僕が去年の11月にKaizen Platformに転職したこともあり、知り合いから「自分たちの会社でリモートワークを始めたい」関係の話を聞くことが多くなってきた。転職してまだ半年くらいだけど、僕たちの会社の取り組みや、それに対して僕が考えていることを書いてみる。

ここに書いてあることはKaizen Platformの他のメンバーと見解が違う場合がある。かつて弊社の技術顧問だった@naoya_ito氏はこれらの文化の土台を築いたが、彼はそれをルールとして縛ることはせず、ガイドラインとして残した。だから多様な見解があり、僕たちはそれを良しとして仕事をしている。

Kaizen Platform

という会社にいる。この会社は文化的にリモートワークが根付いていて、働く場所と時間の制約がない。

時間や場所の制約がないので、同じ時間に同じ場所にみんなが集まることが難しい。多くのミーティングはビデオチャットごしに行われ、ホワイトボードの代わりにスクリーンシェア機能を用いて話が進む。

画面越しなので、相手の表情はコマ切れになったり、声の抑揚がうまく伝わらず平坦化されたりする。ビデオチャットを多用するようになってから、それらが実際のコミュニケーションで大事なことだったと強く認識した。

喫煙所の決定

しかし、それらは些細な問題にすぎない。リモートワークのどの本を読んでも、ビデオチャットのことについては深く言及されていない。どちらかというと、コミュニケーションの欠落をいかに防ぐかということが書いてあることが多い。

隣の席の同僚と小さな議論をしたとしよう。その議事録は誰が書くのだろうか。多くの場合、こういう議論は共有されない。情報は掛け算だ。小さな議論が、やがて行われる大きな議論において重要な役割を持つことになるかもしれないのに。

「喫煙所の決定」という言葉がある。喫煙所では手持ち無沙汰であることが多く、そこに会話が生まれ、自然と愛煙家同士は仲良くなる。やがてミーティングで議論しきれなかった議題が持ち込まれ、特定のメンバーのみの間で決定が下されてしまう。

リモートワークへの努力とは何なのか

「オフィスに居る」と「リモートワークをしている」を明示的に分けてしまうと、この問題は起こりやすい。「リモートワークの人にも共有しないと…」という言葉が出た時には既に遅い。それは喫煙所の決定が行われ、過程が虫食いになった結論だけが外に出ていくまさにその瞬間を描いている。

そして、この「喫煙所の決定」を防ぐべきなのはリモートワークに限った話ではない。席のレイアウトやメンバーの役職、勤務時間や有給休暇など、同じことが起こる要素は他にもたくさんある。それらはすべて、同じように情報境界になりえる。

リモートワークは、これらの延長線上にあるのだと思う。リモートワークへの努力とは、メンバーすべてが平等であるように振る舞うこと。僕はオフィスが会社だと思っていない。オフィスが会社なら、オフィスに居ない者がメンバーではなくなってしまう。

隣に居てもテキストチャットやビデオチャットで話したり、些細な議論もドキュメントベースに残すようにして、情報の欠落が起きないよう慎重に仕事をしている。この努力を積み重ねてようやくリモートワークが実現できているように思う。