子どもの頃、学校帰りの道、よく雑草を摘んだりした。プチット潰すと赤紫色の液が出てくる木の実があって、それを見つけると嬉しくて友達と爪に塗り合ったりしていた。
幼いながら、大人のマニキュアに憧れていたのである。
綺麗に染まった爪をなんども眺めては、うっとりしていたなぁ。習っていたピアノの先生がいつも綺麗にマニキュアを塗っていて、子ども心にいいなぁと思っていたのだ。
夫にこの話をすると「かわいいねぇ」と言われた。夫は男兄弟で育っているから、ゲームや戦い系の男の遊びばかりだったんだろう。
私は子どものころから女の子っぽい色や遊びが大好きだったのだ。爪に色を塗る。実に「女子力の高い」遊びである。私も笑った。
すると夫は続けて言った。
「アフリカ人みたいなことしてたんだねぇ」
ここ一年ほど、私は我が家の緊急課題をずっとアピールしていた。
木製の食器である。
「木のお皿が絶対必要だよ。ねえ、今度買おうよ」
「もうお皿は十分あるじゃん?」
夫はテレビで全然おしゃれじゃないバラエティー番組を見て笑っていた。私の話の緊急性と重要性にまだ気づいていないようだ。
「違うんだよ。木のお皿にいろいろ載せたいんだよ。カフェのワンプレートランチって木のプレートに載ってるだけですごいおしゃれ指数高くなるんだから」
私は夫に力説した。木のお皿におかずを載せれば、すべてがおしゃれになるということを。
夫はキッチン雑貨に興味がないので、価値を伝えるのも一苦労である。
木のプレートにちょっとずつサラダやおかずを載せたり、サンドイッチを載せたりするだけで女子力は相当に上がる。インスタ力も一気にアップする。私もあれをやりたい。
ミーハーな私はそういうおしゃれグッズを集めるのが大好きである。
「木の板に直接ごはんを載せるの?」
「そうだよ」
私は自信満々でうなづいた。これぞおしゃれの方程式!女子力の鏡!我が家の食器棚に新しい木の皿が並ぶまであと一歩である。
すると、夫は悲しそうな目をして言った。
「やめようよ、そんなアフリカ人みたいなこと…」
私の中で「女子力の高い」ことは、夫の脳内ではどうしても「アフリカの風景」になってしまうという新たな法則に気づいた。
だが私はめげない。
夫の賛同は得られなかったが、先日とうとう近所の家具屋さんで素敵な木の食器を手に入れたのだ。
そう、これこれ!
これですよ我が家のキッチンが欲していたおしゃれグッズは!
もはやテンションはMAXである。
ごきげんで家具屋から帰ってきた私は、早速この日のお昼ご飯を木のお皿に載せてみる。「プリンターの捨て方を調べる」や「領収書の整理をする」がここ1ヶ月ほど毎日TODOリストに入っている私であるが、おしゃれが関わる話になるとこの行動の速さである。
じゃじゃん!
ふふ、悪くない…平日の昼下がり、私はひとりでニヤついていた。これで私もカフェ風ランチをアップするインスタ女子の仲間入りだ。ひとまずツイッターに投下してみたところ、「いいね」が21こついた。
やはり皆、木のプレートランチの虜になっているな…
SNSで勝手な感触をつかんだことで弾みがついた私は、夫にもラインで写真を送ってみた。
言葉だけではイメージが伝わらなかったかもしれないが、これで一発逆転、夫もハッとするに違いない。「これかぁ、ayakoさんが言ってたやつは!確かにおしゃれだねぇ」という風にね。
夫よ、見るのだこの女子力の高いテーブルコーディネート…

間違ってお盆に直接ご飯をのっけた女ーそれが私であった。
なんでも分かり合えると思ったら、大間違いである。
Sweet+++ tea time
ayako