空爆にサリン、米指摘…政権軍使用か、死者83人
【ワシントン小泉大士、カイロ篠田航一】シリア北部イドリブ県ハンシャイフンで起きた化学兵器を使用したとみられる空爆で、ロイター通信は4日、米政府当局者の話として米国は神経ガスのサリンが使われたとみていると報じた。アサド政権軍の攻撃であることは「ほぼ確実」と指摘。負傷者を治療した医師もCNNに「サリンの症状と一致する」との見方を示した。米NBCテレビは、この空爆で子供25人を含む少なくとも83人が死亡、350人以上が負傷したと報じている。
サリンの使用が確認されれば、2013年8月に首都ダマスカス郊外の反体制派支配地域で使われ、数百人が死亡して以来となる。
ロイター通信によると、米英仏3カ国は化学兵器による攻撃を非難する決議案を国連安全保障理事会の理事国に配布した。決議案は5日の安保理会合で採決される可能性があるという。
シリアは米露の圧力を受けて13年9月に化学兵器禁止条約を批准し、保有する約1300トンの化学兵器を化学兵器禁止機関(OPCW)に引き渡すと表明。これを受けてOPCWはサリンやマスタードガスなどの化学兵器の処理に着手し、16年1月に処理を終えたと発表した。国連とOPCWはこの年の8月、アサド政権軍が14年と15年に塩素ガスを使用したとの報告書をまとめ、公表している。
現地はアサド政権と対立する反体制派の支配地域で、在英のシリア人権観測所はアサド政権軍またはロシア軍が攻撃したと主張している。アサド政権と対立する反体制派団体幹部も毎日新聞の取材に、「アサド政権側の意図は変わらない。停戦を利用し、この機に一層の軍事的優位を確立しようとしている。明らかな合意違反だ」と怒りをあらわにした。
一方、国営シリア・アラブ通信は4日、シリア外務省の話として「シリア軍はいかなる化学兵器も持っていない」とした。