病院のそとへ出ても、まだ怒りはおさまっていなかった。
ふざけるなよ〜。待合室で順番を飛ばされたのである。
患者の苗字が医師とおなじだったから、あれはもしかしたら縁故で、
意図的な順番替えだったのか。
新患だったから、これで20分も待たされた。
もちろん苦情を言うわけである。
「わたしのほうが順番は先だと思うのですが」
待合室にいる全員がわたしに注目する。
こういうことを日本人は言ってはならないのである。
無言で辛抱しなければならない。「おしん」かって!
看護婦さんも、この手の抗議にはなれていない。
病院では医療サイドが偉いのである。反旗をひるがえすなど、もってのほか。
おまえら患者は医療がOKしなければクスリひとつ入手できないのだよ〜という姿勢。
むろん、あちらがわの手落ち。
いちおうの謝罪はしてもらうが、顔を見るかぎりわたしを無粋なやつと認識している模様。
中島義道先生ならここでひと悶着起こすのだろうが、なんの肩書きもないわたしには無理。
今後も通いたいこともある。ぐっとこらえました。
ぷんぷん。いいやい。
現実から逃げてやる〜と言って入るのはブックオフ新宿靖国通り店。
「文藝別冊 総特集 河合隼雄」(河出書房新社) 105円
「退屈論」(小谷野敦/弘文堂) 105円
あっちゃんの「退屈論」は以前調べたときは絶版になっていたけれども、
いま検索すると在庫僅少。もしかしたら増刷されたのかな。
いんや、売れ残りの在庫がまた店頭に出ただけかもしれない。
小谷野敦はいまわたしがもっとも注目するブロガーである。
2ちゃんねるのヲチ(観察)スレッドともどもおかしくてたまらない。
小谷野敦周辺には笑いの原風景がある。
笑うものが笑われるという構図が実に笑えるのである。
すなわち、小谷野がバカをあざ笑う。2ちゃんねらーが小谷野に失笑する。
小谷野が2ちゃんを挑発する。このような連鎖がたまらなく笑える。
むろん、わたしも名無しで2ちゃんへ書き込むことがある。
そうそう。匿名についてこの際、書いておきたい。
あっちゃん(小谷野先生)は匿名を毛嫌いしているようである。
なにか意見を言うのなら名を名乗れとたびたびお書きになっている。
言い訳をする。恥ずかしいのである。
たとえば、白石昇先生や工藤伸一先生――。
だれも知らないでしょう。そのくせ実名で発言しているかれら――。
端的に恥ずかしいのです。
わたしも自己顕示欲の面では両先生に劣らないものをもっています。
けれども、かれらにはない羞恥心も同時にもちあわせている。
新人賞でも取ったら、名前を公開します。
ふたつか、みっつくらい取ってから。恥ずかしがりやなのであーる♪
ともあれだ。遅ればせながら「もてない男」小谷野敦先生、結婚おめでとうございます〜。
つぎなるブックオフは大久保明治通り店。
早稲田大学理工学部のすぐそばである。だからだろう。毎回、ろくな本がない。
ブックオフは地域によってかなり品ぞろえが変わるぞ。
いつ行ってもそれなりの収穫があるところもあるが、
反対にいつ行こうがダメなところもある。
ここは早稲田の古書店街へ行く途次にあるので覗いているだけ。
「紅花」(井上靖/文春文庫)絶版 105円
「黒い潮・霧の道」(井上靖/文春文庫)絶版 105円
井上靖の文庫は定期的に補充する必要がある。
まあ、悪くはない買物である。
炎天である。公園を抜けて早稲田へおりる。子どもが水遊びをしていた。
ブックオフ早稲田駅前店へ行くが収穫はゼロ。
思えば、引越前に大量に本を売却したのはここであった。
早稲田大学本部キャンパスへ行く途中にある古本屋にも顔を出す。
おそらくわたしの在学中もあったのだろうが、通うようになったのは卒業後である。
ここで「ストリンドベリ名作集」「オニール名作集」を格安で入手したのだった。
その恩があるから、いまでも早稲田へ行くとかならず寄ることにしている。
1冊買う。たしか半年以上まえに来たときもあったような気がする。
考えてみれば、あいだにアジア漫遊をはさんだので、この界隈に来るのは半年振りだ。
「シナリオマガジン ドラマ 1988年5月号」(映人社)入手不可 200円
山田太一ドラマ「夢を見たくて」のシナリオが掲載されている。
以前来たときは100円でなければ買わないと思ったのだったか。
いまのように山田太一のシナリオを読み込むようになるとは思わなかった。
こうなったら当然、買いである。
それから、それから。どこのワゴンで買ったのだったか。
「三田文学 2006年 秋季号」 100円
一部で話題になった片山飛佑馬クンの「アパシー」が掲載されている。
「三田文学」の編集長って、まだ加藤宗哉だったんだね。遠藤周作の金魚の糞(ふん)。
師匠に人生を食いつぶされた弟子が、七光りで編集長ですか〜。きんもっ。
浅川書店前にシナリオ雑誌が大量に積まれている。
びびっと来ましたね。1冊ずつ手に取り収録シナリオをチェック。
うふふ。予感的中。4冊ほど購入する。400円。
なかでもお宝は浦山桐郎特集号である。
「私が捨てた女」「キューポラのある街」「非行少女」のシナリオが掲載。
「キューポラのある街」のシナリオは是が非でも入手したいと思っていた。
とても好きな映画である。なぜかシナリオも読んでみたくなるなるのだ。
映画監督・浦山桐郎は原一男さんの師匠。わたしからすると祖父師匠である。
あとは「女の園」(木下恵介)シナリオ。「藍より青く」(原作山田太一)シナリオ。
山田太一が青年期に自主制作した映画のシナリオ掲載号もゲット。
もうこのへんまで来るとマニアックでだれもついて来れないと思う(苦笑)。
最後にブックオフ高田馬場店。
「人間のなかのX」(遠藤周作/中公文庫)絶版 105円
「説得術」(増原良彦/講談社新書)絶版 105円
遠藤周作のは大学生時代にずっと探していた本である。
つい買ってしまったけれども、まあ、読まないだろうな。
ふうう。引越してしまったから高田馬場から自宅へ帰るのがたいへんである。
けれども、書物の収穫はなかなかのものである。
列車のガラス扉にうつるわが顔はどこかニヤニヤしていて気味が悪い――。
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