アマチュアアーティストやクリエイター向けの音楽配信プラットフォーム
池澤:まずは、スマートソーシャルさんの事業内容について教えてください。
小田倉:現在はWebシステムやスマホアプリの受託開発を中心とするソリューション事業、ヒューマンリソース事業、マーケティング事業──この三本柱で事業を展開しています。
ソリューション事業では顧客企業からいただいた案件について、プロジェクトマネジメントから実際のコーディングまでを行います。都内のソフトウェアハウスとのネットワークが1000社以上あるので、それらと協業で開発することも多いですね。

1976年生まれ。東京電機大学工学部卒業。2000年、大手メーカー系SIerに入社。2003年、サイバード入社。トップエンジニアとして8年間勤務。2011年3月、スマートソーシャルの設立に参画。取締役CTO職を務める。共著に『イラストでよくわかるJavaScript Ajax・jQuery・HTML5/CSS3のキホン』(インプレスジャパン)がある。
池澤:スマートソーシャルさんは音楽産業の雄、エイベックス・グループからの受託で「BIG UP!」というサイトを構築されたんですよね。
しかも、その中心に昨年(2016年)4月に入社したばかりのエンジニアがいた、というお話を聞いて驚いたんですが……。まず「BIG UP!」というのはどんなサイトなんでしょうか。
小田倉:一言でいえばアマチュアアーティストやクリエイター向けの音楽配信プラットフォームですね。サイト上でアーティストやクリエイターの情報を公開するとともに、世界112カ国のさまざまな音楽配信サイト向けに自分の楽曲などを販売することができます。
販売状況を確認できるレポート機能のほか、アーティストページの制作、CDやグッズ受託製造やeコマース、音楽出版社への登録などのサポートも受けることができるんです。
池澤:最近はSNSでの演奏が有名になってメジャーデビューを果たすミュージシャンがいますが、まだ無名だけれど実力のあるアーティストの活動を支援しようというわけですね。
iTunesやAmazon Music、YouTubeでの配信なども代行してくれるんですか?
小田倉:そうです。現在、リストアップされている配信先は30以上に及びます。アーティストからは配信代行利用料をいただく有料サービスですが、昨年10月のリリース以来、すでに10万人の登録があります。
単に配信を代行するだけでなく、どうやったら自分の作品を収益化できるかといったサポートもするといった特長があります。
できるアルバイトを社員に迎え、いきなり実戦投入
池澤:そのサイトを一人で作ったのが、片桐さん?
片桐:いえいえ、一人ってわけじゃないです。小田倉さんがヘッドにいて、僕の直属の上司がいて、それから外部のベンダーのエンジニアもいて、総勢10人規模のプロジェクトでした。

1995年生まれ。日本工学院専門学校情報処理科に在学中からスマートソーシャルでアルバイト。卒業後の2016年4月にスマートソーシャルに正社員として入社。
小田倉:でも、結果的にコードの8割ぐらいは、片桐君が書いたんじゃないの? 私はコードそのものにはほとんど関わっていないから。
池澤:それは、すごーい!プロジェクトはいつからスタートしたんですか。
片桐:昨年の4月に着手して、10月にはリリースしました。
池澤:速いですね。言語は何ですか。
片桐:フロントエンドはRuby on Rails、管理ツールなどのバックエンド系はPHPで書いています。僕は主にRailsを使いました。
といってもまっさらな状態から始めたわけではなくて、プロジェクトに関わる前に、大方の形はできていたし、最初の環境構築も終わっていたんで、僕はひたすらコードを読んで、それを完成させるという仕事。
池澤:でも、プログラミングは初心者だって伺っていたんですが……。
片桐:パソコンは好きでしたが、本格的なプログラミングは専門学校に入ってからです。でも、学校の授業は情報処理など資格試験の準備が大半で、あまり面白くなかった(笑)。
C言語は必須なので勉強していましたが、PHPとかRubyなどのLL言語はスマートソーシャルに来てから覚えました。
小田倉:片桐君は正社員として入社する前に、1年間、うちでアルバイトをしていたんですよ。そのとき自社のマーケティング事業関連のサイト制作を任せたら、意外にできるヤツだったんで(笑)、4月からはこのプロジェクトに放り込みました。
池澤:できる人だったんですね。
片桐:いや、そういうわけじゃ……。PHPもRubyも、もうひたすら実践して覚えてきたというのが正直なところ。わからないことをネットで調べ、それでもわからないことは先輩たちに聞く、その繰り返しでしたね。
アルバイト時代も含め、スマートソーシャルでは基本的にそういうスタイルで技術を習得してきました。結局、1年経ってみたら、このサービスに関してだけですけれど、コードについては一番わかっているエンジニアになってしまいました(笑)。
池澤:プロジェクトに放り込んで若手を鍛えるというのは、会社としての方針なんですか?
小田倉:人が少ないからやむを得ない面もあるけれど、プログラムって基本的には仕事を通して覚えるのが一番習得が速いというのはありますね。
私は細かいコードレビューはあまりしません。仕様が設計としてちゃんと実現しているかはもちろん見ますけど、後は一人ひとりのメンバーにタスクを与えて、それを通して成長してもらう。片桐君は期待値以上の働きぶりでした。
池澤:わからないことはネットで調べるという話がありましたよね。私もよくもやるんですが、これがなかなか難しい。
エラーメッセージを貼り付けてググっても、ぴったりの解答に遭遇するのはマレじゃないですか。Stack Overflowあたりに出ているとラッキーなんですけれど。
片桐:日本語サイトだけでは解決しないで、結局、英語を読まないといけないことも多いし、Stack Overflowは英語だと結構キツイし……。
池澤:エラーがでるときって、あせっているから、余計、英語を読むのがつらくなりますよね。
片桐:ですよね。
顧客対応は苦手だが、いずれは克服していかないと
池澤:ちょっと片桐さんが書いたサイトを拝見させてもらってもいいですか……(と、「BIG UP!」サイトにアクセス)。へえ、こんなことができるんだ。
片桐:自分の楽曲などを配信・販売したいユーザーさんは、まずこの画面で登録してから、ログイン。
アルバムと個々の楽曲の情報を入力して、ジャケット画像があればそれをアップロード。それが済んだら今度は配信先を選び、楽曲をいくらで販売したいかを設定して、それから配信ボタンを押すと。
池澤:使いやすくできていますね。技術的にはどのあたりが難しかったんでしょうか。
片桐:Ruby on Railsのコードそのものというよりは、データ形式やデータベースの整合性とかですかね。サイト制作にはデザイン会社や外部ベンダーも関わっているので、それらとの技術的なすりあわせが必要でした。
池澤:そういうのも全部、入社1年目の方が……。
片桐:いや、直属の上司もいてサービス全体を見てくれていましたし、発注元のエイベックスさんとの打合わせや進捗報告は、すべて小田倉さんがやってくれましたから。
小田倉:基本的には1年目から顧客との直接対応はさせないんですが、もう2年目ですからね。今年度からは片桐君にも顧客折衝もやってもらおうと考えているんです。
片桐:それを言われると辛いかも(笑)。この前も、お客様からの問合わせに一人で対応しなくちゃいけないシーンがありまして。おかしなことを言って墓穴を掘ってしまいました。
池澤:クライアントへの対応はたしかに大変ですよね。
片桐:上司はさらっとやっちゃうんですが、僕はまだまだ。こればかりは場数を踏むしかないと覚悟しています。
池澤:入社後初めての大きな案件だったわけですよね。やはりアルバイト時代とは違いますか。
片桐:世の中に出るサービスという意味では初めてのプロジェクト。だから緊張感はありましたね。
でも、うちの会社は人数の規模感もあると思いますが、エンジニア同士、あるいはエンジニアとデザイナーさんとか企画サイドとのコミュニケーションがとても密なんですよ。
同じプロジェクトで違う機能を担当していても、互いの仕事がよく見えているから、カバーし合える。そういう環境がありましたから、ずいぶん助かりました。
今後はより上流工程に近づいた仕事もできるようになりたい
池澤:片桐さんは、プライベートではどんなライフスタイルなんですか。
片桐:基本的にインナーですね。土日は基本的に家にいて、マンガを読んだり、ゲームをしたり。
池澤:エンジニア向けの勉強会とか行かないんですか。
片桐:行かないですね。人の話を黙って聞いてるより、コードを見ていた方が成長が早いんじゃないかと思いますし。
池澤:では、休みの日にも家でコードを書いている?
片桐:いえ、それはないです。今後ともそういうことがないように祈りたいです(笑)。だいたい、平日もそんなに遅くまで会社にいませんし。
小田倉:ホントはもっと仕事はあるんだぞ(笑)。ただ、だらだらと会社にいてもしょうがないしね。そのあたりは自己裁量に任せています。
池澤:とても「ホワイトな」会社なんですね。
片桐:もちろんリリース直前は休日出勤もありますが、たいしたことはありませんでしたし、通常は結構早く帰ってましたよ。今後、お客様との折衝が増えてくると、そうも言ってられないかもしれませんけれど。
池澤:これからはどんなエンジニアになりたいですか?
片桐:今後はより上流工程に近づいた仕事もできるようになりたいですね。単なるプログラミングだけではなく、顧客ニーズの深掘りとか、全体の設計の仕事とか。
小田倉:まずはコーディングスキルを究めること。各Webサービスで使われるモジュールやライブラリについても精通して、それらを使いこなしていってほしい。
さらにはお客様と直接向き合う、ヒリヒリとした現場も経験してもらって、SEとして成長していってほしいなと思っています。
池澤:普段私がお会いするエンジニアの方って、勉強会大好き、コミュニティ大好きという人が多かったけれど、片桐さんのように、休日は家にこもって淡々と過ごすというタイプの人もいるんですね。
実は、私も勉強会とか呼ばれるときは行くんだけれど、そうじゃないときは家で一人で勉強するほうが好きなんです。そのあたりはちょっと似ているかも。
いずれにしても、社会人1年目なのにここまでコードが書けて、プロジェクトを達成できる人がいるということに驚きでした。ずいぶん励みになります。今日はお話ありがとうございました。
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