わたしが保険の営業マンをやっていたときに、よく「指定代理請求特約」ってなんのためにあるの?と正直に思っていました。
「指定代理請求特約」とは、生命保険文化センターによると、
被保険者本人に「特別な事情」がある場合、契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって、保険金等を請求できる仕組みです。ここで、「特別な事情」とは、(1)傷害または疾病により、保険金等を請求する意思表示ができないとき、(2)治療上の都合により、傷病名または余命の告知を受けていないとき、(3)その他(1)または(2)に準じた状態であるとき
とあります。
つまり、自分で給付金を請求できない状態にあるときに、指定された人が代わりに請求する制度のことになります。
お客さんが、契約内容を決めて、申込書をかいていくときに、指定代理請求人を書くスペースがあります。
お客さんからよく「これって、何ですか?」と聞かれていたのですが、「万が一、自分が障害状態になり、自分で給付金を請求できない場合に、自分の代わりに請求できる仕組みです。たいていは受取人と同じ人を指定される場合が多いですよ。」とお伝えしていました。
この対応については何ら問題はないのですが、自分の中では全然しっくりきていなかったですね。
「そんな代わりに請求する状況なんてあるのかな」と。
でも、いったん営業マンを離れてみると、この特約すごくよくできた仕組みだなと感じます。やっぱり保険って、すごいですよ~。
何がすごいかって。それはこれからご説明していきますね。
「指定代理請求特約」を利用する状況
なぜ、わたしが「指定代理請求特約」にしっくりこなかったというと、この特約を使う前提として、障害状態を想定していました。
前回のエントリーの中でも「障害状態」をご紹介しましたが、どれをとってもみても軽くはない状態です。しかも、あまり想像したくない。
だからこそ、この特約を使う機会なんて、あまり無いんじゃないかと。
でも、ここで「障害状態」が「介護」に置き換えられたとしてどうですか。
今では当たり前のように使われるようになった「介護」というキーワード。
自分が今から介護状態になるとは思わないですが、将来的には高い確率で「介護状態」になりそうですね。
ちょっと前までは、公的な介護保険制度が充実し、民間の保険会社の提供する介護保険なんてありませんでした。
ところが、最近ではどの保険会社からも介護保険が販売されたり、特約でつけれるようになっています。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命やソニー生命なんかは、グループ会社で介護サービス提供会社を買収したり、新サービスを始めて、グループ内の囲い込みが始まっています。
そのような誰もが将来的に経験しそうな介護状態で、身体が元気で意識がはっきりしていれば何も問題ないですが、何が起こるかわかりませんよね。
自分が介護保険金を受け取るために介護保険に入ったのに請求できないなんて本末転倒。
ここで、大活躍するのが指定代理請求特約です。
指定代理請求特約をつかって、配偶者や子どもを指定していれば、自分が何もできなくてもちゃんと介護保険金を受け取ることができます。
その保険金をつかって、家のリフォーム代に使ったり、介護施設の一時金として利用することもできます。
さらにここからが大事で、特に相続税のかかる家系であれば大切なポイントがあります。
通常、相続時に死亡保険金を受け取ると、死亡保険金は見做し相続財産と考えられ、財産が多い場合は相続税がかかってきます。
ここで、死亡保険金としてうけとるのではなく、介護保険金で受け取ったらどんなことがおこるか。
介護保険金って、基本的には非課税です。なので所得税や相続税なんかはかかりません。
さらに指定代理請求特約をつかって、例えば子どもが受けとったとすると、非課税で子どもに資産を移したものと同じ効果が得られることになります。
どちらが手元に残る資産がおおいかは明確ですよね。
そんなスゴい役割を果たす「指定代理請求特約」ですが、特約という名前がつくくらいですから有料だと思われるかもしれませんが、なんと無料、タダなんです。
これは使わない手はないですね。
ちょっと脱線しましたが、指定代理請求特約は本当に保険らしく、役に立つ機能なので活用してくださいね。
誰を指定するかは本当に大切です。
大切な人。いつもそばにいる人。自分がしんどい時にそばにいてくれる人。
指定するときにはそんな状況も含めて、検討してみてください。