すっごい考えながら観たんですけど、いい映画だったと思います。
あまりにも静かな映画なのにあまりにも大量にテーマが隠されているので、どう考えたらいいのかとても難しいですね。
どの立ち位置からでも見えて来るこの映画の純粋さ
考えすぎなくても、単純に美しい映画なのかも知れない
人種問題やLGBTに真っ向から立ち向かっている映画を観る場合一番慎重にならなければならないのが、自分がどういう立ち位置でこのような映画と対峙するべきかを考えることです。
どれだけリベラルな立ち位置に立って映画を俯瞰できるのかが勝負。
ちょっとでも偏った見方を、私自身は絶対にしたくないから慎重になるわけです。
このようなテーマの映画はかなりたくさん見ているし、そうは言っても自分の意見を言うのが難しいな、という映画はそれほどありません。大体はシンプルに作られているので、迷ってしまうことはそれほどないわけです。
しかしながらねー。この「ムーンライト」は解釈が難しかったですね。
あ、話はすっごくシンプルですけどね。
私がこの映画に対してコメントしづらい理由は、私が「黒人しか出ていない映画」に対して反感があるからなんですよね。
以前、ムーンライトに期待することとして、以下のような記事を書きました↓
人種差別問題を扱った作品を作るときに、黒人だけを描くのではかえって人種差別や分断に加担していることになるのではないか?と思ったのです。
しかし、この映画はほとんど全員黒人しか出ていません。白人はエキストラくらいです。
だから、私はこの映画が逆に人種差別的映画なのではないか?と思うべきかもしれないと思ったりするわけです。
しかし、一概にそうとも言えない。別に人種差別っぽい感じではないわけです。
つまり、結局この映画は別に人種差別の問題を扱った作品ではないんだと思います。
てか、書いててそんな気がしてきました。
この映画は、「アメリカに実際にある黒人コミュニティーに暮らす少年の、めっちゃ長いスパンでの恋の物語」なんですね。別に人種差別の問題を描いていないというわけです。
これは、もしかしたらすごいのかも知れない。
だって、要するにこの映画は、ほとんど初めて人種の壁を越えた、黒人だけが出演した純粋な愛の物語なのだとすれば、それって、今までになかったことですよね。
絶対に説教臭くなってましたからね。今までは黒人しか出ない映画って。
そう。この映画の良い意味での違和感というか、私がコメントしづらかったところって、結局この映画が別に全然人種差別に対して批判的でもないというか、その点を超越したところなのかも知れません。
だとしたら、だんだんこの映画が傑作のような気がしてきました。
マイノリティとして生きるということ
さて、じゃあLGBT映画としてみたらどうでしょう。
これも同じかもしれません。この映画は別にLGBT映画という仮面をかぶってもいないような気がします。LGBTであることで、この主人公はいじめられているということにはまあなってるんですけど、別にこの子はLGBTでなくとも親の事とかでいじめにあったりしそうです。
「オカマ」とか呼ばれているけども、ゲイ差別問題映画っていうわけでもないようです。やはりここでも、見返りのない片思いに苦しむマイノリティとしての描かれ方に徹していて美しい。
結局この映画は、黒人だけを扱っていて、ゲイを扱っているけど、彼らが苦しんでいることは「黒人であること」でも「ゲイ」であることでもなく、おそらく漠然とマイノリティとして生きること、なのかも知れません。
この映画はとにかくひたすらに役者がいい
主人公の3人のシャロン役も素晴らしいですし、当然というかやっぱりというかマハーシャラ・アリには参った。まいりまくった。
そしてマハーシャラが案外一瞬で死んだ人になってしまうのもめっちゃ焦った。
「えっこれ以降出てこないの??」ていうね。
そして、回想シーンとかですら出てこない。凄まじい潔さでしたね。衝撃。
シャロン役の3人素晴らしかったけど、私はもう圧倒的に10代のシャロン役のアシュトン・サンダースがよかったです。
何がいいって!!めちゃくちゃかっこいいんですよ~。
いやもう、言ってしまおう!!イケメンなんですっ
最初は、少年時代のシャロンがあまりにもかわいかったので、アシュトン出てきて「え、ブサイクじゃね」とか思ってすいませんでした。
いやあ、素晴らしい味のある役者で、線も細くてむちゃくちゃキレイ!!もうあまりにも美しいんですよ~
出典:ムーンライト 特集: アカデミー賞の歴史を変えた、きらめく映像美とともに後世まで語られる愛の物語 今《作品賞》を見る準備は整った──文句なしの傑作、本作こそが我々が映画を見る理由 - 映画.com
かっこよすぎっ!!!!!!
心の中で称賛の雨嵐!!!!!
さいっこーー!!!!!!天才っ!!!
ということでだんだんボルテージ上がってきました。
そして彼は地味に、綾野剛さんに似ていた。
まあとにかくですね、そんな感じで盛り上がってるうちに大事件が起きて、あっという間に彼とはおさらばして約10年後になります。
10年後のシャロンでかぁっ!!!!!
ホントでかい。どうしたのっていうくらいでかい。正直、華奢で美貌のティーンシャロンからすると全くの別人。(好みではない)
しかしながら、私はやはりというか、話としてはこの第3章の、レストランのシーンがもう本当に素晴らしかったと思います。
でかいシャロンでかいのにめっちゃ繊細なあの瞳だけは残っていましたね……
それがあまりにも素敵でした。
本当にね、あの恋人も凄くいいやつなんですね。私が何とも言えず胸が熱くなったのは、シャロンが自分の職業を彼に告白するところですね。そこで彼は、あからさまにがっかりした顔をするんです。
だけど、彼は席を立っては戻ってきて、ずっとシャロンと話をするわけです。そのシーンが正直すごく長いんですけど、もう素晴らしいの極致。最高に感動的でした。
というわけで、結局私はこの映画は本当に素晴らしかったと思う。
気になる点があるとすれば2点
ただ2点気になるところがあるとすれば、一つにはカメラワークがすごく気になる。
よくいるんですけど、とにかくカメラを据え置かないで手持ちカメラを使ってドキュメンタリータッチにしたいのか、ぶんぶん振り回す人がいるんですよね。
始めこの映画、ほんとにそれが気になりました。マジで。
ぶんぶんぶんぶんぶんぶんカメラ振り回してんじゃないよ!!!!怒
って第1章くらいまでは思ってたんだけど、途中から全然気にならなくなりましたね。
ぶんぶんを辞めたのか、それ以上に魅力的な展開になりつつあったのか。
実際、私は第1章はあまり魅力を感じませんでした。マハーシャラがいなければ帰って来たかったくらいです。
まあこの映画は途中から気にならなくなりましたけど、とにかくそういう映画は本当に多いので、勘弁してほしいところです。
それから、いじめっ子のレゲエ野郎の描き方ですけど、彼は単純な悪役になってしまってましたね~それはなんか残念です。
ああいう役は、ほんの少しでも彼の人となりというか人間性(いいところ)を描いた方が、もっとずっと悲しくてやりきれない作品になったのだと思います。
ただの悪役だとね、ただ単に悪い奴ってなるのはね、そういう人って実世界にあんまりいないですから。それぞれがそれぞれにいろいろあるし、例えばいじめられた人が大人になって、そのいじめっ子の事を単純な悪だと認識することってそんなにないと思うんですよね。どんなに悪くても。
そして、そんな風に誰かを恨まないためにも、もう少し詳細な描写がほしかったところです。
結果的には素晴らしいで落ち着きます
しかしながら、はじめは捉えるのが難しかった本作ですが、結果的にはすごく良かったな、というところで収まりました。
まあ、もう一度見たいかと言われれば遠慮するしかないわけですけど。
いろんな人にオススメしたい映画です。
あとアシュトン・サンダースがかっこよかった。←しつこい
↓アカデミー賞に関して感じたこと