Je n’avais pas l’intention d’aller à la mer.-en manière de Haruphilie

■[話題]権利者公認の二次創作に価値があるのだろうか？

“コミケの力”をアニメにも――“権利者公認”2次創作の祭典 (1/2) - ITmedia News

　「アニメの2次創作、権利者と一緒にビジネス化しませんか」――アニメ製作会社の団体・日本動画協会は今秋、こんな趣旨の企画「アニメ・チャレンジオーディション」を行う。著作権をがっちり守りながらビジネス展開してきたアニメ業界にとって、2次創作を広く許諾するという試みは異例だ。

　「鉄腕アトム」「魔法の天使クリィミーマミ」「機動警察パトレイバー」「新世紀エヴァンゲリオン」など、動画協会会員企業が権利を持つアニメのキャラクターやストーリーを広く開放。Flashアニメ、漫画、キャラクター商品、ビジネスアイデアといった2次創作を7〜8月に募集した。

　応募があった約70作品のうち、権利者の審査を通った11作品を、10月4日から開かれる「Japan Animation Contents Meeting 2007（JAM 2007）」（秋葉原UDX）で展示。来場する流通業者や玩具メーカーなどと、ビジネスの可能性について検討する。

　加えて、手塚治虫作品の2次創作を募集するサイト「OPEN POST」も11月にオープン予定だ。手塚漫画やアニメ、設定資料などを無償公開して2次創作を投稿してもらうサイトで、ユーザー同士で作品を評価する仕組みを備えるほか、権利者側でも作品をチェック。クオリティーが高いものについては商品化を検討する。

　「『（アニメ作品を）絶対使っちゃだめ』と囲わず、ちょっと開放してみれば、そこから新しい才能やビジネスが発掘できるかもしれない」――動画協会事業委員会委員長で、手塚プロ著作権事業局の清水義裕局長は期待する。

　発想のきっかけは、昨夏初めて訪れたコミケだった。「コミケには“グレートマイナーパワー”が集まっている」

話を勝手に一般化するマン参上！

6年同人作家やっていた立場から言わせていただくと、余計なお世話である。今回はアマチュアの肩を持つぞ。

二次創作の熱気の源や醍醐味は「勝手にやること」にこそある。元ネタの設定もよくわからんうちから妄想で作り上げた俺解釈キャラ・俺解釈ストーリーが出回り、ときにそれが一人歩きして絶大な人気を得る、なんてことは日常茶飯事である（ぼくの知る限りでは、bolze.などは俺ワールドの大家だ）。特に男性向けジャンルでは如何に早く飛びつくかが勝負を決めるということもあって、嗅覚の鋭い大手サークルの本には元ネタが展開されはじめたごく初期に制作された辻褄の合わないものが山ほどある。権利者から見たら首を傾げざるを得ないような。そしてそれが支持されるのだ。そういう人々にとっては、別に「こういうことになっているので活用してくださいね」などと設定資料を公開してもらわなくても結構という話である。というか、如何に密度の濃い妄想を叩きつけるかが二次創作の真髄である以上、ファンにとって面白いものが権利者の眉を顰めさせる可能性は高い。二次創作に関する限り、一切のクオリティは市場が決めるので権利者の審査など無用という言い方は有効だと思う。ほとんど仇敵と認識しているNaokiTakahashi氏の肩を持つようで気分が悪いが。

そして。これは作品によりけりではあるが、二次創作への欲求のなかで大きなウェイトを占めるものは何か？　エロだ。二次創作が量的拡大期に入るときの原動力は「この女の子のパンチラが見たい！」レベルのものである。現在急速に初音ミク絵が生み出されつつあるが、ぱんつ絵がどれだけ多いことか。ラクガキ王国で初音ミクを作ってみた。:アルファルファモザイクは9月9日時点での初音ミク萌えスレのまとめで（ちなみに初音ミク発売は8月31日）、ミク絵が24点掲載されているが、うち6点がパンチラ絵なのだ。現在の状況は初音ミクニュースや初音ミク専用たんぶらで見ることができるが、エロ絵は着実に増えつつある。そしてこれが同人マンガになるともう途端にエロだらけになる。一般にコミケで大手と呼ばれるサークルのうちどれだけがエロに手を染めていることか*1。11月3日の初音ミクオンリーイヴェントは凄まじいことになると改めて予言しよう。

で、エロが権利者様の審査に通るのか果たして？　元記事に即するなら、クリィミーマミの二次創作なんてロリエロマンガ以外の何が求められるというのか。つーかこの応募可能なアニメ作品一覧、そもそも二次創作市場的にしょっぱいタイトルばかりで、それでもウケるネタを考えるともうエロくらいしかない（ちなみにぼくは『ほしのこえ』のエロ同人誌を作った前歴がある）。二次創作をビジネスにする*2ということは売れるものを考えるわけで、たとえば今『パンダコパンダ』でわずかでも売れる可能性のあるネタなんて、もうあのガキとパンダの獣姦くらいしかないではないか。パトレイバーなら今最もホットなカップリングであるところの後藤×荒川、いやそれはおれとKAOLUが読みたいだけだ。『sola』なんて七オナる、もとい七尾奈留と久弥直樹のコンビがエロの含みとして機能している（『含み』については2000年12月4日の中里一日記を参照）。含みは受け手の期待するお約束・テンプレへのインデックスでもあり、外すと往々にして白ける類のものである。「これでエロやらないなんてお前、何考えてんだ！」と*3。『地獄少女』と『よみがえる空』はとにかく能登麻美子キャラをいやらしい目に遭わせるのが鉄板。……なんだかろくでもないことしか書いていないが、本当にそれくらいしか二次創作やる人が作りたそうで、かつ売れそうなネタがないんだもの。かろうじて作り手・権利者・買い手の三者が満足しそうなのはボトムズ・エヴァ・パトレイバー・トップあたりのガレージキットくらいのものでしょう。あーあとはフィギュアか、それにしたって実は女の子のスカートが取れてパンツが見えることが命だし。

ことほどさように、権利者が許容できる二次創作と、作家が作りたくて受け手に求められる二次創作は乖離しているものだ。コミケへ行ったのなら、あの猥雑ないかがわしい空気こそが二次創作の生命力であるとわかるだろうに。そして、全面的に同意するわけではないが、よく言われる「アングラ文化は猥雑だからこそ面白い。公に認められた途端それは滅びる」という文句にも一面の真実はある。われわれオタクは二次創作に誇りを持っているし、世間様に胸を張れるが、権利者にお墨付きなど頂きたくはないのである。しょーがねーなこいつら、でもまあ人気のある証拠だし目瞑っといてやるか、という大人の余裕をこそ見せてほしい。

※しかし、それと元ネタの制作者を不当に軽視するオタクの増長はまったく別問題である。先日の記事の「評価のフレーム」に即して言えば、「二次創作の元ネタ」としての評価と「一次創作」としての評価は峻別されるべきで、前者としてダメだから後者としても糞などというのは愚の骨頂だ。」

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