インタビュー
服部宣之プロデューサー(テレビ朝日)/『やすらぎの郷』

『やすらぎの郷』服部宣之Pが語る――第4回:テレビを取り巻く厳しい現状と、未来に馳せる思い

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服部宣之プロデューサー(テレビ朝日)/『やすらぎの郷』

『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)は、脚本家・倉本總の「若者向けになってしまった現代のテレビに“シルバー革命”を起こしたい」という思いから生まれたドラマ。それだけに、劇中には昨今のテレビ業界への風刺や提言なども散りばめられている。視聴率低迷が叫ばれる今の時代に番組を作っている当のテレビマンは、その思いを受け、何を感じるのだろう。「答えにくいと思いますが…」と前置きしたうえで、『やすらぎの郷』のプロデューサー・服部宣之氏に質問を投げかけてみると――。(以下敬称略)

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今のテレビ業界に、昭和の頃の熱気はあるのか…思わず自問自答してしまいます

――今回のドラマに先駆けて、倉本さんだけでなく、石坂浩二さんも「大人が見られるドラマがなくなった」とおっしゃっていました。テレビ業界全体を見て、そのような状況になっているのはなぜだと思いますか?

服部:確かに、いわゆる骨太といいますか、後に名作といわれるようなドラマは減ってしまいましたね。ボク自身もそうですが、それはきっと、作品に分かりやすさを求めるようになってしまったからだと思います。分かりやすい=若者向けというわけではないのですが、ここ数年、テレビ業界に「分かりやすいものを作ろう」という風潮があることは確かです。実際、ボクも打ち合わせの際に倉本先生から「もっと視聴者の人に想像してもらいなさい」と言われました。例えば、一つの画をインサートしたり、何かと説明過多になることで、視聴者の想像力を奪ってしまっていると。本当にその通りだなと思います。

――今作に限らず、服部さんはベテランの女優さん・俳優さんとお仕事をされる機会がおありだと思いますが、そういった現場ではいつもどんなことを感じていますか?

服部:この世界で自分より長く生きている方々とお仕事をさせていただくと、知らない世界の話を聞くことができて、本当に楽しいんです。特に、自分が“仕事”として体験してこられなかった昭和という時代のテレビ界の熱気や熱量には、すごく憧れているので、その当時の話を聞くのは、どんな些細なことでも勉強になります。それに、長いこと第一線で活躍されている方には、共通して“粋”や“品格”があるような気がしていて、そういったものを、いつか自分も身につけたいと思っています。

  • 石坂浩二(菊村栄役)&有馬稲子(及川しのぶ役)&松岡茉優(財前ゆかり役)/『やすらぎの郷』-(C)テレビ朝日
  • 石坂浩二(菊村栄役)&ミッキー・カーチス(真野六郎役)&山本圭(岩倉正臣役)/『やすらぎの郷』-(C)テレビ朝日
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インタビュアー

坂井仁美

坂井仁美

テレビ誌編集スタッフを経てフリーライターに。恋愛ドラマに胸キュンしていたのは遠い昔、三十路を過ぎて男女のドロドロ愛憎劇が好物に。「テレビばかり見てちゃダメ!」と子供を叱るたびに「説得力ゼロだな…」と夫に呆れられる日々。そのせいか、ドラマのキーワードに“離婚”の2文字を見つけると、明日は我が身と思わず録画予約するクセあり。

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