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2017年05月12日 17時00分
前方にも気を配るのがバックの達人(クルマの運転操作 みんなはどうしている?)
ひと昔前なら、目視とミラーでしかできなかった後退時の安全確認も、バックモニターの普及や、駐車位置を誘導してくれるパーキングアシスト機構のおかげで、ずいぶんやりやすくなりました。縦列駐車に手こずるシーンを見かけることも少なくなりましたね。 そうはいっても、自分のクルマがいま、どんな状況になっているのか? が把握できにくいのがバック。 車両感覚を見誤ってしまい、ちゃんと停めたつもりでも隣のクルマにすれすれになったり。 やたらと時間がかかりすぎたり。一方で涼しい顔して一発で車庫入れできるひとがいる…。みなさんは、どうしていますか?
後方8:前方2くらいの割合で、前方にも気を配る
バックだからといって後方だけを注意するのではなく、「意識」の配分に気を配っています。後方8:前方2くらいの割合で、車両前方や横も意識しています。 そうすることで、ステアリングを切りながらの車庫入れの場合にやってしまいがちな、うっかり前方をコツンと当ててしまうことなどを防いでいます。
目視する際の、上半身のひねり方とペダルの足の位置に注意する
ただでさえパニックによるヒヤリとする状況が起こりがちなバックですが、もうひとつ危険がひそんでいます。 それは、ペダルの踏み間違いです。 その原因は、人体の構造。上半身をひねりすぎると、足の位置がズレてしまうんですね。 そのため、わたしは後方を目視する際、目線とともに、自分の姿勢にも気をつけています。
そして、ペダル操作。AT車なら、クリープを上手に使って、ブレーキ操作だけでバックするようにしています。アクセルペダルに触れないことで、踏み間違いを避けることができるからです。 その際、かかと部分を浮かせず、しっかりとフロアに着けること。ここが安定した「支点」となるので、確実にペダル操作ができます。
大きく身体をひねりすぎると無意識のうちに足の位置がずれ、ペダルの踏み間違いにつながる危険があります
自分のクルマの「死角」を知る
クルマにはかならず「死角」が存在します。初めて乗るクルマでは、周囲の安全が確保できる場所でクルマを停め、友人などのパートナーにボディの周囲に立ってもらいます。その位置を変えてもらいながら、陰になって見えない部分はどこかを運転席から確認することで車両感覚が磨かれスムーズにバック駐車ができるのです。
ライター:畑澤 清志 [ガズー編集部]
クルマはラクに運転するのが一番 トヨタで運転技術指導をしていた頃、助手席に同乗した受講生に「クルマってこんなにスムーズ動くのですね」と感心されることが、とても嬉しく、やりがいを感じる瞬間でした。例えばカックンブレーキなどのショックを起こさないペダル操作を行うことでスッと停止すると、とてもなめらかで気持ちがいい。同乗者に、不安感を与ることなく喜んでもらえるのも、運転する喜びでもあります。 運転方法には、色々なコツがあると言われていますが、わたしは、長年クルマに乗る仕事に携わってきた経験の中で、効率よくラクに運転することを重視しています。シートポジションはもちろんのこと、適切なハンドルやペダル操作を行うことで、手数を少なく効率的に動けるので、運転に余裕ができます。その分、慌ててハンドルをきったりすることもなく、周囲の安全に気を配ることができるのです。ある程度までは、体で覚えるように練習していただくと、あとは自然に身に付いていきます。自分も同乗者も気持ちがいい運転と、安全につながる余裕を、ぜひ実感してみてください。
【監修・解説者】
ドライビングエキスパート滝本 良夫(たきもと・よしお)(トヨタの元テストドライバー)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、車両実験部でハイエース、ダイナ、コースターなどの商用車系開発の実験および商品監査に携わる。2014年に定年退社。
ドライビングエキスパート伊藤 昇(いとう・のぼる)(トヨタの元テストドライバー)
約40年にわたりトヨタの運転技術指導員として活躍しながら、メガクルーザーやダイナ、 ウェブキャブなど特装車両、スープラなどの乗用車の開発実験と、お客様の声を開発現場へ反映する業務に携わる。2015年に定年退社。
【MC】
黒須 さおり(くろす・さおり)
2013年・2015年~2016年GAZOO Lady 自身なりの方法で精一杯クルマ好きを増やしていきたいと、ブログの発信など積極的に活動中。
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