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【社会】

災害拠点の東十条病院、新患受け入れ中止 医師不足理由に 来月末には全科休診

2007年9月29日 夕刊

 東京都北区で医療法人社団りんご会が運営する総合病院「東十条病院」(馬場操院長、三百五十床)が、医師の確保が困難になったとして二十七日以降、新規の患者や救急搬送の受け入れを中止していたことが分かった。同病院は都の災害拠点病院の指定も受けているが、来月末には全診療科で休診する見通しで、再開させるめどは立っていない。

 同病院は一九九一年の開業。内科、外科、小児科、産婦人科など十六の診療科がある。地上七階建て。多い月は約一万五千人の外来患者が訪れるという。常勤医は現在三十人いるが、九割は日大医学部からの派遣を受けている。

 病院の説明によると、日大側から今年六月、「大学の医師が不足しており、内科医などの派遣を中止したい」との申し入れがあった。最終的に来年三月末までに十八人前後の派遣を受けられなくなる見込みとなったため、今月二十五日になって休診を決めたという。

 現在、約六十人いる入院患者については患者側と相談しながら来月末までに転院先を確保する方針。通院患者にも紹介状を用意するなどして転院を要請しているという。

 同病院の佐藤一幸事務長は「患者さんらには本当に申し訳ない。継続を目指しギリギリまで代わりの医師を探していた。医師を確保できれば再開したい」としている。

 一方、日大側は東十条病院の説明を否定。同大医学部庶務課によると、同六月に病院側から「複数の派遣医師が辞めることになっているので、代わりの医師を派遣してほしい」との連絡を受けたという。派遣は医師本人の希望を前提とする大学側では「代わりの医師を探してみるが、調整がつかないかも」と答えたという。

 その後、数日前になって突然、病院側から「全科休診する。実質的に閉鎖します」という趣旨の報告があったという。

 同課では「病院に在籍する(派遣)医師の中には今後も在籍を希望する医師がいるので、その医師の処遇に対応中」としており、「大学側から(派遣に)協力しませんと言ったことは一度もない。これでは大学側が組織的に協力しないと思われてしまう。早急に病院側に確認したい」と話している。

 

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