大阪桐蔭vs.履正社という、史上初の大阪代表同士による決勝戦となった今年のセンバツ。4月1日に大阪桐蔭が5年ぶり2度目の優勝を果たし、高校生による夢の球宴は、その幕を閉じた。
球児たちが、その汗と涙をグラウンドに落としているのとほぼ同じ頃、アルプススタンドで汗と涙を流している生徒たちがいた。それが……甲子園の各校ブラバン応援団である。
このコラムは、高校野球のブラバン応援にハマり、今年もセンバツに参加した全校の応援を生で聴いてきた“高校野球ブラバン応援研究家”こと梅津有希子(元吹奏楽部)が、その応援団席で感じたことを綴った記事である。
今春の甲子園で目撃したこと、それは……「高校野球の応援に新風が巻き起こっている!」ということだった。
高校野球の応援といえば、まっ先に思いつく曲は何だろうか。『サウスポー』や『狙いうち』、『ルパン三世のテーマ』『宇宙戦艦ヤマト』など、懐メロやアニメの主題歌を思い浮かべる人も多いことと思う。
それらの定番曲ももちろん健在だが、今センバツでは、明らかに新しい風が吹いているように感じた。
センバツの入場行進曲にも選ばれた、星野源の『恋』。大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌で、恋ダンスが社会現象にもなった、アレだ。
編曲を手がけたのは、2009年からセンバツ行進曲の編曲を手がける人気作曲家・酒井格(いたる)氏。いきいきとした躍動感にあふれながらも、しっかりと歩きやすいマーチに仕上がり、緊張感の漂う開会式がどこか明るく楽しい雰囲気に思えたのは、筆者だけではないと思う。
今大会では、この『恋』を応援に取り入れた学校が実に8校もあった!
これだけの学校が、入場曲に選ばれた曲を応援に一斉に取り上げることは非常に珍しいこと。大阪桐蔭や不来方は替え歌で、滋賀学園は野球部の恋ダンスで応援するなど、まさに『恋』旋風が吹き荒れたといってもいいだろう。
過去のセンバツ入場行進曲リストを見返してみても、応援曲として定着しているのは光GENJIの『パラダイス銀河』(1989年)くらいで、昨年の『もしも運命の人がいるのなら』(西野カナ)や、2015年の『Let It Go~ありのままで~』(ディズニー映画劇中歌)を使用した学校は、今大会で1校もない。覚えやすく、明るくポジティブな曲調の『恋』が、いかに応援向きかということがおわかりいただけるのではないだろうか。