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2007年9月28日

 新政権誕生早々のお定まりに、緊急電話世論調査がある。小紙加盟の共同通信社の集計によると、内閣支持率は57・8%。他紙の調査でもおおむね同様の数字である

まだろくに仕事もしないのに、「支持」を問うのもヘンな話である。「期待度」と読み替えた方がいいだろう。マスコミは概して、せっかちである

新政権は地方重視の政治をするという。「地方」にも、いろいろある。名を失念したが、医者嫌いの作家が取材の折の雑談で、大人二錠、子ども一錠、という薬の処方を指して、「あれはおかしい」と言ったことを思い出す。元気盛りの若者も体力の衰えた人も、等しく二錠とは理に合わぬ、と

新幹線開業を機に飛躍を期す県都も、人口が流出する中山間地も「地方」である。どちらも政治の力に期待し、支持率を上げたのだろう。だが、「地方」を等しく元気にする特効薬があるなら、苦労はない

世論は移り気である。それを承知の上だろう。高い支持に対する新首相の「さっぱり分からない」という感想は、面白い。得意の皮肉なのか、慎重居士の面目なのか。ともかく前任者とは大いに毛色の異なる宰相である。


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