イラク、パレスチナと紛争地取材 「信念の人」長井さん2007年09月28日01時10分 ミャンマー(ビルマ)で亡くなった長井健司さん(50)さんのインタビュー記事を02年にとりあげた隔月発行の雑誌「みるとす」編集部の谷内意咲さん(35)は「過激な紛争地を行き来するジャーナリストでありながら、物静かな人だった」と語った。 長井さんが取材したイスラエルの映像に登場する現地の人の言葉を谷内さんが和訳したことで、知り合いに。同誌インタビューの中で、長井さんは「私は取材をしながら、いつも『何ができるのか、どうすれば(紛争地の)問題が解決するのか』と考えています」と話した。 長井さんはパレスチナについて「現地の生の声を聞くと、パレスチナ人に実質的な応援をしてくれる人が誰もいないということが痛いほど分かります」と分析。その上で、「彼らをどうやって救うことができるのか、これからも問いながら取材を続けていきたい」と結んでいた。 映画配給会社「アップリンク」(東京都渋谷区)の宣伝担当の女性社員(28)は、「穏やかで信念のある方だった」と声を詰まらせた。長井さんは、今年公開されたパレスチナ映画「パラダイス・ナウ」の監督が来日した際、密着取材した映像を編集してテレビ局に売り込むなど、映画PRに協力してくれた。「年末に映画がDVD化されるので、トークショーをやりましょうと話していたのに」 「どんな危険があったのか分からないけど、なぜ彼が、という感じだ。イラクの時はかなり慎重だったのに」。イラク戦争で空爆が始まって間もない03年春、一緒に戦火のバグダッドに入ったというフリーカメラマンの嘉納愛夏さんは、驚きを隠せない。なぜ長井さんは、危険な地域に足を運んだのか。「チャンスがあれば、我々業界の人間は誰でも行くんじゃないでしょうか」と話した。 イラクでは、手術をしたイラク人少年が必要としていた大量の紙オムツを、アンマンからバグダッドに運んだことを覚えている。「一見穏やかそうだが、内側に熱いものを持っているという印象だった」という。 パレスチナ問題に詳しいジャーナリスト重信メイさんは、3年半前から何度も長井さんとともに、ハマス幹部取材など中東に関する取材をともにしてきた。「危険でも自分の力で取材して、見た通りに報道したい。長井さんはよくそう語っていた」と話した。 PR情報この記事の関連情報国際
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