巨人・原辰徳監督(49)が今季のテーマに掲げた「奪回」が、年末に発表される「新語・流行語大賞」の有力候補に挙がっていることが27日、分かった。三つどもえの壮絶な優勝争いを一歩抜け出したことで、注目度が格段にアップしたことによるもの。もちろん、受賞のためには5年ぶりのリーグ制覇が最低条件。28日から全体練習がスタートするが、30日には1か所打撃で実戦感覚を保つなど、万全のコンディションで残り2戦の連勝を目指す。
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巨人が社会現象を巻き起こす。原監督が2007年の座右の銘に掲げた「奪回」。チームのスローガンにもなっているこの言葉が、一躍脚光を浴び始めた。
「新語・流行語大賞」を主催する「現代用語の基礎知識」(自由国民社)の元編集長で、新語アナリストの亀井肇氏は「流行語に成り得る言葉」と太鼓判を押した。「巨人が盛り上がりを見せれば見せるほど、テーマの『奪回』が注目される可能性があります。ペナントレースで優勝すれば一気に浸透すると思います」クライマックスシリーズや日本シリーズを制すれば、さらに爆発的な広がりを呼ぶと見ている。
今季のセ・リーグは巨人と中日、阪神の3チームによる近年まれに見るデッドヒートが繰り広げられた。巨人が中日との天王山を勝ち越したことで、5年ぶりのセ・リーグ制覇に大きく前進。注目度は格段に上がり、巨人から流行語が誕生する土壌も整ってきた。
選手にとっても今は狙い目だ。「この盛り上がりの中で誰かが勝利インタビューなどで印象的な言葉を話せば、一気に流行語になるかもしれません」と亀井氏。阿部の「最高で〜す!」のようなフレーズが新たに誕生すればチャンスだ。
今年は流行語に乏しい1年と言われている。驚くようなベストセラーも出ていない。亀井氏は「欧米か」「KY(空気が読めない)」「どんだけ〜」「そんなの関係ねえ」「おっぱっぴー」などを挙げたが、いずれも若者向けで、全体的な印象は弱いという。
もちろん、大賞の受賞は「奪回」を成し遂げてこそのもの。この日、中日が勝ってマジック6とし、巨人のマジック2点灯はお預けとなった。自力V復活には、中日の1敗待ちという状況に変わりはないが、いずれにしろ10月2日のヤクルト戦、同3日の横浜戦(いずれも東京ドーム)の連勝は不可欠だ。
中日との死闘を終えたチームは、この日、完全休養日となり、28日から全体練習がスタートする。投内連係などで守備の基本を再確認するほか、30日には1か所打撃が予定されている。投手と野手がそれぞれ実戦感覚を鈍らせないようにするのが狙い。万全のコンディションで残り2試合に臨む。
「現代用語の基礎知識」の清水均編集長は「10月半ばにはノミネートが決まってくると思います」と話した。大賞の発表は12月。年末の話題も巨人が「奪回」する。