探査機「ニューホライズンズ」、次の目標までの旅は残り半分
【2017年4月6日 Johns Hopkins Applied Physics Laboratory】
探査機「ニューホライズンズ」は日本時間(以下同)4月3日午前9時に、冥王星から7億8245万kmのポイントを通過した。冥王星と、ニューホライズンズの次の目標である太陽系外縁天体「2014 MU69」(以降、MU69と表記)との中間点を越えたことになる。
ニューホライズンズが今年1月28日にとらえた「2014 MU69」周囲の領域。黄色い◇が2014 MU69の予想位置だが、遠すぎるため写っていない(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)
8日午前6時24分には、ニューホライズンズは冥王星最接近時(2015年7月14日午後8時48分)からMU69到達時(2019年1月1日午後3時予定)までの、時間での中間に到達する。時間上の中間に到達するのが距離上の中間通過より5日ほど後になるのは、ニューホライズンズの速度が少しずつ遅くなっているためだ。
その2時間前からニューホライズンズは157日間の新たな休眠期間に入る。つまり、探査機は眠った状態で時間上の中間に到達することになる。
2015年7月の冥王星最接近の約半年前となる2014年12月6日から約2年半にわたり、ニューホライズンズはずっと稼動し続けてきた。冥王星系の探査データを16か月間かけて送信してきただけでなく、12個のカイパーベルト天体を遠方から観測して塵や荷電粒子といったカイパーベルトの環境に関するデータを集め、太陽圏に満ちる水素ガスを調査した。
「もちろん2019年1月のMU69フライバイは次の大きなイベントですが、ニューホライズンズはカイパーベルトをもっと広く探査するミッションです。MU69に加え、20個以上ものカイパーベルト天体と、カイパーベルト全体の荷電粒子や塵を調べる計画です」(ニューホライズンズ・プロジェクトサイエンティスト Hal Weaverさん)。「ニューホライズンズは現在、地球から57億kmの距離にあり、通信には片道5時間20分かかります。探査機の全システムは正常に稼動しており、探査機はMU69フライバイに向けて正しい進路にあります」。
〈参照〉
- Johns Hopkins Applied Physics Laboratory: New Horizons Halfway from Pluto to Next Flyby Target
〈関連リンク〉
関連記事
- 2017/02/28 冥王星と衛星の地名のテーマが公式決定
- 2017/02/02 クジラ模様が示す、冥王星‐カロン系でのジャイアント・インパクト
- 2017/01/10 冥王星にも存在、氷の剣「ペニテンテ」
- 2016/11/18 冥王星のハート模様の地下に海
- 2016/10/21 冥王星の雲、カロンの地滑り、赤い次の探査天体
- 2016/07/20 冥王星最接近から1年 研究者が選ぶ「ニューホライズンズ」の10大発見
- 2016/05/31 1ピクセルあたり80m、史上最高解像度の冥王星画像
- 2016/03/30 冥王星の凍った湖らしき地形
- 2016/02/03 冥王星の大気と広く分布した水の氷
- 2016/01/18 フライバイから半年、ニューホライズンズのデータ送信はまだまだ続く
- 2015/11/11 冥王星に高さ数kmの氷火山らしい2つの山
- 2015/10/14 冥王星の空は青い!水の氷も発見
- 2015/10/13 カロンに激動の歴史、氷火山活動もあった可能性
- 2015/09/18 逆光でとらえた冥王星に見られる窒素の循環
- 2015/09/14 冥王星フライバイから2か月、ニューホライズンズから本格的にデータ送信開始
- 2015/09/01 ニューホライズンズ、次の目標はカイパーベルト天体2014 MU69
- 2015/07/28 冥王星を流れる窒素の氷河、冥王星を覆うもや
- 2015/07/24 冥王星の低い山々、衛星ニクスとヒドラの高解像度画像
- 2015/07/21 冥王星に広がる氷の平原
- 2015/07/17 カロンの大きな山と、冥王星観測85年史