文部科学省が高校歴史教科書検定で沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の日本軍強制の記述を削除・修正したことの撤回を求める「教科書検定意見撤回を求める県民大会」(同実行委員会主催)が29日午後3時から、宜野湾海浜公園で開かれる。県議会のほか市町村、市町村議会、戦争遺族らの団体、婦人会、経済界、PTAなどが実行委員会を構成。超党派による大会となる。実行委員会は5万人以上の参加を目指している。同規模の県民大会は、1995年10月22日の米兵による少女乱暴事件に抗議する県民大会以来。八重山、宮古でも独自大会が開かれる。
大会では、「集団自決」の日本軍強制を削除・修正した教科書検定に対し、検定意見撤回と記述回復を求める決議を採択する。決議では、日本軍による命令・強制・誘導等の表現が削除・修正されたことに対し、これらの記述の回復を求めている。糸満市摩文仁の平和祈念公園から会場まで「平和の火リレー」が行われ、午前10時15分にスタートする。中高校生や教職員、子ども会の児童らが参加する。
大会では渡嘉敷村の「集団自決」生き残りの証言者と、座間味村の証言者(代読)が発言。仲井真弘多県知事のほか、女性、青年、高校生の代表らがあいさつする。
舞台には、仲井真知事と、独自大会を開催する宮古、八重山地域を除く県内全市町村長、県選出・出身国会議員、県議、教育委員長、実行委員会構成団体代表らが並ぶ。
「集団自決」検定問題が起きた後、市民らから県民大会開催の動きが起こり、県議会が検定意見撤回を求め意見書案を2度可決、全市町村議会でも意見書案を可決するなど全県的なうねりとなった。県外の地方議会でも検定意見撤回を求める意見書案が可決され、全国的な関心を呼んでいる。大会とは別に、市民団体などが4月ごろから始めた検定意見撤回を求める署名は9月までに県内外から約52万人分が集まった。
<ニュース用語>教科書検定問題
2007年3月30日、文部科学省が高校歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決」から日本軍の強制の削除・修正を発表。県民から強い反発が起こり、県内全41市町村議会と、県議会が検定意見撤回の意見書案を可決した。教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会では、沖縄戦を研究していない委員らによって、実質的な議論がないままに記述修正が承認されたことが明らかになっている。
(9/29 9:38)