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2017.05.31 Wed.
トランプから国際秩序を守るには
――リベラルな国際主義と日独の役割
すでに権力ポストにある以上、トランプがそのアジェンダに取り組んでいくにつれて、リベラルな民主主義はさらに衰退していく。リベラルな国際秩序を存続させるには、この秩序をいまも支持する世界の指導者と有権者たちが、その試みを強化する必要があり、その多くは、日本の安倍晋三とドイツのアンゲラ・メルケルという、リベラルな戦後秩序を支持する2人の指導者の肩にかかっている。・・・(アイケンベリー)
中国とロシアに代表される権威主義的な資本主義国家が、近代性の進化をめぐってリベラルな民主主義の代替策を提示することになるかもしれないし、グローバル経済に自分のルールで関与するようになるかもしれない。リベラルな民主主義が、最終的に勝利を収めるという保証はどこにもなく、権威主義的資本主義がリベラルな民主主義に代わる魅力的な選択肢とみなされるようになる可能性もある。(ガット)
ポピュリズムは、タフさとナショナリズム、さらには移民排斥論を基盤とする、人受けのするはっきりとしたイデオロギーをもっている。開放的なリベラルな秩序の支持者たちがこれに対抗していくには、同様に明快で、一貫性のある代替イデオロギーを示し、労働者たちが切実に感じている問題を無視するのではなく、それに対応していく必要がある。(コルガン)
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トランプから国際秩序を守るには
――リベラルな国際主義と日独の役割2017年5月号 G・ジョン・アイケンベリー プリンストン大学教授(国際関係論)
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Classic Selection
――21世紀は権威主義的資本主義大国の時代になるのか2007年8月号 アザル・ガット テルアビブ大学教授
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切り崩されたリベラルな秩序
―― 格差を是正し、社会的連帯を再生するには2017年5月号 ジェフ・D・コルガン ブラウン大学准教授(政治学)<br>ロバート・O・コヘイン プリンストン大学教授(国際関係論)
2017年6月号
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トランプの貿易政策は何を引きおこす
―― 保護主義の連鎖と自由貿易の危機「アメリカファースト」の貿易政策が、製造業に新たな雇用をもたらすことも、貿易赤字を縮小することもあり得ない。トランプの貿易政策の最大のリスクは、WTO(世界貿易機関)を含む、アメリカが第二次大戦以降推進してきたオープンな国際貿易体制に、取り返しのつかないダメージを与えてしまう恐れがあることだ。
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北朝鮮に対する強硬策を
―― 外交やエンゲージメントでは問題を解決できない北朝鮮の非核化を平和的に実現する上で残された唯一の道筋は「核を解体し、改革を実施しない限り、滅亡が待っている」と平壌に認識させることだ。ワシントンは「平壌が核兵器以上に重視していること」を脅かす必要がある。それは北朝鮮体制の存続に他ならない・・・
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エルドアンとトルコ社会の分裂
―― 今も続くクーデター未遂事件の余波反憲法改正派は「(国民投票は)エルドアンにとって僅差での勝利だったのだから、彼もこれまでの立場を譲るのではないか」と期待していたが、そうなるはずはなかった。むしろ、エルドアンは分裂をさらに深刻にするために、あらゆることを試みていくはずだ。