大切な人との一瞬を収めよう。
2014年、若者たちを中心に人気が広がった「Instagram」。
手軽に写真が撮れて、そのままウェブに投稿できる機能が魅力的。友人や家族の近況を瞬時に知ることができるタイムラインは、いつ見ても楽しめますよね。レトロな雰囲気ただよう「フィルムカメラ」のブームが再燃したのは、Instagramがきっかけだと言われています。
そんな人気アプリを、あなたはどう使っていますか? スマホカメラで“日常”を切り取ることもできれば、デジタル一眼とフィルムカメラで“作品”を生み出すこともできる。アルバムにもなれば、ポートフォリオにもなるのです。
いつか投稿を遡って、「あぁ、もう3年も前の出来事なんだ」って、友人と笑い合いたい。独特な写真を投稿して、人々を魅了したい。そんなぼくら・わたしたちのSNSだから、ていねいに、きれいに撮りたい。
写真家・吉森慎之介さんに訊く、撮影テクニック
「どうしたら、自分が満足できて、他人を魅了する写真が撮れるのだろう?」そんな疑問を受け取ってくれたのが、写真家の吉森慎之介さん。吉森さんの写真は、特に何かが際立っているわけではないけれど、落ち着くし、頑張りすぎていない。シンプルで、ていねいで、きれい。そんな彼のInstagramは、アルバムというより、ポートフォリオ。こんな写真が撮れたら、「あ、センスいいな」って、思われるのかもしれません。
▲yoshimori shinnnosuke
知っておきたい3つの原則
吉森さんいわく、たった「3つの原則」を徹底するだけで、写真の雰囲気は大きく変わるそう。まずは、その原則を紹介します。
1.スマホカメラに「グリッド」を表示する
▲「設定」→「写真とカメラ」→「グリッド」をONにすれば設定完了
1つめは、グリッドを表示させること。それによって、初心者でも一目で構図を意識した写真が撮れるそう。設定は、上図を参考に。
▲「グリッド」をONにしたときのプレビュー
おもしろいことに、この9分割された線が交わる“交点”が、人間の目に行き届きやすいポイントみたいです。被写体(上図ならカップ)をグリッドの交点に置くだけで、写真の印象は全然違うんだって。
iPhoneは「スクエア」を選んでいた方が、Instagramの画角として想像しやすいかも。
2.イケてる加工アプリは「VSCO」
出典:VSCO
多くのInstagrammer(インスタグラマー)※1が利用している有名な加工アプリ「VSCO」。無料なのに(登録必須)フィルターの数も豊富で、コントラストや彩度を細かく調整することができます。もちろん、吉森さんもVSCOを利用しているとか。
吉森さんのお気に入りフィルターは、「フェード」。1.0~2.0聞かせると雰囲気のある写真になるそうです。
※1……数万〜数十万人のフォロワーがいるInstagramアカウント運営者。その拡散力や影響力を持った人のことを「Instagrammer(インスタグラマー)」と指す。
ただしフィルターの使い方に、「これがいい!」と言い切ってしまうと加工の幅が狭まってしまうそう。自分が好きな写真をイメージして加工してみましょう! きっとそれが”あなたらしい写真”の第一歩になるはず。
VSCOをダウンロード(iPhone ver.)
VSCOをダウンロード(Android ver.)
3.晴れた日の日中は、必ず自然光を取り入れる
提供:yoshimori shinnosuke
「自然光に勝るライティングはない」と話すほど、自然光は大切。ただしおしゃれなカフェで撮るならば、テラスよりも窓際の席を確保すること。直に自然光を浴びるよりも、窓ガラスを挟んだほうが光が分散され(これを『デフューズ』というらしい)、ふわっとした柔らかい雰囲気の写真が撮ることができるそう。
逆に、暗い印象を与える夜での撮影は、Instagramには不向きだとか。アルバム全体を明るく見せてくれた方が、見る側としても気持ちいいですよね。
上図のように、くっきりとした影が伸び、かつ柔らかい雰囲気を演出するのは、ちょっとした工夫も必要なのだ。これを知っているかどうかで、写真はまったく違う顔をするんだろうな。
きれいに、おしゃれな写真を撮るコツ
では、ようやく本題。さっきの「3つの原則」だけでも十分にタメになったけれど、きれいに、おしゃれな写真を撮るにはどういったコツがあるのだろう。もう少しだけ実践的なパターンできいてみよう。
写真の加工をイメージする
「ぼくが写真を撮る際に意識していることは、“加工までが写真”ということ。家に帰るまでが遠足……みたいな(笑)。きれいな写真を撮るためのコツは、構図云々のまえに、撮る瞬間に加工のイメージができているかどうかじゃないかなと。たとえば『食器』が被写体のときは、『どうやったら食器を主役にできるか』を考えます。」(吉森)
提供:yoshimori shinnosuke
「たとえばこの写真(上の画像)。主役は食べ物に見せかけて『食器』なんです。だからあえて、ピントも合わせていない状態で、フラットな雰囲気を演出しています。できるだけ逆光を利用して、影をつくり、主役に立体感を与えてます。順光(カメラの背後から被写体に向かって影が差すこと)で撮るのは難しいと思うので、食べ物や食器は逆光で撮ったほうがやりやすいと思います」(吉森)
▲カフェでは窓際の席をチョイス! 黄色(逆光)とピンク色(サイド光)を意識して撮影しましょう。
「俯瞰図」はひと工夫で雰囲気を演出
「あと食べ物を主役にするときは、極力俯瞰(真上からの撮影)で撮るようにしています。ただし机の上があまりにもごちゃっとしていると、写真全体がうるさくなるので注意ですね。個人的にわざと見切れさせることも好きで、ドライフラワーや野草をアクセサリーとして使うことが多いです。ひと工夫するだけで、華やかな印象になりますから」
提供:yoshimori shinnosuke
被写体が2つ以上のときは、見切れさせる
「もし被写体(主役)が2つ以上のときは、あえて見切れさせてもいいのかなと。無理やり入れてもいいですが、カフェでわざわざ立って、上から写真を撮るのって結構恥ずかしい(笑)。それに加えて、あまりに情報量(色)が多い写真はちょっとうるさいかも。たくさん撮りたい気持ちを抑えて、できるだけ光源を意識して見切れさせるだけで、まとまったきれいな写真になると思います」(吉森)

提供:yoshimori shinnosuke
人物・背景写真は、“凝りすぎない”
「iPhoneで背景写真を撮るときは、ピントを合わせなくてよいです。『カメラ』を起動してすぐの状態で撮れば、写真全体がフラットに写ります。ピントを合わせてしまうと、どこかがボケてしまうので。ちなみに人間が被写体のときのコツは、相手の腰の位置に合わせてかがんであげると綺麗に撮れます。写真を撮るときって、自分の目線に合わせて撮影するので、被写体を見下ろしてしまうんですよね。これだけマスターすれば、きっと素敵な写真が撮れるようになると思います」(吉森)
さいごに
今回紹介したテクニックを駆使すれば、友達に差をつけられるかも! “インスタ映え”する写真が投稿できれば、自然と「いいね!」も増えることでしょう。ぜひ、今日から実践してみてくださいね。