシア、スリランカ、パキスタン、トルコ。大地震や津波で大きな被害を経験した国の防災担当者9人が、8月末から神戸市中央区の国際協力機構兵庫国際センター(JICA兵庫)で研修を受けてきた。阪神大震災を教訓にした住民の自主的な防災の取り組みを伝えようと、JICA兵庫が神戸市と協力し、今年から始めた。神戸の知恵を、各国の防災にどう生かすか。26日には、締めくくりとなる発表会があった。
◇ 研修の主目的は、神戸市独自の自主防災組織「防災福祉コミュニティ」の趣旨を伝え、各国の地域の防災力を高めることだ。防災福祉コミュニティは、95年の阪神大震災以降、市の支援で小学校区ごとに住民が設立を進めている。市がスコップなどの資材を配備して活動費を助成し、住民が定期的に防災訓練を実施している。 研修生らは9月中旬、同市西区の桜が丘小学校で約220人が参加して開かれた防災福祉コミュニティの避難所生活体験に加わり、体育館に1泊した。 「なぜ、こんなに人が集まるのか」「中高年の参加者には報酬があるのか」。トルコのヤロバ県で防災計画作成などを担当するハカン・イラスランさん(34)は、コミュニティ設立時の代表だった山崎敏輝さん(69)に、質問を浴びせた。 「最初は約80人しか集まらなかった。地元企業に参加を呼びかけ、中学生でジュニア防災チームを結成した。子どもを参加させることが大人の参加を促すからね」。山崎さんは説明した。 ハカンさんは、99年の大地震で親類を亡くした。地盤の弱い場所に建てられた新しいビル群が、液状化現象などで崩壊した光景も目の当たりにした。 神戸のような防災コミュニティーをトルコにつくるとして、メンバー構成をどうするか。母親会、青年会、子ども会、環境保護団体……。日本と同様の組織があるが、住民らには「防災は政府の義務」という意識が強いという。 ハカンさんは26日にJICA兵庫であった発表会で、帰国後について「体験した宿泊避難訓練をやってみたい。参加を促すチラシを配って住民の意識を高め、NGO(非政府組織)との連携も図る。神戸と同じように行政が財政支援もする。神戸とのつながりを今後も大切にしたい」と話した。 ◇ 発表会では、他の研修参加者も自国の防災力向上への意欲を語った。 「1年かけて、草の根レベルで神戸市と同じような自主防災組織を設立したい」。パキスタン・パンジャブ州の地方公務員ムハマド・モシン・デュラニさん(34)は力を込めた。パキスタンでは、05年10月の大地震で7万人以上の犠牲者が出た。 インドネシアのロビ・モフド・アムリさん(28)は、国家防災調整委員会に勤める。研修中の今月12日、スマトラ島沖で大地震が起きた。毎朝、自国から情報収集しながら研修を受けた。「04年にスマトラ沖地震と大津波を経験したにもかかわらず、多くの住民は食料の備蓄など防災準備が不十分。まずは、災害時に危険な地域を示した防災マップをつくりたい」と話した。
PR情報関西ニュース
|
ここから広告です 広告終わり お知らせ関西の企画特集関西の特集
朝日新聞社から |