ヤマト運輸 昨年度の配達数 過去最高に

ヤマト運輸 昨年度の配達数 過去最高に
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ネット通販の荷物の増加で、人手不足に直面している宅配最大手のヤマト運輸は、昨年度1年間に配達した宅配便の数が前の年度を7.9%上回り、18億個を超えて過去最高となったと発表しました。ヤマト運輸は、現状ではこれ以上の荷物の増加への対応は難しいとして今後、一部の荷物の引き受けを減らすなどサービスの縮小に乗り出す方針です。
ヤマト運輸の発表によりますと、先月までの昨年度1年間に配達した宅配便の数は、18億6756万個となりました。

これはネット通販の荷物が増加した結果、前の年度より1億3630万個、率にして7.9%増えて、会社が扱う宅配便の個数としては過去最高になりました。

ヤマト運輸が取り扱う宅配便の数は、平成15年度に初めて10億個を超え、ネット通販大手のアマゾンの取り扱いが本格的に始まった平成25年度以降は、16億個を超えて荷物が一気に増えました。

これに伴って、荷物を配達するドライバーの不足が深刻になり、ヤマト運輸は労使ともに、現状ではこれ以上の荷物の増加への対応は難しいという考えで一致し、今年度は、大口取引先からの荷物の取り扱いを減らす方向で交渉を進めています。

また、ドライバーの長時間労働を是正するため、利用者へのサービスも一部縮小し、今月下旬からは、夜間の再配達を受け付ける時間を今の午後8時から午後7時に早めるほか、6月からは正午から午後2時までは時間帯指定の配達をやめることにしています。

さらに、ことし秋には、27年ぶりに宅配料金の全面的な値上げに踏み切る方針です。

宅配便の増加と人材不足が背景に

スキーや、ゴルフセットの配達から、鮮魚などを冷蔵で届けるサービス、それに、時間帯を指定した配達も含め、新たなサービスを次々と始めてきたヤマト運輸が、みずからサービスを縮小する方針転換を迫られたのは、予想を超える宅配便の増加と、深刻な人手不足が背景にあります。

ヤマト運輸が取り扱う宅配便の数は、14年前の平成15年度に初めて10億個を超えました。その後、平成25年度に、ネット通販大手のアマゾンの取り扱いが本格的に始まってから荷物が急増し、前の年度と比べて荷物の数は11%も増え、16億個を超えました。

増え続ける荷物に追われ、現場ではドライバーの不足や、長時間労働が深刻になり、一部の営業所ではサービス残業の実態も明らかになりました。

これを受けて、会社は全社的なサービス残業の実態調査に乗り出しています。また、自社のドライバーだけでは荷物を配達しきれず、外部の業者に配達を委託するようになって費用もかさみ、昨年度のグループ全体の決算は売り上げは増えても、営業利益は15%も減る見込みです。

このため、ヤマト運輸は、これまでどおり、配達を続けることは限界だとして、宅配便サービスの抜本的な見直しに乗り出さざるをえなくなりました。まず、ドライバーの長時間労働を減らすため、今月24日からは夜間の再配達を受け付ける時間を切り上げ、現在の午後8時から午後7時に早めます。また、昼の休憩時間を確保するため、ことし6月から正午から午後2時までは時間帯指定の配達をやめるなどサービスを一部縮小します。

さらに、ネット通販など大口取引先に対して、宅配料の値上げを求めるほか、今年度は荷物の取り扱いを減らす方向で、交渉を進めています。また、ことし秋には個人の利用者も対象に、27年ぶりの全面的な値上げに踏み切ることにしています。

ヤマト運輸の長尾裕社長はNHKのインタビューで、「安心して利用いただける宅配便の継続のためには、基本料金の見直しも検討の中に入ってくる。物流は日本経済で大事な役割を果たしているが、手当が薄すぎるという問題意識を持っている」と述べ、宅配サービスの維持のために、値上げはやむをえないとして、理解を求めました。