シーミーって何?
毎年3~4月の週末、沖縄本島中南部では、沖縄特有の「亀甲墓」と呼ばれるお墓の前に親戚一同が集まって重箱に詰められたごちそうを食べる光景があちこちで見られます。
「えー!お墓でピクニック?」と言いたくなるような光景ですね。
これは旧暦3月の「清明節」(二十四節気の一つ)に行う行事で、「清明祭(しーみーさい)」と呼ばれています。簡単に言うと祖先が眠っているお墓の前に集まって、みんなでごちそうを食べ、祖先を供養する行事です。餅や豚肉、お菓子などが入った重箱やお酒、お花を供え、あの世のお金「ウチカビ」を焚いて祖先への感謝の気持ちをささげます。
「これからも見守ってください」と手を合わせた後、墓の前でごちそうを食べます。
この日は、親戚同士で近況を報告し合ったり、子どもたちの成長を確かめたりする日でもあります。
清明入りは例年、新暦の4月上旬。今年(2017年)は4月4日に清明入りしました。清明入りして初めての週末だった8日には各地で清明祭が執り行われました。
米軍基地の中でもシーミー
ニュースでよく見聞きする普天間基地内にもお墓があり、そこでもシーミーは執り行われます。基地の中にお墓があるのは、沖縄戦の前までその場所に人が住んでいて、そこに暮らしがあったことの証しです。基地の中に先祖が眠る人たちはシーミーをするために事前に市役所を通じて基地に入域申請をして、許可証をもらい基地内に入ります。
例年470人ほどが基地に入り、先祖供養をします。今年は16日(日)が一斉入域の日です。
シーミーの歴史と由来
沖縄の春の風物詩とも言えるシーミーはいつから行われているのでしょうか。
シーミーは中国伝来の行事で、沖縄の歴史書『球陽』には1768年から清明節に祭をすることが記されています。
お供えする重箱には豚の三枚肉、赤かまぼこ、結び昆布、ごぼうなどのおかず、餅などを詰め、お菓子や果物、花、水、酒と一緒にお供えします。
この重箱も以前は各家庭で作っていましたが、最近はスーパーなどで沖縄式オードブルを注文する家庭も増えました。清明入りして最初の週末だった8日の新聞にはオードブル特集の広告が出ていました。
お笑い芸人がユタに!あの世からのメッセージ
この清明祭を歌った歌もあります。その名も「Let’s清明祭」。歌っているのは大兼のぞみwithDJレイコ。
「大兼のぞみ」は沖縄のお笑い芸人・知念だしんいちろうさんが扮するユタ(=奄美群島や沖縄を中心にみられる巫女。神がかりの状態で死者の口寄せを行なったり,人々の不幸や病気の原因を占ったりする)のキャラクター。
「DJレイコ」はパフォーマーSAKAE扮する幽霊のキャラクターです。
2016年4月3日にCDをリリースし、イベントやライブで活躍しています。そんな大兼のぞみ with DJレイコにシーミーとは何なのか聞いてみました。
―なぜシーミー祭を歌にしようと思ったんですか
のぞみ 主に本島内だけどシーミーは沖縄で大切な行事よね~。シーミーの時にはみんなお墓に行くけど、沖縄の人ってシーミーの時しか墓に行きたがらないじゃない。
―そう言われればそうですね。
のぞみ もっと墓に行った方がいいよ。そしたら先祖も喜ぶよ。それとシーミー楽しいよというメッセージを込めたの。
レイコ(レイコは幽霊なので、話せない。のぞみがレイコの言葉を仲介) シーミーの時だけじゃなく、オールシーズン墓に来てほしい。
のぞみ 沖縄でも上の世代とのつながりが薄れてきているじゃない。おじいちゃん、おばあちゃんの家にもっと行ってほしいし、先祖のお墓にも気軽に行ってほしい。
レイコ 模合(もあい=複数の人が月に1回決まった金額を持って集まり、その中の1人が集まったお金を受け取る。毎月1人ずつ順番にお金を受け取っていく)感覚で。模合は毎月なのに、お墓に行くのはなぜ年1回か?と沖縄社会に疑問を投げかけているんです。曲調はレゲエだけど、心はロック。
―歌詞の中にもありますね。「模合は月イチ シーミー年イチ 墓場で模合をすればいい」って。しかも支払いは「ウチカビ」(笑)
のぞみ この世とあの世は変わらないのよ。作法ではなく気持ちが大事、お墓ではしゃいでもいいのよ。
レイコ 幽霊の立場からすると年に一回しか会えないのはさみしい。だからたまに会いに来る。そしていすぎたのが浮遊霊になる。
―なるほど。
―若い人はシーミーに行かない人もいますね。
のぞみ それは2つ理由があるよね。1つは楽しくなさそう。2つ目は大切さが分かっていない。
レイコ だからシーミーをおしゃれにしたい。DJブース作ってくわっちー(=ごちそう)を食べてもいい。それぞれのやり方で楽しいと思えればいい。
のぞみ ご先祖さまは見えないけど、想像はできるよね。おじいちゃん、おばあちゃん、そのまたおじいちゃん、おばあちゃんがどんな人だったか聞くことはできる。つながることの大切さがわかれば、もっとシーミー行くんじゃない。シーミーはあの世とこの世をつなぐピクニック。世代と世代をつなぐピクニックなのよ~。「忙しい」という理由で行かない人もいるけど、ご先祖さまは全部見えているよ~。
―5月からJTAの機内で「Let’s清明祭」が流れると聞きました。
のぞみ そうなんです~。宮古、八重山ではシーミーをしないから、宮古、八重山の人にシーミーを知ってもらいたい。シーミーの時ってなぜか家系図持ってくるおじさんがいたりね(笑)、何なの?と思うけど、分かり始めると楽しくなるのよね。あと、ダメな大人たちも見られる(笑)。
曲を県外の人にも聞いてもらってシーミーという文化が沖縄にあることを知ってもらいたいです~。
~ この記事を書いた人 ~
玉城江梨子(たまき・えりこ) 琉球新報Style編集部。琉球新報の記者として10年余り沖縄各地を取材。沖縄の本当の良さを全国の人に届けたいと思っています。