×ゲーム


6月6日、今日は神田の誕生日
会社帰りに仲間と一緒に
神田の誕生パーティーをする事になっていたのに
アレンは急に仕事が入ってしまって
行けなくなってしまった
レストランでの食事の予約を取ってあったので
リナリーに電話して断ってもらった
神田に直接電話なんかしたら
きっと約束を守らない奴は嫌いだ!!
とか言って話も聞かずに切られそうだし、
それなら仕事を断って誕生パーティーに
行けばいいと思うかもしれないけど
恐〜いクロス課長の命令は
今年入ったばかりの新入社員の僕には断れない
クロス課長は自分では仕事を全然しないのに
僕には仕事を山ほどくれて
自分はデートの約束があると言って
さっさと5時には帰ってしまった。
あんなに仕事をしない上司なのに
彼女はいるなんて、
世の中不公平だな〜。
そんな事を考えながら
一人残された営業課の部屋で
明日までに提出する書類を作っていた
そんな時
リナリーからメールが来た
(仕事頑張ってる?)
僕が返す
(うん。みんないる?)
たしかラビと神田とリナリーの3人のはずだけど・・・・
(アレンが来れなくなったから急遽クロちゃん誘ったよ〜)
流石リナリー。
僕のいない穴埋めを作ってくれたんだ
これで神田に次に会っても
断った事をそれほど気にしないで済む
(神田は?怒ってる?)
彼の誕生日より仕事を取った僕に
彼はどう思っているんだろう?
気になったからリナリーに
聞いてみた。
(私が見た限りではいつもと変わらないよ〜)
もともと口数が少なくて
何を考えてるか分からない人だけど
約束を守らないのをとても嫌うので
やっぱり怒っているだろうな〜〜。
アレンが仕事をこなしながらため息をつくと
またメールが来た
(お前。まだ仕事?バカじゃないか?
あの上司の仕事、真に受けて)
明らかにリナリーじゃない口調
ムっとして読み終えるとまたメール
(ごめんね。今の神田。
私がアレン君にメール打ってるって言ったから・・・)
リナリーにはすぐにメールを返した
(気にしないで。
じゃあ仕事まだあるから終わったらメールするね。)
アレンはそう返して携帯を閉じた
時間を見ると7時すぎ
まだ10時ぐらいまでかかりそうな量だったので
アレンは会社を出て
近くにあるコンビニに弁当を買いに行った
この弁当代は上司に払ってもらおう・・・・
そう思ってレジの人から領収書をもらう。
コンビニから外に出て会社に戻ろうとしたところ
後ろでクラクションの音が鳴った
チラリと振り向くと毎日会社で見慣れた
神田の顔がそこにあった
驚いて駐車場まで走って行くと
神田はもう車から降りてエレベーターの前で
腕を組んでアレンを待っていた
アレンがエレベーターまで走って行くと
彼が先に口を割った
「よう!新米モヤシ!仕事は、はかどってるか?」
今日は誕生日でみんなと楽しく食事をしてるはずの本人。
彼は僕をモヤシと呼ぶ。
嫌だから止めてと言っても
「モヤシをモヤシと呼んで何が悪い!」
と言って止めてくれない・・・
気を取り直して神田に聞いた
「みんなは?」
アレンは神田の車の方を見ながら言った
神田はエレベーターに乗り込むと
ドアを締めるボタンを押しながら言った
「2次会に行った。」
「ふ〜ん。で。神田は行かないのか?」
アレンは神田の態度に少しイライラしながら言った
神田は全然気にする様子もない
「彼女とデートだと言って断ってきた。」
神田が先にエレベーターを降りると先を歩いていく
アレンは彼の肩越しに皮肉たっぷりに返した
「それはそれは・・・・・
そんな忙しい君が何で僕に付き合ってるのかな?」
神田はチラリと視線を向けると
アレンが残業している部屋に入っていく
「彼女とは10時に待ち合わせしてるからそれまでの暇つぶしだ。」
そういってアレンの机の上の書類に手を伸ばすと
ひとつひとつ片づけて行く
「それはどうも・・・・。」
アレンはまた皮肉たっぷりにそう返す。
神田に彼女がいたなんて初耳だ。
こんなカタブツと付き合う女が世の中にはいるんだな。
いやクロス課長みたいに
女の人には優しいのかもしれない
アレンは神田に仕事を任せて
買ってきた弁当を食べながら、
そんな事を考えていた。
神田がチラリとこちらを向いた
「何?」
アレンは弁当を食べ終わって神田に聞いた
「お前・・・俺に言うことがあるんじゃないか?」
神田は書類をさばく手を休めて言う
「・・・え?」
アレンは少し考えて
思い出した様に左手の平を右手拳で叩くと言った
「そうだった!神田。誕生日だったね。おめでとう〜。」
アレンは精一杯の作り笑いを作って神田に微笑んだ
「僕が言っても全然嬉しくないだろうけど・・・・。」
アレンはまた作り笑いをして付け加えた
神田は何も言わずに
アレンに手を差し出して来た
「え?何?」
アレンは神田の意図が分からなくて聞いた
「くれよ・・・・。」
神田は口を尖らせて言う
「だから何を・・・・?」
アレンも口を尖らせた
「誕生日と言えば・・・・・・。」
神田が両手で四角を作る
「あぁ〜!プレゼントか!何がいい?」
でもそんなの当然用意してるはずがない
「えっと。後日今日のお詫びを兼ねて持っていくよ。」
アレンは書類を整理しながら言う
「今。くれ。」
神田の声が低くなった気がして
アレンが机から顔を上げた
「無理だよ。用意してないから。
次の休みに買ってくるから何がいい?」
アレンは笑いながらそう言うと
神田の顔が目の前に来た
「へっ・・・?」
驚いて目を見開いていると神田の唇が触れてくる
「なななな・・・何?」
アレンは慌てて彼から離れると
神田がアレンの肩を掴んだ
「5分で済むからじっとしてろ。」
そう言ってまたキスをしてくる
「ちょっ・・・とっ待った!そういう事は彼女に・・・してっ・・・ムムム。」
強い腕の力で肩を抱きしめられて動けない
アレンはもがいてみたけど
離してくれそうもない
どうして僕が神田と・・・・?
会社のこの部屋で
こんな事をしてるんだろう?
合わさっている唇とは裏腹に
変に冷えて冷静になっていく頭・・・・。
目の前にフっと白いモノが広がったかと思うと
アレンは気を失ってしまった。
「チッ・・・。モヤシめ。」
神田の舌打ちする声が聞こえる
アレンは身体は動かないけど声だけは聞こえてた
神田が気を失ったアレンを床に寝かせると
アレンの机に戻って仕事を片づけていた
小一時間ぐらいたった頃
神田が床に寝ていたアレンの腹を足で揺らした
「おい!起きろ!終わったぞ!!」
「う〜〜〜ん。」
アレンはまだ気を失っていた
神田がまた舌打ちして
アレンを壁にもたれさせた
神田はアレンのシャツのボタンに手をかけて
器用に外していくと
首から胸へと手の平を滑らせていく
「ううん・・・・・。」
アレンはくすぐったい感触に目を開けた
そこには神田が自分の胸元を触っている光景が見えた
「神田!!」
驚いてアレンが彼の手を払うと
神田の唇がまた合わさって来た
「ぐぅ・・・・・。」
アレンは力が抜けて動けなかった
それをいいことに神田の動きが大胆になったので
恐くなって彼を思いきり突き放した
「神田!嫌だってば!!」
アレンはやっと声が出せたが
神田は拒まれて不機嫌極まりない声で言った
「お前が。欲しいモノくれるって言ったんじゃないか!」
アレンは神田の声にビクリとして言う
「そ・・それはそうだけど・・・!」
アレンは、はだけたシャツを直そうとたが
神田がその手を止めた
「じゃあ今日。俺の誕生日。お前の10分をくれ」
真顔で恐い顔の神田・・・。
「あれ・・・?5分じゃなかったの?」
アレンはキスされた時、そう言った彼の言葉を覚えていたので
冗談交じりに答えた
「俺を拒んだから5分延ばした。」
神田がまた真顔で答える
「はは・・・・。罰ゲームですか・・・・。」
アレンは神田の隙を見て立ち上がったが
神田がまた肩を捕らえて抱きしめた
「往生際が悪いな・・・・もう観念しろ。」
「・・・・・。」
変に優しい声を出した神田に
アレンは何も答える事が出来ずにいた。
僕をモヤシと言って
からかってばかりいた神田
仕事が遅いとか
そんなやり方は甘いとか
僕のやることなす事、ケチを付けて
僕は神田に嫌われていると
思っていたから
まさか、こんな事になるなんて
それこそ夢にも思わない・・・・。
「何で僕なんだ・・・?」
まだ目の前の事が信じられないと言う風に
アレンは天井を見つめながら呟いた
神田は大人しくなったアレンに
またキスすると
顎の線と首筋を撫でながら言った
「さあな・・・・・。」
6月6日
今日は神田の誕生日
アレンは神田の告白?を受けた
夢だったら覚めて欲しい・・。
そう思う夜だった。
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とっても短くてスミマセンです。
6月6日が神田の誕生日だったので
それを題材にして
神アレを会社員パラレルで
書いてみました。