「戦士の思い出」






彼は僕の憧れだった・・・。

僕がソルジャーを目指したのは彼がいたからだ・・・。

理由は簡単。

好きな女の子に認めて欲しかったんだ。

いつも仲のいい友達と一緒で

僕の事なんか存在すら気づかない

そんな彼女を振り向かせたかった。

でも僕は話すことが苦手だった。

自分の事ばかり思いに浮かんで

彼女との楽しい会話なんて思いつかなかった

そんな僕が目指した道はソルジャーになること

女の子達に人気が高かったセフィロスの様なソルジャーになって

彼女を振り向かせたかった。


いつも考え込んでしまって行動出来ない僕が

勇気を出して故郷を後にしてミッドガルに向かった

セフィロスに会うために

彼に聞いてどうしたら好きな女の子の心をつかめるか聞きたかった。

どうしたら一流のソルジャーになれるのか・・・・・。

僕はその機会を伺っていた。

でも数年神羅にいてもそんな機会はめぐってこなかった

僕にはソルジャーになる素質がないと諦めかけた時

護衛の兵士の一人としてセフィロスの旅に同行する事になった。


しかしそれは自分の故郷ニブルヘルムに戻る旅だった


僕はソルジャーになると言って出てきた手前

ニブルヘルムに戻るのはとても嫌だった

特にテファには会いたくなかった。

気づかれないように帽子を深めにかぶり

ニブルヘルムの門まで来た



「どんな気分だ?故郷というのは・・・?」

先を行くセフィロスが僕に振り向いて聞いた。

「私には故郷というモノがない・・・・どんな感じだ・・・?」

そういえば僕は彼との旅に出るまで

彼の事をほとんど知らなかった。

ソルジャーになるまでの過去を知らない。

彼のソルジャーとしての成功を羨んでいたけど、

彼の個人的な事は何一つしらない。

好きな食べ物の一つも・・・・。

僕は自分の事ばかり考えている自分が少し恥ずかしかった。

故郷をしらない彼が少し寂しそうに見えた。


でもこの旅でセフィロスは変わった。

変わってしまった。

自分の過去を知って・・・・。

それがとても苦痛を伴うモノであることを知って・・・。

彼はこの時壊れてしまったんだ・・・。

自分の力のみを信じ他人を排除し続けた

誰の言葉も聞こうとしない・・・・

彼の悲しみはそれほど大きかった。

誰も彼を救えない。

あまりに大きな変わり様に僕は戸惑い

彼に何か言わなくてはと思った


そう思っていたのに不器用な僕は

何一つ彼に言うことが出来なかった。





彼が旅の時々に現れては僕を呼ぶ

「ここまで来い・・・・・追ってこい。」

どうして僕を呼ぶのか・・・・?

彼と対になっていったい彼の何が分かるのか・・・?

僕には分からない・・・・でも旅は続いた。


最後の旅の終わり・・・・


彼の憎しみが星の破壊を望むほど

大きく脹らんでいた事に気づいて恐怖を感じた

彼はそれほどの力を手にいれてしまった。

戦いを重ねて強くなって来た僕を見て

彼はうっすらと微笑みを浮かべて前方に立っていた

「来たな・・・ようやくここまで・・・・・待ったかいがあった」

彼の微笑みにはそんな意味があるように思えた


彼の力の前で恐怖に震える唇をキツク結んで

手に力を込めて剣を構えた

多くの混乱を僕に与え・・・・

苦しむ姿を見て楽しんだ彼・・・・。

怒りにも似た彼への想い



力が全て・・・・

剣が鳴るその音が全て・・・・・

手に伝わるこの振動だけが身体に伝わる

彼に心は無い・・・・どんなに言葉を伝えようとしても

彼には伝わらない・・・・。

その苦しさは・・・・・

彼には伝わらない・・・・・

彼が信じているのは鍛え上げられた戦いのみだから・・・・・。

本当は彼とは戦いたくない

彼は今でも僕の憧れだったからだ

憧れた彼はもう目の前にはいなくても

彼と剣を交えるたびに

彼の中にそれが無いかと探し続ける

彼はその力によって全てを捨てたけど

僕は捨てられない

彼と同じにはなれない

弱い僕はまだ子供の時と同じだ・・・・。











ADVENT CHILRENを見てFF7がもう一度やりたくなって
やったらクラウドの過去に触れる部分が出てきて
クラウド→セフィロスの思いが書いてみたくなって書きました。
こんなんクラウドじゃない〜〜〜〜!!
というツッコミもあるかと思いますが
2次創作物ゆえどうかお許し下さい〜〜〜。

クラウドは私にとっては
戦いは上手いけど不器用な人という感じです〜〜。