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<浦和・全北>前半、先制点を決め、雄たけびを上げる浦和・田中達(11)
Photo By 共同
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赤い悪魔が初めてアジア4強に進出した。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝第2戦でJ1王者の浦和は26日、前回覇者の全北(韓国)を2―0で下し2戦合計4―1と圧勝。FW田中達也(24)が開始4分に先制弾を決め、後半22分にはオウンゴールで加点。相手にラフプレーが続出した大荒れの日韓対決を制した。
電光石火の一撃が、アジア4強の道を切り開いた。全北サポーターの発煙筒が燃え上がり、ロケット花火が連射される。場内に異様な雰囲気が漂う開始4分、田中達が先制ゴールを叩き込んだ。起点は相手のパスミスをさらったポンテのミドルシュート。思わず相手GKがハンブルしたボールを見逃さなかった。
前日、ゴール前の芝を入念にチェックした。見た目以上に凹凸があり、硬い。シュートを打てば何かが起こる予感はあった。「ピッチも悪かったし、ポンテのシュートも速かった。ラッキーですね」と田中達。素早い反応でゴール前に詰め、右足で決めた。第1戦に先勝した浦和にとって、アウエーでの先制点は何よりの力水。挑発まがいの相手ラフプレーにも冷静に対処した。
ACL史上最大ともいえるアウエーの洗礼に見舞われた。荒れた日韓対決。後半19分、相手のひじ鉄を受け唇が腫れあがった闘莉王は「(口の中に)穴が開いた。あんなのサッカーじゃない」と怒り心頭だ。試合後、観客席からは無数のペットボトルが投げ込まれた。前日深夜には浦和の宿泊ホテルがクラクションを鳴らす車に囲まれ、警察が出動する騒ぎまで起きた。それでも冷静さを失わなかった浦和に勝利の女神はほほ笑んだ。
これで田中達が得点した公式戦は06年以降、無傷の12連勝。リーグと並行する強行軍で今季公式戦は早くも40戦目に到達したが、22勝12分け6敗の高勝率でまだまだ突き進む。川崎Fが敗れ、日本の夢は赤い悪魔に託された。闘莉王は「ここまで勝ち進んだチームは日本にない。世界に浦和レッズを見せたい」と腫れた唇を震わせた。アジア制覇の野望はもう手の届くところまで来た。
<全北 判定に怒り心頭>ホームに戻って逆転を狙った前回王者だったが、無残に散った。崔(チェ)監督は「いい試合を見せられず申し訳ない。責任は監督にある」と悔しさをかみしめた。試合はラフプレーや主審に向かって中指を突き立てる選手まで飛び出し、退場者2人を出す最悪の展開。指揮官は判定に不満を隠さず「ビデオを見れば退場のアクションではない。こういう問題が二度と起こらないように望む」と話した。試合後は判定に怒った観客からペットボトルが次々と投げ込まれた。
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