「ぎゃ〜」
野太い悲鳴が部屋の中に響き渡る。
やってしまった。
とうとう、やってしまった・・・
大ショックである。
見てくれ、これを。この悲惨な姿を・・・
とうとう僕はやってしまった。
深手の傷を負い、救出された身柄をいたわるように、
僕は深い後悔にむせびながらタオルで介抱した。
もう取り返しがつかなかった。
こんなにふやけてしまった。
こんなに消えない深い深い痕がついてしまった。
大切なウェールズの歴史本に、なんて事が起きてしまったのだ。
カバンの中で大切な大切な本に、大量のコーヒーをぶっかけてしまったのだ。
カバンの中はコーヒーでビタビタだった。中に入っていた他の物も次々と救出された。しかし、深手を負ったのは、このウェールズの歴史本だけだった。
何でこんな事に、、、、
それも大切な歴史本に。
一体、何が悪かったのだ?
僕は辺りを見渡した。
僕が悪かったのだ。
原因は誰が見ても明らかだった。
コーヒーを入れた水筒の蓋を閉めずに、カバンの中に入れたのだ。
その状態で、よいしょとカバンを背負って、歩き出した途端、
水筒が、カバンの中でパタリと倒れ、
コーヒーがジャージャー流れ出したのだ。コーヒーの洪水だ。
「コーヒーが攻めて来た!コーヒーの侵入だ!
「皆の者、防御だ!かかれ!」
本の表紙に描かれた、ウェールズの勇敢な戦士達は、本を守ろうと、必死にコーヒーに立ち向かった。
しかし、水筒には満タンのコーヒーが入っていた。
パタリと倒れた水筒の口から流れ出る、コーヒーの勢いを止めることが出来なかった。
「いかん、敵は強い。もう、耐えきれない。退却だ!」
本の裏表紙に描かれたウェールズ兵達は、本を守ろうと、必死に逃げた。
しかし、間に合わなかった。
歴史本はコーヒーの波に飲み込まれていった。
僕はとても後悔した。
深い後悔にむせびながら、本を介抱した。
ごめんよ、大切なウェールズの本よ。
僕が不注意だった。不注意すぎた。
水筒の蓋がちゃんと閉まっている事を、確認してからカバンに入れるべきだった、、、
それに、むげにウェールズの本とコーヒーのバトルまで起こさせてしまった 。
コーヒーも無駄に戦力を使ってしまった。ごめんよコーヒー 。
僕は深い後悔にむせびながら、
この一連の出来事は何を意味しているのか、
何を僕に訴えようとしているのか、考えた。
もちろん、水筒の蓋を閉め忘れたらどうなるのか、
ウェールズの本とコーヒーが教えてくれた。
それ以外の声が強く聞こえて来た。
「早く読めよ!」
「積読」と言う言葉がある。
本を買って積んでおくだけで読んでいないことである。
僕は「持っとく」であった。
本をカバンの中に入れたまま、持っているだけで、全然読んでいなかった。
カバンの中に本を持っていることさえ、忘れかかっていた。
本の叫びが聞こえてきた。
「気づけよ、早く読めよ、いつまで待たせるんだ」
「早く読んでカバンから出せよ。もう、満員電車に毎日潰されて疲れたよ」
「本の身にもなってくれ!」
コーヒーに身を削ってまでも、僕に訴えようとしたのだ
はいっ 、直ぐに読まさせていただきます。すぐに読んで、感想文を書かせていただきます。
しっかりウェールズの歴史を勉強させていただきます。
コーヒーを飲みながら。
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