前回まではパワハラが原因で休職して、何とか復帰するまでのお話をしましたが、そもそも僕は、なぜパワハラを受けてしまったのでしょうか。その答えは、ある日突然、あっという間に見つかりました。その疑問を的確に教えてくれたのが、職場のアウトローKさんでした…。
職場のアウトローあらわる
休職から復帰して会社に出勤するようになったものの、職場の誰もが、腫れ物に触るような感じで、僕に不自然に接してきました。精神が不安定になり、仕事もロクに任せられない社員になってしまったのですから、当たり前と言えば当たり前です。そんな中、今まで数度しか話したことのない職場のKさんが、突然僕の方に寄ってきて、大きな声でこう言ってきました。
元気ねぇ~なぁ...。せっかくレールに乗ってたのにもったいね~ことしたなぁオマエ!
ホントにバカ野郎だなw
※ Kさんが言っているレールとは出世コースのことです。人に刃向かう度胸のない僕は、内心ムッとしながらも『はぁ~(笑)』と言いながら、薄ら笑いを浮かべていました。そのKさんは、会社のアウトロー的な存在で、ヤクザのような風貌をしており、お偉いさんにもガンガンと物申すので、出世とは無縁の平社員街道をまっしぐらに進んでいる、ひときわ社内でも浮いた存在でした。
アウトローとニワトリ
そんなKさんが僕に突然、ニワトリの話を始めたのです。
オマエ、ニワトリって知ってるか?
ニワトリってな、弱いヤツを見つけると、みんなで寄ってたかって突くんだぜ!
しかも死ぬまでな...
会社も同じだ!弱いヤツは結局やられちまうんだぜぇ
ちったぁ~、怒れや(笑)
僕は、その言葉にハッとしました。『人が良い』ということが自分のメリットだと思っていたのに、実はそれはメリットではなく単なる弱点だったのです。自分の感情を押し殺して我慢することが人間関係を良くすることだと思い込んでいた僕は、その言葉に唖然とするとともに、何か爽やかなものを感じました。そして最後にKさんはこう言ってくれたのです。
オマエは失敗したと思っているのかもしれね~けど、結果は俺と同じになっただけだ
これで本当の仲間になれたってことだな
今度うちにコーヒーでも飲みに来いや!
こうして転勤して初めて僕にも仲間ができたのです。ちょっと怖い人がですが、Kさんに会っていなかったら、僕は死ぬまで弱いニワトリのままでいたのかもしれません。
職場はフェアな場所じゃない
僕はこの出来事がきっかけで考え方を改めました。職場は自分が思っているほどフェアな場所じゃないのです。実際に、僕が休職して代わりの社員が僕のポストに就くことになりましたが、その社員も同じ上司からパワハラを受け、休職まではいかなかったものの、廃人寸前まで精神的に追い込まれました。つまり、ニワトリのように弱いヤツを見つけては突くという現象が、職場では頻繁に起こるのです。
それからというもの、僕は上司に対しても間違ったことは間違っていると少しづつ言うようにしましたし、いい人でいることもやめにしました。職場の上司や同僚は、絶対に歯向かわないヤツに対しては強く出るものです。ただ、従順でいることが人間関係を良くすることではなく、それは一部の職場の人にとってのメリットというだけのことです。
絶望的な人間関係を逆転させるためには、時には感情をむき出しにして相手と対峙すべきだということを、僕は職場のアウトローに教えてもらったのです。