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高齢化深刻 「75歳未満」基準緩和相次ぐ

民生委員の仲間と打ち合わせをする浅野朝子さん(右)=神奈川県藤沢市で

 地域福祉を支える民生委員・児童委員について、都道府県と政令市67自治体のうち2割にあたる15自治体が昨年末の改選時、年齢を国基準の「75歳未満」より引き上げて選任していたことが全国民生委員児童委員連合会の調査でわかった。見守りが必要な高齢の単身世帯は年々増加しているが、なり手が不足し、支える側も高齢者に頼らざるを得ない現状が浮き彫りになった。民生委員制度は今年、創設100年を迎え、9日には東京で記念大会が開かれる。

 国は通知で民生委員の年齢要件を「75歳未満の者を選任するよう努めること」と規定。一方で各自治体の弾力的運用も認めている。同連合会は、昨年12月の3年に1度の全国一斉改選に合わせ、全国の実態を調べた。

 神奈川県は年齢上限を撤廃した。青森県は78歳未満、岡山市は77歳未満としている。栃木県や埼玉県は「事情がある場合」に限るが、78歳未満まで認めている。こうした15自治体のほか、奈良県など8自治体は75歳未満を原則としながらも、理由書を提出すれば75歳以上も可能としている。

 民生委員の平均年齢は、2013年の民間調査で66歳。同連合会は昨年11月、体力の低下や認知症発症のリスクなどから「75歳未満が妥当」との見解を示した。一方で、多くの自治体が75歳以上も認めている現状を「地域の実情を踏まえるのが適当」とし、各自治体の判断に委ねる考えだ。

 同志社大の上野谷加代子教授(ボランティア論)は「なり手を確保するために、PTAなど幅広い団体に声を掛けていくことが大事だ」と指摘する。

まだ頑張りたい、77歳現役で活動

 神奈川県藤沢市の民生委員、浅野朝子さん(77)は昨年12月、県や市が「75歳未満」という年齢要件を撤廃したため、地元の自治会長の推薦を受け、再任された。民生委員の活動を続け34年。「まだまだ自分も頑張りたい」と意欲を見せる。

 日ごろは独居のお年寄りの見守りが中心だ。2011年の東日本大震災では、担当する10階建てのマンションのエレベーターが止まり、階段を何度も上り下りしてお年寄りの安否確認に駆け回った。車椅子のお年寄りが揺れに気が動転しているのを見つけ、1人で持ち上げてベッドに移し、落ち着かせた。

 浅野さんは「民生委員は相手から幸せをもらえ、やりがいのある仕事。若い人も誘いを受けたらぜひ引き受けてほしい」と呼びかける。【熊谷豪】

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