◆リベンジ・リスト 鑑賞◆
(原題: I Am Wrath)2016年公開
上映時間:91分
オススメ:★★★☆☆
・監督:チャック・ラッセル
代表作:『マスク』(95年)
・脚本:スチュアート・ビーティー
★出演者★
ジョン・トラボルタ
クリストファー・メローニ
アマンダ・シュル
サム・トラメル
パトリック・セント・エスプリト
レベッカ・デモーネイ
アサンテ・ジョーンズ
ポール・スローン
◆summary◆
主演は「また紹介記事とかに完全復活とか勝手に書かれているけど、そんなことないよ。自宅が飛行場すんごいセレブ」ジョン・トラボルタ。
本作のムードメーカー、ジョン・トラボルタの相棒役にはクリストファー・(ハーディー大佐)・メローニ。
ふたりとも実はすごいんですという見せ場がキチンと用意されていて(それも90年テイスト)、
このふたりだけでお腹いっぱい感があります。
若いイケメンよりも、渋いおじさん以上のヒーローって最近多い。
アイアンマンも、デッドプールも、マイティ・ソーも、ドクター・ストレンジも、バットマンも、ジョン・ウィックも、
ジャック・リーチャーもそれなりのお年です。
やたらと壮大で長くて、観客を置いていってしまうような大振りな映画が多い中で、
もう少し狭くて、短くて、近い、それだけでなくそれなりに熱い作品がやってきました。
同日公開の「キング・アーサー」が派手なソードアクションなら、本作は渋めなガンアクション(それも漢の夢アイテム・ハンドガンとナイフ)。
洒落たお店で豪華なステーキもいいけど、街に昔からあるラーメン屋の中華そばでホット一息。
そんな感覚が解る方は本作がオススメです。
そういうわけで★は3つ。
◆comment◆
懐かしい。
ただひたすらに、懐かしい。
アクション映画って、もともとこういうもんでした♫
日本では2017/6/17 本日から公開です。
『スターウォーズ』『アベンジャーズ』が幻想的なアクションなら、
『マトリクス』『リベリオン』が演舞的なアクションなら、
『ジョン・ウィック』は魅せるアクションなら、
本作『リベンジ・リスト』は90年代に大量に出回ったテイストがたっぷりの『解りやすい』アクションです。
そんな感覚に囚われても仕方がない。
監督のチャック・ラッセルは『マスク』(95年)『イレイザー』(96年)『ブレス・ザ・チャイルド』(01年)とそっち方面のお方ですものね。
・・・これもまた、配給会社さんや紹介記事にちょっと言いたいのですが邦題がヒドイ。
そしてこの映画を「ジョン・ウィック」と並べて言っちゃダメ。テイストも製作意図も全然違うんだから。
どちらかと言うと、90年代テイストのケチャップをたっぷりつけた「コラテラル」(04年)でしょうが。
公式サイトにも
映画史上、最も激しい“怒り”に突き動かされた復讐劇が今、幕を開ける。と派手に書かれていますが、おいおい、ライターさん。
主人公のスタンリー・ヒルが遭遇した不幸は確かにヒドイけど、こういう作品では「よくある設定」だし、近年だともっと怖いくらいの怒りという意味では『悪党に粛清を』(04年)のマッツ様の方が鬼気迫ってます。
★ワタクシの紹介記事★
【映画 感想】悪党に粛清を ―もう金輪際、相乗りはゴメンだ。―
それに何故か、ジョン・トラボルタが全編通して「そんなに怒っているように見えない」のでしたΣ(´∀`;)
あ、ここはツッコんじゃダメなのかも。ジョンは凄腕の工作員でしたものね。
この作品は確かに復讐劇という側面もあるけど、どうして自分で手を下すことになったのか?という方にフォーカスするべき。(『パニッシャー』にも通じる社会問題が背景に有りますよ)
そうそう。90年代ヒーローは細マッチョではなく、ゴツマッチョ。
スタローン、シュワちゃん、ジャン・クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン。
彼らに憧れて筋トレに勤しんだ80年、90年代生まれの世代は多いハズ(笑)
結局仕上がりは、ブルース・ウィルスみたいな感じになっちゃうのかも(笑)
それでもブルース・ウィルスはブルース・ウィルスというカタチを作っちゃってますからね。
ジョン様も還暦を迎えたと言うのにデカイです。
漢はこれでもいいんだと、踊って歌っている細マッチョ軍団好きのレイディー達に教えてあげよう。
この作品、冒頭の導入が凶悪事件の速報チックにこれでもか~と流すのですが、
「パニッシャー」と同じように、ここでこの映画の言いたいことは全て言われてしまっています。
テロも怖いですが、お茶の間のニュースで流し見されてしまうほどの凶悪犯罪が溢れているんです。
一般市民としてはそちらのほうが恐ろしいわけで。
すんごい経歴を持っている人も等しくそういうものに巻き込まれるということです。
その点「戦闘」をアートにした結果、ストーリーは料理屋のお通し程度にしてしまった「ジョン・ウィック」よりも社会性はあるのかなぁと。
とはいえ、
大筋のストーリーは明快過ぎる一本道の勧善懲悪もの。
追いかけっこです。
ひとり、またひとりと妻の殺害に関わった人間を芋づる式に追っていきます。
というか「どうせお前も悪いだろ」と感じた人間が「ホントに悪いんかい!!!」となる様は痛快でもあります。
アクションシーンも派手なカメラワークもワイヤーアクションもCGも一切ない「痛い!」肉弾戦が見られます。
シーンは少ないけど確かにオッサン達キレキレです。
それに細かいけど凶器の捌き方やそこからの反撃なんかは「もっと見せて!!」と胸熱。
ホント、90年代の解りやすいタフな漢の戦いを観る作品を彷彿とさせるので30歳以上の観客は「ある意味で安心」するかも。
わたしは好き。時々挟まれるウィットある台詞とか特に。
やっぱりなぁという演出や展開はエンディングまで続いちゃうんです。
逆に「複雑で入り組んだ伏線」「難解な設定」が当たり前の作品に浸かってしまっている若い世代の観客からは物足りなさを覚えるかもしれません。
ジョン演じるスタンリー・ヒルよりも好きになってしまった相棒デニスの拠点はなんと床屋。
なるほど、一昔前なら情報源は自動的に酒場だったけど、床屋もペラペラお喋りしちゃうという意味では見落としてましたな。
この辺、紳士の国の喫茶店やテーラードスーツ店を隠れ家にしていた「キングスマン」(14年)への皮肉かなとも感じて個人的にはツボでした。
続編あるかもな。スピンオフでデニスが主人公のドラマでも製作しないかなぁと期待です。
・・・・うむ。レンタルでも良かったかな(笑)
好きなんだけど、好きなんだけど。
通な方は是非劇場でお楽しみください。
2017年映画鑑賞 106本目
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