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光市母子殺害事件 被告は死刑を回避できない


09月25日(火) 17時55分
文:高塚智  



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差し戻し控訴審を報じる9月21日付北海道新聞 
 殺意を否認するならば、1審の無期懲役判決は控訴して然るべき。

 9月20日、広島高裁で光市母子殺害事件の差し戻し控訴審が開かれ、遺族である本村洋さんと被害者となった本村さんの妻・弥生さんの母親の意見陳述が行われた。

 筆者は一度も公判を傍聴していないが、報道によるとこの日、本村さんは被告に対して「君の犯した罪は万死に値する」と述べたという。

 山口県で1999年4月14日に発生したこの事件は、残忍極まりない犯行態様に加え、遺族の感情を逆なでにする被告の発言も相まって、死刑を望む向きは多いはずだ。

 当時会社員だった18歳の被告は、排水検査を装って同市在住・本村さん宅に侵入、弥生さん(当時23)と長女の夕夏ちゃん(同11カ月)を殺害したとして、殺人、強姦致死、窃盗の罪に問われている。

 まず、事件と裁判の経過を振り返りたい。

 1999年4月18日 会社員の少年を逮捕

 1999年6月4日 山口家裁が少年審判で検察官送致を決定

 2000年3月22日 1審・山口地裁は無期懲役(求刑・死刑)を宣告。検察が量刑を不当として控訴

 2000年9月7日 広島高裁で控訴審初公判。

 2002年3月14日 広島高裁は、被告に無期懲役を言い渡した一審判決を支持、検察の控訴を棄却

 2002年3月27日 検察が広島高裁の控訴審判決を不服とし、最高裁に上告

 2006年6月20日 最高裁第3小法廷が「特に酌むべき事情がない限り、死刑を選択するほかない」として2審・広島高裁の無期懲役判決を破棄、審理を高裁に差し戻し

 2007年5月24日 広島高裁で差し戻し審初公判。弁護人が殺意や強姦目的を否認、傷害致死罪を主張

 2007年6月27日 差し戻し審初公判の集中審理被告人質問で被告が「(夕夏ちゃんを入れた)押し入れはドラえもんの何でも願いをかなえてくれる四次元ポケット」と話し、殺意を否認したことが報じられる

 差し戻し控訴審は、20日で実質的な審理を終え、今後は検察、弁護側双方が意見を延べて結審する。

 少年法は第51条(死刑と無期刑の緩和)で次のように定めている。

 「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する」

 換言すれば、18歳、19歳の年長少年には死刑を宣告できるわけであり、光市母子殺害事件の被告は、事件当時18歳と30日だった。

 来年出されるはずの判決は、間違いなく死刑となるだろう。その理由は批判が集中する弁護団の訴訟姿勢や被告の差し戻し控訴審の証言内容からではなく、前述した事件と裁判の経過を踏まえれば、明らかだろう。

 1審・山口地裁の無期懲役判決を不服として控訴したのは、死刑を求刑した検察側であり、被告や弁護人ではない。

 被告人は供述を変遷し、最高裁での弁論時から殺意や強姦目的を否認している。差し戻し控訴審では、その理由を検察官から「レイプが目的でないと言い張るなら死刑の公算が強くなる」と述べたという。

 しかし、被告は被害者を侮蔑する内容の手紙を知人に送っており、殺意がなかったとの抗弁に信用性はない。

 母子2人に対する殺人を認定した2審も、計画的な犯行を認めなかったにすぎない。

 被告や弁護団が主張するように殺意がないとすれば、事件自体が傷害致死や強姦致死の類いとなる。そうであれば、無期懲役を宣告した1審及び2審判決は、被告にとって極めて厳しい量刑であり、判決を不服として控訴するのが当然だろう。

 にもかかわらず、控訴しなかったことは、求刑通り死刑を宣告されなかったことに安堵したからではあるまいか。

 よって差し戻し控訴審で殺意の認定が覆ることは考えられず、死刑以外の判決はあり得ないはずだ。

 高裁判決を破棄した最高裁には、最高裁が死刑を宣告する自判と、審理を差し戻す2つの選択肢があった。光市母子殺害事件は後者となった。

 仮に最高裁が死刑判決を自判していれば、その段階で死刑は確定する。

 未成年に対する死刑判決は、前例が限られており、慎重な審理が求められる。この事件の場合は、量刑や事実の認定に重大な影響を及ぼす新証拠を提示するチャンスが与えられたことになるが、新証拠が出てくる可能性は考えられず、死刑を免れるすべはないだろう。

 多くのマス・メディアは被告に対し、「元少年」なる呼称を用いている。現在、裁判で殺意を否認し、「ドラえもんの四次元ポケット」などと話しているのは、26歳の被告であり、少年時の被告ではない。

 死刑廃止論の是非は自由であるが、「元少年」の呼称が一般化してしまう日本の現状は、死刑廃止論者を側面的に支援する結果とも言うべきものである。 







■市民記者 高塚

1965年、小樽市生まれ。札幌市在住の市民記者。高校在学中にオートバイの事故で失明。鍼灸・マッサージ治療院を経営。スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を用いて原稿を書く。






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