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英語文法はこれだけ知っておけば、だいたい大丈夫!イメージから英語が理解できるようになる英文の読み方を解説します。
この記事はこんな方にオススメ!
「英語ができるようになりたいけど、英文法とか覚えていないなぁ…難しいルールじゃなくてざっくり基礎が知りたい」―このように英語をざっくり理解するための方法(英語文法)を求めている方にピッタリの記事です。
目次
英語の文法はシンプル
みなさんが抱いている英文法のイメージとは「難しい」「退屈だ」といったものではないでしょうか。実際に英文法の参考書として有名な『Forest』の目次は次のようになっています。
難しそうな項目がたくさん列挙されていますね。こんなに複雑で細かいと、うんざりしてしまうのも当然だと思います。
しかし、実際には英語文法はとてもシンプルなものなのです。英文法書の目次にあるような項目は枝葉末節です。
枝や葉の解説が無駄だというわけではありませんが、私たち非ネイティブが英語を勉強するにあたっては、もっと大きな視点で見る必要があります。
つまり、枝葉末節ではなく木全体を見ることが重要なのです。そして、英語の木全体はとてもシンプルな形をしているのだ、ということがこの記事で伝えたいことなのです。
イメージで理解する英語文法の基本
英語を直読直解するとは?
イメージで英語を理解するメリットは、英語がそのまま理解できるようになることです。私たち日本人が日本語を聞いたまま理解しているのと同じことをやろう、ということですね。
しかし、「英語をそのまま理解するなんて、どうすればよいのか想像すらできない」という方が多いと思います。そこで英語をそのまま理解することがどういうことなのか、イメージを使って実際に体験していただきましょう。
例文1:I called you many times.(何度もあなたを呼んだわ)
英文とイメージを対応させることで、英文が表している状況が、出てくる単語ごとに理解できたのではないでしょうか?
(スライドショーを読み飛ばすと意味がわからなくなるので、慌てずにじっくり確認してくださいね。自動再生されますが、右端の矢印を押すことでも次のスライドに移ります。)
このようにイメージを使うことで、英語をそのまま理解することができるようになります。
「イメージで英語を理解する」ときのポイントは「動きを表す単語」に気をつけることです。いまの例文で動きを表す単語を洗い出すと、次のイラストのようになります。
calledとmany timesが動きを表しています。イラストでは右矢印⇒ですね。一方で、Iとyouは動きがない単語です。
(本記事では動きを表す単語を「動」、動きがない単語のことを「静」と略すことがあります。)
大切なことは、この区別をイメージ化に役立てることです。そのために、英文を読みながら次のアニメーション画像のように指でなぞってみてください。
【静動】アニメーション
アニメーションに合わせて、実際に「I」「called」「you」「many times」と声に出してみて頂ければと思います。
私たちが目指すのは、英語を読んだ順に理解することです。それは、読んだ順に状況をコマ送りのように動かしていけるようになること、とも言えます。
コマ送り画像の一覧
その取っ掛かりとして【静動】のアニメーション画像のように指でなぞっていくわけですが、その前提としてどれが動きを表す単語なのかわからなければいけません。
この記事タイトルに挙げた英語文法の基礎とは、どれが動きを表す単語なのかがわかるようになることです。この基礎を身につけていただけるように、例文をいくつか追加して見ていきましょう。
英語文法で動きを表す単語とは?
例文2:The teacher got angry at me at school yesterday.(昨日、学校で先生に怒られた)
突然ですが、ここでクイズです。例文2で動きを表す単語はどれでしょう?
…
はい、答えはgot, at, at, yesterdayです。
この動きを表す単語の働きによって、状況に変化が生まれるのです。このような動きを表す単語を文法用語で次のように呼びます。
・got:動詞
・at:前置詞
・yesterday:副詞
動詞だけでなく、前置詞・副詞も動きを表します。次のコマ送り画像でも前置詞・副詞が動きを表していることを再確認してみてください。
コマ送り画像の一覧
前置詞とは
英文法における前置詞の定義
前置詞は、名詞や代名詞の前に置かれて、文中の他の要素との関係を表します。
前置詞は位置を表す意味で使われることが多いため、動きがないものとして捉えている方が多いと思います。
しかし、それは日本語訳したときに静的なイメージになっているだけなのです。英語をイメージ化したときには前置詞は動きを表すことに注意してください。
副詞とは
英文法における副詞の定義
副詞は、動詞や形容詞、副詞を修飾します。そのほか、文頭や文末、或いは挿入構文として文中に置くことで文自体を条件付ける文修飾となるものもあります。
この説明を読んで「なるほど。副詞とはそういうものか!」と納得できた方はほとんどいないと思います。
むしろ、副詞とは一体何者なのかさっぱりわからない…、という方のほうがほとんどでしょう。
この副詞、英語ではadverbと呼びます。
adは方向性を表します。verbは動詞ですね。つまり、方向性を伴った動きを表しているわけです。
副詞を動詞と共に用いれば動詞にある方向性を加えます(動詞の意味を軌道修正する)し、単独で用いれば状況全体をある方向に移したり、動きを加えたりします。
例文1のmany timesも副詞であり、I called youという状況を「複数回繰り返す(many times)」動きを加えています。
このmany timesのような働きが、さきほど副詞の定義で「文修飾」と説明されていたものなのです。
(「修飾」という言葉の意味がわからなくても問題ありません。あくまで英語の副詞は「動きを加えている」ということだけわかれば十分です)
英語文法における場面展開の原則
例文3:They went to a restaurant on the top floor of a skyscraper in San Francisco.(彼らはサンフランシスコの高層ビルの最上階にあるレストランに行った)
例文3を静動アニメーションで確認してみましょう。
静動の判別は大丈夫ですね。不安がある方は、もう一度例文2の解説を読み直してみてください。
さて、この例文3では「静動の判別」の次に重要な「英語文法における場面展開の原則」を解説します。英語には「中心から周辺へ場面展開する」という原則があるのですが、それをイメージで確認してみましょう。
a restaurant / on the top floor / of a skyscraper / in San Francisco
実はこの英語における場面展開の仕方は、日本語のものとは真逆になっています。日本語では次のように「周辺から中心へ」場面展開していきます。
サンフランシスコの/高層ビルの/最上階にある/レストラン
英語では場所や時を表す前置詞や副詞を介して、より周辺へ場面展開していきます。英語を読んでイメージ化するときには、ぜひこのことを意識しておいて頂ければと思います。
コマ送り画像の一覧
練習問題
次の3つの文章を読んで、どれが動きを表す単語かを判別しなさい。
問題1:Taro banged on the door.
問題2:He looks young for his age.
問題3:I bought the book yesterday.
解答1
【動】banged, on
解答2
【動】looks, for
解答3
【動】bought, yesterday
動詞の一歩踏み込んだ役割
ここまでで英語文法がシンプルであること、またイメージとリンクさせることで、そのまま理解できることを実感して頂けたのではないかと思います。
次は動詞に注目して、動詞の一歩踏み込んだ役割を確認していきましょう。
動詞の影響が残ることがある
例文4:I call him Ken.(私は彼をケンと呼んでいます)
例文4を静動アニメーションで確認してみましょう。
例文4におけるポイントはhimとKenの間に動きがあるように意識しながら指でなぞることです。callは目的語himに当たるだけではなく、him Kenの間にも影響を及ぼしているわけです。
callの影響によって、himとKenの間に関係があること(この場合は、himをKenと呼んでいること)が表されているのです。
コマ送り画像の一覧
動詞の影響が貫通することがある
例文5:I showed her a photo.(私は彼女に写真を見せた)
例文5のポイントは、showedからa photoまで一気になぞることです。一気になぞることで「彼女が写真を見た」ことまで意味に含めることができます。
この例文の置き換えとして英文法でよく出題される、次の例文と比較してみましょう。
例文6:I showed a photo to her.(私は彼女に向けて写真を見せた)
例文6は「私は写真を見せた、彼女に向けて」という意味です。この例文6におけるポイントは彼女に向けて写真を見せたが、実際に彼女が写真を見たかどうかはわからないということです。
置き換え問題としてよく出題される例文5と例文6ですが、まったく同じ意味というわけではありません。この違いを発生させているのは、a photoとherの間に挟み込まれているtoです。
toは「何か対象に向かう動き」を表しますが、このtoによってa photoとherの間に距離があることが表現されているわけです。
これらは日本語訳したときには違いがわかりにくくなるのですが、イメージだとその違いがすんなり理解できたのではないでしょうか。
例文5と例文6の違いを、それぞれコマ送り画像でも確認しておいてください。
例文5のコマ送り画像の一覧
例文6のコマ送り画像の一覧
練習問題
次の3つの文章を読んで、動きを表す部分に矢印を書きなさい。
問題4:He let me drive his car.
問題5:I bought her a present.
問題6:I bought a present for her.
解答4
解答5
解答6
まとめ:英文法の背景にも自然さがある
ここまで例文を挙げながら解説してきましたが、英文とイメージを対応させることで英語文法も無機質なルールではなく、自然な発想に基づいていることがおわかり頂けたのではないでしょうか。
(もし難しいと感じられたら、それは英語文法が難しいのではなく、著者である私の力不足が原因です。スミマセン!)
実は、これまで挙げてきた例文1~5は英文法で習う五文型に対応しています。
英文法における五文型
この記事で説明してきた「イメージで理解する英語文法」も、みなさんが学校で習ってきた「英文法」も、英語を解説しているという意味では同じです。
その違いは、イメージはざっくり大枠を捉えるのに適している一方で、英文法は細かい分類やしっかりと意味を確定させたいときに適している、というものです。
どちらが絶対に良いというわけではなく、みなさんの状況に合わせて組み合わせながら学習を進められるとよいと思います。
また、もし英文法に苦手意識があるならば、私が執筆した『英会話イメージリンク習得法』という書籍に、より詳しくイメージによる英語文法の解説をしています。
英語文法の解説以外に英語学習を継続するための心構えなども掲載しておりますので、ご興味ある方はご覧ください。