【前回の記事】「「伝える」だけでは意味がない。評価につながる「動かす」文章の書き方」はこちら
今回は、3月1日に発売された拙著『人より評価される文章術』(発行:宣伝会議)から、ロジカルライティングを専門とする高橋慈子氏、エモーショナルライティングを専門とする堀内伸浩氏の著者2名それぞれに分けて、ライバルより、同僚より、他社より評価される文章術について2回の記事で触れていきます。
文:堀内伸浩(文章コンサルタント)
「あなたのカラダは、あなたがこれまで食べてきたものでできている」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
じつは、これと同じように、あなたの今の仕事の状況も、あなたがこれまで書いてきた文章でできていると言えるのです。どういうことかというと、もし今、あなたが仕事でうまくいっていないとしたら、それはこれまであなたが書いてきたビジネス文章に問題があった可能性が高いということです。
たとえば、
- ・クライアントとの関係がうまくいっていない
- ・取引先の人とトラブルになることが多い
- ・仕事をお願いしている人がなかなか言うことを聞いてくれない
といった状況になっているなら、それはあなたのビジネス文章が招いた結果だと言っても過言ではないということです。
じつは、私も独立後、仕事がうまくいかない時期がありました。当時は仕事も少なく、何をやってもうまくいきませんでした。しかしその後、「あること」に気づいてからは、仕事がうまくいくようになり始めたのです。
その「あること」とは、ビジネス文章は「自分本位」ではなく、「相手本位」で書くことが大事だということです。
私はそれまで文章力には自信があったので、
- ・どうやって自分の意見を通そうか?
- ・どうやって自分の利益を最大にしようか?
- ・どうやって自分の身を守ろうか?
といったこと最優先に考え、文章力で相手を説き伏せようとしてメールの文章を書いていました。
つまり、「自分本位」の発想で「どう書くか」を考えていたわけです。しかし、「相手本位」で書くことの重要性に気づいてからは、私の書くメールの文章はガラリと変わりました。
発想そのものが、
- ・どうすれば相手に喜んでもらえるのか?
- ・どうすれば相手の役に立てるのか?
- ・どうすれば相手の手間を省いてあげられるのか?
に変わったのです。
たとえば、相手が喜びそうな一言を「追伸」で付け加えたり、相手の役に立ちそうな情報を提供したりといったことです。また、地雷を踏まないよう(相手を怒らせないよう)に、相手の気分を害するような表現は避けるようにしたのは言うまでもありません。
「自分本位」から「相手本位」へ–。
たったこれだけのことで、私のことを応援してくれる人たちが徐々に増えはじめ、その結果、私の人生は激変したのです。表現力が格段にアップしたわけでも、ボキャブラリーが大幅に増えたわけでもありません。ただ、相手の立場で物事を考えるようにしただけでした。
この「相手の立場で物事を考えて書く」ことは、私が提唱しているエモーショナル・ライティング(相手の心を動かす文章術)の基本スタンスです。エモーショナル・ライティングの具体的な活用方法については、『人より評価される文章術』の中で書きましたので、そちらをご参照ください(第4章~第6章)。
近年、メールの普及によって、メールのやりとりだけで仕事が完結するケースが増えてきました。このような仕事環境の人にとっては、メールの印象がすべてといってもいいでしょう。
そんな中で、その他大勢の中から抜け出し、応援される人になるためには、ビジネスライク(事務的)な文章では物足りません。必要なのは、相手の心に訴えかけるエモーショナル・ライティング。多少荒削りでもいいから心のこもった文章のほうが相手の心に響くのです。
さあ、あなたも「自分本位」の考え方から「相手本位」の考え方へと、少し軸足をずらしてみませんか?
前半の高橋さんの記事と、後半のこの記事にて、『人より評価される文章術』の前段に触れてきました。ご興味をお持ちになった方は、ぜひ本書を手にとってみてください。
『人より評価される文章術』
本書では、報告、提案、説明、説得など、仕事の場面ごとに生きる文章テクニックを公開しています。ビジネスの文章にセンスも文学力も必要ありません。誰でも簡単に身に付けられる、仕事を動かし、評価されるために有効な「理性に訴えるロジカル・ライティング」と、「感情を動かすエモーショナル・ライティング」を学びます。
はじめに/文章の出来が評価につながる/第1章:理性に訴えるロジカルな文章とは/第2章:相手を動かす、ホウレンソウで生きる文章 ~報告書、連絡メール、相談メール~/第3章:相手に理解してもらう、説明で生きる文章 ~商品説明文、手順書、マニュアル~/第4章:感情を動かすエモーショナルな文章とは/第5章:相手に納得してもらう、提案で生きる文章 ~企画書、プレゼン資料、チラシ~/第6章:相手に感動してもらう、依頼で生きる文章 ~依頼状、お願いメール~/おわりに
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