Gedolの感想

2007-09-19

[]原因とリスク

何が悲しいって、ハイライトをKENTのスーパーライトに変えたら驚くほど喘鳴が減った事。痰自体が減ってるからなぁ・・・。


ところで、

喫煙と肺癌の関係も同様の手法で、さらに言えば複数の集団においてさまざまな交絡因子を排除した研究で繰り返し証明されている。

NATROMの日記

コレで判明するのは疫学調査の仕組みから言って、喫煙のリスクだと思うんだけどなぁ。主体的行動である喫煙は環境要因を排除するのが難しいし、喫煙と肺癌の関係でトリガー調査したって話は聞いたこと無いし*1

JTが金出してやらせてる「どの物質がどの部分にどの様な効果を与えるので癌になるか」みたいな研究しないと「原因」は言えないと思うけど。多分養老氏が言ってるのはコレと「インチキ統計*2」ネタのコトじゃないかと。


前にも書いたかもしれないけど、嫌煙さんたちは何でCOPDや喘息みたいに「煙草がどんな悪さをしているか」判っているネタを使わずにヨタがかなり混じってる「癌」に拘るんだろう。

少なくとも私は喘息発作と煙草の関係を否定する喘息スモーカーには出会った事が無いぞ。


追記

ブクマコメント>NATROM [トンデモ][ 医療] 喫煙"群"のリスクになることを認めて、喫煙そのものは肺がんの原因ではないとでも思っているのかな?

「喫煙群のリスク」ってのは「喫煙」という指標で括られた群のメンバーのリスクが高いという事で、この「指標」をすなわち「原因」としてしまうなら、それは科学ではないと思う。

例えば「C因子」という何らかの因子があって、ソレが「喫煙習慣」と「肺癌」の双方の原因となっている場合、「喫煙」という指標で統計を取ったら実際のと同様のデータが得られることが予想されるが、この群のメンバーから「喫煙」のみを除去しても肺癌のリスクが下がる訳では無い*3

NATROMさんはこのケースでも「喫煙そのものが肺癌の原因」と主張するのだろうか?


ふつう、「強い相関関係がある」って表現するとおもうけど?


更に追記。

上で言ってるJTが金出してる研究のやつ。やっと見つけた。

http://www.srf.or.jp/20nen/20nen-frame.html

あと、インチキ統計ネタも同じところにあった*4

http://www.srf.or.jp/histoly/frames/history-frame21.html

コレ見つけた当時、2chでは「どうせJTが金出してる研究だから・・・」と嫌煙さんたちには無視されてた様な記憶がある。

*1:っていうか可能なのか?

*2:煙草では受動喫煙リスクのデータが恣意的統計作業をされているって話が有名だと思う

*3:もちろん「喫煙」を除去された事による自発的な代替措置によって「C因子」が取り除かれる可能性も否定はしないけど

*4:はじめからコッチで探せば簡単にヒットしたのか

NATROM NATROM 『具体的に「C因子」とは、どのようなものを想定されていますか?多変量解析など、交絡因子の影響を除外する方法はあります。もちろん、「未知の交絡因子があるかもしれない」とか言いはじめたらいくらでも言い逃れはできるでしょうが、それこそ、「喫煙が肺癌の原因であるかのようにみせていた真の原因であるC因子」を発見できればノーベル賞ものです。「C因子を持つ群のメンバーから「喫煙」のみを除去しても肺癌のリスクが下がる訳では無い」ことが示されるまでは、「喫煙そのものが肺癌の原因の一つ」とみなされます。本当に「C因子」なるものが存在するのであれば、煙草会社がいくらでも研究費を出してくれるでしょうが、まだ見つかっていないようですね。

喫煙と肺癌のようなきわめてよく確立された疫学的帰結を「ヨタ」と言うのであれば、Gedolさんは医学的の大部分も「ヨタ」と言わねばなりません。COPDと喫煙の関係はお認めになっているようですが、疫学的調査以外にも強い証拠(トリガー調査とやら?)があるのですか?水俣病の原因が有機水銀であることは、喫煙が肺癌の原因の一つであるのと同様に、疫学的に確立された事実だと私は考えます。「ヒトに水銀を与えて水俣病を起こした」実験はなされていません。水銀が水俣病の原因であって欲しくない人なら、「例えばC因子という何らかの因子があって、ソレが有機水銀の摂取と水俣病の双方の原因となっている場合、有機水銀の摂取という指標で統計を取ったら実際のと同様のデータが得られることが予想されるが、この群のメンバーから有機水銀の摂取のみを除去しても水俣病のリスクが下がる訳では無い」とか言いそうです。糖尿病は動脈硬化性疾患のリスク要因と考えられていますが、Gedolさんはこれを「ヨタ」とお考えですか(糖尿病とは別のC因子が糖尿病および動脈硬化性疾患のリスク要因かもよ)?

喫煙と肺癌の因果関係をヨタと言ってしまえば、その他の多くの医学的事実とみなされているものもヨタとなってしまいます。Gedolさんがそのように主張されているのなら一貫性はあります。しかし、喫煙と肺癌の因果関係にのみ高いハードルを課しているのであれば、単に、何らかの理由で喫煙と肺癌の因果関係を認めたくないダブルスタンダードな人なだけです。

「どの物質がどの部分にどの様な効果を与えるので癌になるか」という情報は、あったほうがいいのはいいですが、医学では(とくに臨床の場では)重要ではありません。動物実験や試験管内でいくら発癌性があるとしても、人体でどうなるかはやってみないと分からないではないですか。人体実験はできませんが、疫学調査はそれに準じるものです。複数のよくコントロールされた疫学調査は、実験動物や試験管内での実験よりも信頼できます。』 (2007/09/20 10:01)

Gedol Gedol 『人の主張を変えないで欲しいなぁ・・・。

あのー、私は「疫学的帰結」をヨタと言ってるのではなくて、疫学的帰結から導き出されるのは「肺癌の原因の候補」でしかないのにソレをすなわち「原因」だと強弁するのはヨタだと言ってるんです(だからリスク要因と表記されるんでしょ?)。

そして、「C因子付きのケースだ」と主張しているのではなくて、「C因子付きのケースでも煙草が原因だとされる事になるが、それでもいいのか」と問うているんですよ。

で、「未知の交絡因子があるかもしれない」って主張を潰すために、疑いのあるヤツについて因果関係の実証的研究をするわけでしょ?水俣病の時もそうだったし、煙草についてだって一応やってる訳で。

COPDの場合は疫学的調査の結果を提示される以前に発生の仕組みをおおまかに説明された時点で喫煙者にはグウの音も出ませんからねぇ。

あと、「臨床の場」でリスクに着目した対策を取るコトは別におかしいコトではないでしょう。機序情報が重要ではないってのはどうかと思いますが、「可能性を潰す」行為が(他の悪影響がない限り)文句を言われる筋合いはないと思います。つまり「原因」である必要はないんですよ、技術屋的発想ですが。』 (2007/09/20 22:55)

D D 『原因の定義

ある要因Aを付加し、Bという出来事の発現率が増加したなら、AはBの原因という。

これが、「原因」の定義です。 リスク要因というのは、「原因」という意味ですよ。』 (2007/09/21 10:39)

D D 『補足すると、「因果関係」の概念には、決定論的なものと確率的なものがあります。 生命現象については決定論的な因果関係は馴染みません。
「因果関係」とは何か? については、古くから科学哲学の議論があります。 
疫学における因果関係の推論方式は、「因果関係」をめぐる科学哲学の議論を知らないと理解しにくいかもしれません。

疫学的帰結から導き出されるのは「肺癌の原因の候補」ではなくて、「肺がんの原因」です。
Gedolさんは、決定論的な因果関係をイメージされているのでしょう。』 (2007/09/21 11:26)

NATROM NATROM 『Dさんの指摘でほとんどすべてですが、Gedolさんの「原因」という言葉の意味が、医学で通常使っている「原因」という言葉の意味と、異なっているようです。Gedolさんによれば、「アスベストは悪性中皮腫の原因である」「糖尿病は心筋梗塞の原因である」という主張もヨタだってことになりますが、その理解でよろしいですか?

COPDでは「発生の仕組みをおおまかに説明された」そうですが、喫煙と肺癌の関係だって「発生の仕組みをおおまかに説明された」と私は思いますが。in vitroでもin vivoでも多くの研究があります。参考のためにお聞きしますが、COPDにおける「因果関係の実証的研究」って、具体的にどの研究ですか?「COPDでは発生の仕組みをおおまかに説明されたけど、喫煙ではおおまかにも説明されていない」なんて主張は、喫煙に関する研究を相当数知っていないとできないと思いますので、Gedolさんの説明を期待しています。』 (2007/09/21 12:38)

D D 『連続投稿ごめんなさい。 もうちょっと補足しておきます。

C因子だけの場合の発がん率は5%だが、C因子+喫煙だと発がん率は10%になる。 この5%の増加は喫煙のせいだ。
これはいいですか? 喫煙は肺がんの原因だ、というのはこういう意味です。
問題は、喫煙群と非喫煙群を比較してこの増分を検出するには、両群にC因子が等しく入っている、または、両群でのC因子の影響は等しい、という条件が必要です。 Gedolさんが指摘されているように、もしかすると、喫煙したいという欲求を起こさせる因子が肺がんの原因になっているかもしれません。 

そこで、こう考える事にします。

1.喫煙は肺がんの原因である、という仮説を置けば、多くの研究において、一貫して喫煙が肺がんの原因であるという結果が出ていることを合理的に説明できます。ですから、喫煙は肺がんの原因だとするのが妥当です。

2.喫煙が肺がんの原因でなくても、未知の要因Cが存在し、それが喫煙と肺がんの両方の原因であれば、一貫して喫煙が肺がんの原因であるという結果が出ていることを合理的に説明できます。ですから、喫煙は肺がんの原因だとするのが妥当ではありません。

のどちらが、より科学的でしょうか? より少ない仮説で事実を説明できるほうが、よりよい科学理論だとされていますが、いかがでしょう?』 (2007/09/21 13:17)

Gedol Gedol 『NATROMさん、私は「喫煙では(肺癌の場合?)大まかに説明されていない」なんて言ってませんよ。私の言う「原因であるという言明」をするための研究がある程度進んでいる(5年ぐらい前の時点でエントリで上げたJT系?の研究資料で見て、「ああこりゃ時間の問題だ」とあきらめてますもん)コトは認めてるじゃないですか。

Dさん、「因果関係」についてはなんせ法律系機械屋崩れなもんでどうしても決定論的になります。しかも、今回の件は「決定論的因果関係の主張に対する反論に対する再反論に対するツッコミ」であると私は理解していますが。なにせ元ネタは禁煙ファシズムなんですから。

「より科学的」の方なんですが・・・一瞬「やっぱ1かなぁ」と思ったものの、ナンか変ですね。

1.喫煙は肺がんの(決定論的)原因である、という仮説を置けば、多くの研究において、一貫して喫煙が肺がんの(確率的)原因であるという結果が出ていることを合理的に説明できます。ですから、喫煙は肺がんの(決定論的)原因だとするのが妥当です。

と補って再帰を防いでも、やっぱり変です。ま、それはおいといて。

で、これらの説が成り立つためには「多くの研究において、一貫して喫煙が肺がんの原因であるという結果が出ている」という前提が必要ですが、今回のエントリではこれが「喫煙群である事が肺癌の原因である(あぁ、変な表現だ)という結果が出ている」ではないの?と言ってるので両方とも成り立たないんですけど・・・。

まぁ、「いや、こういうサンプリング方法を使えば「群のリスク」ではなくて「喫煙そのもののリスク」であると絞り込める」って具体的なネタを投下されたら私の方はソレで投了なんですけどね。』 (2007/09/22 00:05)

Gedol Gedol 『言い忘れ。
念のため言っときますが、COPDにしろ喘息にしろ肺癌にしろ「これこれこういうワケでこうなるんだよ」と説明されても「理解した」というつもりなどありません。扱ってるモノも道具も専門外だから反論できないってだけです。だから禁煙を勧めるときはそういう「反論できないネタ」を提示できる病気を中心につかった方がいいんじゃねぇか、と言ってた訳で。

なまじ反論可能性のあるネタを使われると、ソレが「禁煙しない言い分け」を生み出しちゃうって事です。』 (2007/09/22 00:19)

通りすがり 通りすがり 『 どんなに疫学データを示されても、「私にはあてはまらない!」って叫べばすべて無駄ですよね。
喫煙者って、そういう人が多い気がします。』 (2007/09/22 00:37)

NATROM NATROM 『お互いの理解のため、

・Gedolさんによれば、「アスベストは悪性中皮腫の原因である」「糖尿病は心筋梗塞の原因である」という主張もヨタだってことになりますが、その理解でよろしいですか?

という質問にお答えをお願いいたします。


>私は「喫煙では(肺癌の場合?)大まかに説明されていない」なんて言ってませんよ。

ええっ?じゃあ、『嫌煙さんたちは何でCOPDや喘息みたいに「煙草がどんな悪さをしているか」判っているネタを使わずにヨタがかなり混じってる「癌」に拘るんだろう』という主張との整合性は?『喫煙と肺癌の関係の「発生の仕組みはおおまかに説明されている」』にもかかわらず、『肺癌に関しては「煙草がどんな悪さをしているか」はまだ判っていない』、Gedolさんは主張されているのですか。医学的には、COPDや喘息と同じくらいには、肺癌に対して「煙草がどんな悪さをしているか」かは判っていますよ。


>で、これらの説が成り立つためには「多くの研究において、一貫して喫煙が肺がんの原因であるという結果が出ている」という前提が必要ですが、今回のエントリではこれが「喫煙群である事が肺癌の原因である(あぁ、変な表現だ)という結果が出ている」ではないの?と言ってるので両方とも成り立たないんですけど・・・。

「原因」という言葉の定義によりますね。医学者が通常使用している定義によれば、「多くの研究において、一貫して喫煙が肺がんの原因であるという結果が出ている」ということはお認めになりますか?学会声明にもレビューにも教科書にも「喫煙は肺癌の原因である」と書いてあります。Gedolさんは、「医学者の使用している『原因』という言葉の定義は間違っている」とでも主張されているのでしょうか?タバコを潰すための国際的な陰謀でもあると思っているのでしょうか(一部の喫煙者はそういう妄想を抱いているとしか思えないですが)?


>「いや、こういうサンプリング方法を使えば「群のリスク」ではなくて「喫煙そのもののリスク」であると絞り込める」って具体的なネタ

普通に多変量解析でいいと思いますけど。それで不十分であると言うのなら、COPDでは「煙草がどんな悪さをしているか」が判っている&ヨタではないという具体的な理由を投下されたら終了なのですが。

「肺癌に限らずCOPDでも煙草がどんな悪さをしているか判っていない」という主張なら、疫学を一切信用しないという点でまだ一貫性はあると思います。私が疑問なのは、COPDの害を認める一方で癌のほうはヨタが多いというその理屈です。「喫煙そのものがCOPDの原因ではなく、喫煙群であることがCOPDの原因だ」とGedolさんが言わないのはなぜ?』 (2007/09/25 12:58)

Gedol Gedol 『うーん、NATROMさんは私のエントリをちゃんと読んだんだろうか。

まず、「原因」の定義の問題。「医学者の使用している『原因』という言葉の定義は間違っている」と言っているのではなく、「*ココで言ってる*『原因』はソレじゃ無いんじゃないの?」と言っている事は判りますか?

もう一つ、私が煙草(もしくは喫煙)と肺癌の「関係」について意識的にエントリでは評価をしていない事は理解していますか?その理由はエントリの主題が上記についてだからなのですが。

あと、表題の「原因とリスク」という様に「原因」と「リスク」を並立させて表記した場合、それぞれが何を意味すると受け取ったのか、気が向いたら参考までに教えていただけるとうれしいです。

最後に、アスベストだろうと糖尿病だろうと機序的な説明無しに「私がこのエントリで言っているところの『原因』」であると主張するならば、少なくとも「ヨタっぽい」とは考えますが。
特に「自分について考える」という様な時には「原因」と「結果」の間が合理的に繋がっていないとかなり厳しい事は判るでしょうか。おそらく対象が「患者群」ではなくて「特定の患者」である事が原因だと思いますが。

Dさんのコメントで「あぁそうかNATROMさん的には正しいのかぁ」と記述の理由はわかったつもりでしたが、ソレは私のエントリの内容とはあまり関係無いんですよね。』 (2007/09/25 22:42)

NATROM NATROM 『>まず、「原因」の定義の問題。「医学者の使用している『原因』という言葉の定義は間違っている」と言っているのではなく、「*ココで言ってる*『原因』はソレじゃ無いんじゃないの?」と言っている事は判りますか?

皆目判りません。「ソレ」などとあいまいな言葉でなく、明確に仰っていただければありがたいのですが。もしかして、「肺癌の直接の原因は喫煙じゃ無いんじゃないの?」と言っておられるのですか?


>もう一つ、私が煙草(もしくは喫煙)と肺癌の「関係」について意識的にエントリでは評価をしていない事は理解していますか?その理由はエントリの主題が上記についてだからなのですが。

でも、COPDについては「煙草がどんな悪さをしているか」が判っていると書いていますよね。疫学的に証明された因果関係を重視しないという立場はわからないでもないですが、だったらCOPDについてはヨタじゃないってどういうことよ?と言う疑問には回答はありませんでした。


>あと、表題の「原因とリスク」という様に「原因」と「リスク」を並立させて表記した場合、それぞれが何を意味すると受け取ったのか、気が向いたら参考までに教えていただけるとうれしいです。

リスクであるが原因ではない、つまり、「C因子」という別の因子が真の原因であるケースもあるでしょう。でも、喫煙と肺癌の関係についてはさんざんっぱら調べられていて、喫煙が肺癌の直接の原因であることは(少なくともCOPDの場合と同じかそれ以上に)証明されておりますが。もちろん、機序的な説明だってなされています。それを踏まえて、私は(そしてまともな医学者・科学者は)「喫煙は肺癌の原因である」と言っています。もしかしたら、Gedolさんは疫学における多変量解析や、発癌の研究を知らないのかなあ、と思ったりもしました。


>Dさんのコメントで「あぁそうかNATROMさん的には正しいのかぁ」と記述の理由はわかったつもりでしたが、ソレは私のエントリの内容とはあまり関係無いんですよね

正確には「NATROM的に」ではなく、「通常の医学者・科学者的には正しい」ですね。まともな医学者・科学者なら、COPDと同程度には、喫煙は肺癌の原因になっていると認めるだろうけれども、Gedolさん的には「ヨタがかなり混じってる」と感じるんですよね。』 (2007/09/26 11:06)

いど いど 『はじめまして、いどと申します。

一つ気になることがありコメント書かせていただきます。

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>コレで判明するのは疫学調査の仕組みから言って、喫煙群のリスクだと思うんだけ
>どなぁ。主体的行動である喫煙は環境要因を排除するのが難しいし
本文追記部分から引用
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またコメント欄でも以下のように書かれています。
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>「いや、こういうサンプリング方法を使えば「群のリスク」ではなくて「喫煙その
>もののリスク」であると絞り込める」って具体的なネタを投下されたら私の方はソ
>レで投了なんですけどね。
http://d.hatena.ne.jp/Gedol/20070919/1190212795#c1190387120 から引用
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これに関してはNATROMさんは以下のように書いています。
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普通に多変量解析でいいと思いますけど。
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しかしこの多変量解析に関してはGedolさんはスルーしています。
具体的なネタではないかと思うんですがこれでは不十分なのでしょうか?』 (2007/09/26 21:52)

Gedol Gedol 『いどさん、多変量解析は既知の因子群の中から目的の因子を抽出する技術だと(大雑把に)理解していたので、「医学(生物学)的な意味での原因」には辿りつけても、養老氏が求めている(と、私が判断している)原因」には到達できなかろう・・・と考えてスルーしてました。基本的に後者の様な分析をするには「独立して扱える因子」や「AからBへの遷移」の様な他の因子を相殺できる対象である事が必要ではないかと思うのですが。もっとも、「原因は煙草だろう」とあたりを付けて煙草に含まれる物質に絞った影響調査とかでは活用されると思いますけど。

NATROMさん、んだから「機序的な解明も進んでいる」ってコト言わないと養老氏への反論にはならないでしょ?「機序の説明してみろやウリウリ」みたいなことやってる人なんだから。』 (2007/09/26 23:52)

D D

要は、喫煙以外の要因を集団間でそろえられるか? ということでしょうが、既知の要因ならば、たとえば、コーヒーの平均摂取量が等しくなるように喫煙者、非喫煙者のグループを構成できますね。 要因が多くなったら、多変量解析の要領でそろえられます。 ここでの多変量解析の意味は、他の要因の寄与と喫煙の寄与を分離するということです。

食生活、健康状態、運動量、社会的地位、職業、住んでいる地域、年齢、性別、家族歴 などが考慮されています。』 (2007/09/27 11:17)

NATROM NATROM 『>養老氏が求めている(と、私が判断している)原因」には到達できなかろう

「養老氏が求めている(と、Gedolさんが判断している)原因」とやらは、COPDについては判明しているんですか?判明しているのなら教えてください。「(COPDについてはそうではないけど、癌については)ヨタがかなり混じってる」という理由がいつまでたってもわからないのですが。


>NATROMさん、んだから「機序的な解明も進んでいる」ってコト言わないと養老氏への反論にはならないでしょ?「機序の説明してみろやウリウリ」みたいなことやってる人なんだから

よしんば機序的な解明がなされていないとしても、煙草が肺癌の主要な原因であることは揺るぎません。医学においては機序が未解明なんてことはザラです。よく言われている例では、全身麻酔薬の作用機序なんてこれまではあまりわかっていなかったんです。養老氏なら、「全身麻酔薬で麻酔ができることは証明されていない」などと言いそうです。だから、養老氏は医学を理解していないと指摘しました(本当は理解していないのではなく、煙草の害を認めたくないがゆえに、ダブルスタンダードに陥っているだけであろうが)。ついでに言えば、喫煙が発癌に与える機序の研究の存在も知らずに養老氏が発言していたとしたら、それはそれで養老氏はとても馬鹿だということになりますね。喫煙と肺癌の関係について「機序的な解明も進んでいる」なんていちいち言わなくても常識なんですよ。まとめ。

1. 『「どの物質がどの部分にどの様な効果を与えるので癌になるか」みたいな研究しないと「原因」は言えない』という主張は誤り。
2. そもそも「どの物質がどの部分にどの様な効果を与えるので癌になるか」みたいな研究は山ほどなされている。』 (2007/09/27 14:10)

D D

疫学の因果推論は、反事実モデルという因果推論モデルによっています。

反事実モデルというのは、Aさんは20歳の頃からたばこを吸い始め、20年後に肺がんになった という事実があり、Aさんは20歳の頃からたばこを吸わず、20年後に肺がんにならなかった という反事実があったなら、Aさんの肺がんの原因はたばこだ。 と推論するやり方です。  

疫学では、これを集団に対してやるわけです。

Aグループは20歳の頃からたばこを吸い始め、20年後に15%の人が肺がんになった という事実があり、Aグループは20歳の頃からたばこを吸わず、20年後に5%の人が肺がんになった という反事実があったなら、この10%の肺がんの原因はたばこだ。 と推論するわけです。  

問題は、反事実は観察できないことです。 それで、反事実のかわりに、たばこを吸わない代用集団Bをもってくるのですが、このとき、たばこを吸わない場合のA集団の肺がん罹患率と、たばこを吸わない場合のB集団の肺がん罹患率が等しくなければいけません。 たばこを吸っていない人だけから成るある集団をランダムに2つに分けるなら、確率的に(平均的に)この条件は成立します。 しかし、このやり方だと、一方の集団(A)に喫煙を強制して結果を見ることになるので、倫理的にいかがなものか? となってしまいます。

問題の本質は、喫煙習慣と他の習慣や条件(社会的地位等)の間に関連性があることでしょう。 そこで、あらかじめ喫煙習慣と関連性がある条件を調査しておき、その条件が等しくなるように、喫煙者と非喫煙者から被験者を選んできます。 このとき、他の条件についてはランダム性を維持しておけば、喫煙だけの寄与を抜き出す事ができます。
具体的には、条件に合致する候補者からランダムに被験者を選ぶわけです。 多変量解析によって、これに準じたことができます。

先に述べたやり方に比べて証拠能力は劣りますが、多くの追試により、一貫してたばこがクロだと出ているので、たばこが原因でない可能性はとても低いでしょうね。』 (2007/09/27 17:55)

D D 『連続投稿すみません

Gedol さんの因果関係のイメージは、一本の因果の鎖が原因と結果を繋いでいるというようなものでしょう。 これ、要素還元主義、メカニズム主義、機械論主義、等といわれる因果関係のイメージです。 人間のような超複雑な系においては、現象と現象の間は因果の鎖ではなく、因果の網で繋がっていて、網の一部をクローズアップすると、さらに微細な網が見え、またその一部をクローズアップすると、さらに微細な網が見えてきます。

つまり、どこまでいっても、原因と結果を繋ぐ一本の因果の鎖は見えないんです。 病気において因果の鎖を見出しているような例は、発症率の高い感染症くらいで、極めて少数です。』 (2007/09/27 18:14)

いど いど 『回答頂きありがとうございます。

ちょっと混乱してきてしまったので再度質問させてください。
繰り返し同じような説明を書いていただいているとは思いますが念のため確認させ
てください。もしも既出であれば引用していただくかその場所を示していただけま
すでしょうか。

(A)「医学(生物学)的な意味での原因」という言葉における「原因」の定義をお
教えください。
(B)「養老氏が求めている(と、私が判断している)原因」という言葉における
「原因」の定義をお教えください。
(C)Gedolさんがヨタであると仰る「煙草は肺癌の原因である」という主張におけ
る「原因」は(A)(B)どちらにあたりますか。』 (2007/09/27 21:01)

Gedol Gedol 『NATROMさん、いくら養老氏でも肺癌と煙草の関係についてWikipediaの「COPD」の項の冒頭の一段落程度の説明がなされれば文句はつけないと思いますが(聞かない振りするかもしれませんし、「知らなかった」ってのは眉唾ではありますけど)。

Dさん、一つ目のコメントについてですが、「未知の因子C」なんてモノを持ち出してきた事からお察しでしょうが「認知されていない因子の影響を個別排除はできないし、あらゆる影響因子を認知するのも無理」という前提に立ってます。
なので、二つ目のコメントについては特に反論がありません。三つ目のコメントについてですが、ちと違う様な気がします。例えば「風が吹くとおけ屋が儲かる」という主張について「最低一つの『風が吹く』から『おけ屋が儲かる』へ至る道筋(ストーリー)を提示しなければならない」って感じです。この場合おけ屋が儲かる原因を風が吹いた場合であると限定はしません。ですから無理にイメージするなら「網」でいいんじゃないでしょうか。大事なのは「一本の線で繋げる事が*できる*」というコトですから。

この形の因果論は御承知の通り現実の問題を扱うときに必ず「精度上の妥協」を強いられます。そして「精度を十分に緩く取るならば」この形の因果論でもNATROMさんの主張は正しいのです。しかし、「それでは緩すぎて要求されている精度を満たさない」というだけのコトがこのエントリの骨子です。

いどさん、(A)はNATROMさんが利用していてDさんが解説している(「ある要因Aを付加し、Bという出来事の発現率が増加したなら、AはBの原因という」ところの)「原因」と考えてください。(B)はこのコメントの上記説明で宜しいでしょうか?
(C)は上で例に挙げた「風桶」の論理で間の説明をすっ飛ばしている状態をヨタと言ってるので(B)にあたります。』 (2007/09/27 23:43)

Gedol Gedol 『私的にはキモだと考えるのでちょっと追加。

NATROMさん、たとえ「喫煙と肺癌の関係について『機序的な解明も進んでいる』なんていちいち言わなくても常識」であっても、「それがあるのか?」という主張に対して言及しないのであれば反論としては成り立たないと思うのですが、医学的には違うのですか?』 (2007/09/28 00:01)

いど いど 『確認の確認をさせてください。
以下であるという認識でよいでしょうか。

(A)原因とは「ある要因Aを付加し、Bという出来事の発現率が増加したなら、AはBの原因である」とする「原因」
(B)(A)よりも高い精度が求められている「原因」( http://d.hatena.ne.jp/Gedol/20070919/1190212795#c1190904192 より 『しかし、「それでは緩すぎて要求されている精度を満たさない」というだけのコトがこのエントリの骨子です。』)
(C)(B)に類する用法としての「原因」として使用』 (2007/09/28 07:35)

通りすがり 通りすがり 『 ようは、Gedolさんが、「医学はヨタ」と言い切れば、ダブルスタンダードでなくなるからよいのでは?事実、Gedolさんの主張を押し通せばそうとしかならないし。
 医学の世界では、間の説明なんざすっ飛ばしてもOKなんでしょう。所詮、医学なんてそんなもんなんだから、全て「ヨタ」と言っちゃえば誰も文句つけませんよ。』 (2007/09/28 09:20)

NATROM NATROM 『>いくら養老氏でも肺癌と煙草の関係についてWikipediaの「COPD」の項の冒頭の一段落程度の説明がなされれば文句はつけないと思いますが

えー、Wikipediaの「COPD」の項の冒頭を読んでみましたが、その程度の説明なら肺癌と煙草の関係についてもいくらでもなされていますけど?(Wikipediaの「Lung cancer」の項目には”Causes”の項目に”Smoking”が論文の引用つきで載っています )。煙草を吸ってもCOPDにならない人もいるので、養老氏なら「カードが揃っていない人は、たばこを吸ってもCOPDにはならない」とか言いそうです。それはそれで一貫した態度ですが。


>「未知の因子C」なんてモノを持ち出してきた事からお察しでしょうが「認知されていない因子の影響を個別排除はできないし、あらゆる影響因子を認知するのも無理」という前提に立ってます。

ええと、COPDについて、「認知されていない因子の影響を個別排除」はできているのですか?できているのならその根拠を示してください。できていないのなら、「(COPDについてはそうではないけど、癌については)ヨタがかなり混じってる」とする理由を示してください。つまり、私の言いたいのは、「喫煙と肺癌の関係について『緩すぎて要求されている精度を満たさない』と言うならば、喫煙とCOPDの関係だってそうだろう」ということです。付け加えて言えば、おおよそ医学的に因果関係ありとされているものはほとんどすべて、Gedolさん的には「緩すぎて要求されている精度を満たさない」ってことになります。生活習慣病関連なんて典型的ですが、感染症ですらそう。「カードが揃っていない人は、結核菌に暴露されても結核にはならない」。「結核菌は結核の原因」というのは、養老氏的には「医学的に証明できればノーベル賞もの」、Gedolさん的にはヨタですね。結核菌と結核の関係についても「あらゆる影響因子を認知するのも無理」です。通りすがりさんの「Gedolさんが、『医学はヨタ』と言い切れば、ダブルスタンダードでなくなるからよいのでは?」という指摘は的確です。


>NATROMさん、たとえ「喫煙と肺癌の関係について『機序的な解明も進んでいる』なんていちいち言わなくても常識」であっても、「それがあるのか?」という主張に対して言及しないのであれば反論としては成り立たないと思うのですが、医学的には違うのですか?

医学的にというか、科学的な議論のときには、その背景となる基礎知識は持っていて当然だと思います。高校レベルの数学を知らない人が「相対性理論は間違っている!」と主張したとしても、「まずは相対性理論を理解してからにしてね」でお終い。いちいち高校レベルの数学から教えてあげる必要なんてありません。養老氏はそのレベルです。大体、私のエントリーは養老氏に対する「反論」ではないですよ。私のブログの読者は、ある程度の科学知識がある人が対象です。つまり、養老氏の発言を引用した部分を読んだだけで「ああやっぱり養老氏は駄目だねえ」とわかるような人が対象です。もし養老氏に反論するならば、WHOのサイトかまとまった総説を示してあげるのが親切でしょうが。


>(C)は上で例に挙げた「風桶」の論理で間の説明をすっ飛ばしている状態をヨタと言ってるので(B)にあたります。』

「間の説明」がすっ飛ばされているかどうかを知るためには、煙草と肺癌の研究についてある程度の知識が必要ですが(ていうかかなりの程度の知識が必要。網羅的に論文に当たってどの論文にも「間の説明がない」ことを知る必要があるから)、Gedolさんはその知識を持っていますか?単に、「間の説明」をGedolさんが知らなかった(そしてたまたまCOPDについての「間の説明」は知っていた)だけなのではないですか?そのように仮定すると合点がいくのですが。』 (2007/09/28 11:00)

ゲスト

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