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連結決算で姫島村は赤字/05年度分を試算

2007年09月27日

 自治体本体の普通会計に、下水道など公営事業の特別会計を加えた県内市町村の05年度の「連結決算」を朝日新聞社が独自に試算したところ、姫島村が赤字だったことが分かった。大分市の場合も、連結決算では、収支が大きく悪化していた。連結ベースでの指標をもとに、自治体に財政の健全化を促す法律が6月に成立しており、赤字の公営事業会計を抱える自治体は、事業の早期の見直しや対策を迫られそうだ。(野崎健太)

 連結ベースでの赤字の大きさを示す「連結実質赤字比率」がマイナス1・4%と県内で唯一、連結決算で赤字になった姫島村。この村の財政を圧迫しているのは、村営フェリーだった。運航をまかなう「姫島丸特別会計」は、1億8千万円にのぼる累積赤字を抱えている。

 島と本土を結び、島民の暮らしには欠くことのできない「足」だけに、事業の縮小は難しい。通勤や通学で利用する客が多く、割引運賃での乗船客が多いため、国の補助金も交付されない。県の補助金や村の一般会計からの繰り入れで、赤字がこれ以上膨らむのを何とか抑えているのが現状だ。

 村は、04〜05年度にかけて退職した職員12人分の補充採用を見送ったほか、管理職手当のカットなどで、05年度は前年度より約5700万円の人件費を削減。07年度からは職員給与を5%カットし、一般会計の経常経費削減に努めている。

 大分市の場合は、普通会計の赤字の大きさを示す「実質赤字比率」が4・6%と、同会計だけなら健全なレベルなのだが、連結ベースの実質赤字比率になると2・0%に悪化する。「国民健康保険」「老人保健」「国立公園高崎山自然動物園」の3事業の特別会計が、計23億7800万円もの赤字を抱えているからだ。

 三つの特別会計には、一般会計から計53億3千万円を繰り入れている。収支ゼロの公共下水道事業の特別会計にも55億7400万円を繰り入れており、赤字事業の下支えが財政を圧迫している。市は補助金や公共事業費の削減、下水道使用料の値上げに取り組んでおり、財政課は「連結ベースの財務諸表を作成して対策を練りたい」と話す。

 一方、臼杵市は連結実質赤字比率が5・1%と赤字転落の恐れはなさそうだが、借金返済の負担の重さを示す「実質公債費比率」が17・4%と県内で最も高い。18%を超えると、起債に県の許可が必要になる。

 市財政課によると、合併前の旧臼杵市で03〜04年度に、し尿処理施設やゴミ処理施設の建設費を調達するために行った起債が、国による返済の肩代わり分が大きい過疎債の適用を受けなかったことから、大きな負担になっているという。

 同市は、今年度一般会計当初予算を前年度比2・3%減の緊縮型とし、起債も16・3%減に抑えた。借金返済を前倒しする「繰り上げ償還」も実施し、少しでも将来の負担を減らす方針だ。

 ◆試算の方法

 連結実質赤字比率は、公開されているデータを元に、普通会計と特別会計の赤字の総額を、自治体の収入(標準財政規模)で割って試算した。赤字の総額は、県がホームページで公開している市町村の「財政状況等一覧表」からデータを集計。標準財政規模は、総務省がホームページで公開している市町村の「決算カード」を参照した。

 財政状況等一覧表では、一部の公営事業会計の黒字が除外されているため、「収支ゼロ」として試算した。このため、実際の連結実質赤字比率は、試算と異なる可能性がある。

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