どうも。ライターのハンサム今井です。
決してイケメンではなく、強いて言えばハンサムだとネットの方々からは言われています。「いいか、お前はイケメンではない」ととにかく言われています。
ところで、数年前の「獺祭」ブームから、日本酒もぐっと身近になりましたよね?
酒どころ以外の地酒に注目が集まるようになってからは、クラフトビールのように各所でマニアックな銘柄を目にすることが多くなりました。
なりましたが、あまりに種類がありすぎて、かえって何を飲めばいいか分からなくなっているのも事実。
正直、そこそこ日本酒が好きでも、知らない銘柄に遭遇することは少なくないのではないでしょうか。
今回お邪魔させていただいたのは、渋谷にある日本酒ダイニング、「sakeba」さん。こちらのお店はなんと「純米酒」のみを取り扱っている、純米酒専門店なんです!
※純米酒は水と米のみで造られた日本酒のこと。
「そんなシンプルな造り方じゃ何を飲んでも変わらないんじゃないの~?」なんて気もしますが、果たしてどうなのでしょう!
店内のカウンターには、ずらりと並べられた日本酒たちが。
私も日本酒はそれなりに嗜んでいるつもりでしたが、ここに並べられた銘柄は知らないものばかりです。
こちらのヒゲが素敵な男性が店長の加藤さん。今回は加藤さんに純米酒の魅力を伝授していただきます!
ハンサム今井:よろしくお願いします!
加藤店長:ハンサム今井さん、よろしくお願いします。本日はたっぷりと純米酒を楽しんでいってください。
ハンサム今井:楽しみにしています!それにしても、見た事がないお酒ばかりですね。
加藤店長:都内でもあまり見かけることがない銘柄を中心に置いています。日本酒好きの方にも新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思いますよ。
純米酒の達人がオススメする一押し純米酒たち
加藤店長:さっそくですが、いくつか飲んでみてください!まずはこちらの3本です。
▲旭蔵舞
加藤店長:こちらは「旭蔵舞(あさひくらぶ)」という純米酒です。蔵舞シリーズと呼ばれるブランドのひとつで、「蔵舞」という文字の前に使用しているお米の名前が付けられています。
「祝」というお米を使えば「祝蔵舞」に、「亀の尾」を使えば「亀の尾蔵舞」という銘柄になるんです。
ハンサム今井:なるほど! つまり、「旭蔵舞」は「旭」というお米から作られているわけですね。
加藤店長:そうです。この〈蔵舞〉シリーズは海外でも高い人気を誇る銘柄なんですよ。この「旭蔵舞」に関しては、食中酒として料理に合うよう造られています。
ハンサム今井:ではいただきます……。わっ濃厚……なのですが、風味自体がそこまで残らないので、料理の味を邪魔しませんね。和食はもちろん、中華や洋食にも合いそうです。
【純米酒マメ知識その1】
使ったお米の名前が反映される銘柄がある
▲裏原田
ハンサム今井:こちらのお酒は……何と書いてあるのでしょうか?
加藤店長:「原田」です。正確に言うと“原田”という漢字が鏡写しになっているんですよ。山口県にある蔵元、「はつもみぢ」の人気銘柄である「原田」から派生した銘柄です。
裏ハンサム今井:なんておしゃれなネーミングとデザインセンス……こういう情報を飲みながら話せば、狙ってるあの子も落とせそうですね……。
▲原田(左)と裏原田(右)
加藤店長:「はつもみぢ」の代表兼杜氏である原田さんは利き酒の名人でして、その方が「初めて日本酒を飲む方向け」に造ったのがこの「裏原田」なんです。
※杜氏とは:日本酒の醸造においての最高責任者のこと
ハンサム今井:これは……今まで飲んだ日本酒の中でも断トツの飲みやすさですよ! 飲みやすい日本酒に対して「水のように飲める」と形容することがありますが、「裏原田」はまさにそれです。これなら日本酒が苦手という方でも楽しめるでしょうね。
加藤店長:柔らかく控えめな香りで、優しい味わいなので和食などの繊細な料理と相性抜群ですよ。
【純米酒マメ知識その2】
人気銘柄から派生する物もある
▲越後 雪紅梅
加藤店長:最後は酒どころ、新潟にある長谷川酒造の「越後 雪紅梅(えちご せつこうばい)」。こちらの蔵元は辛口のお酒を造ることが多かったのですが、近年の新しい日本酒ブームに刺激を受けて造った甘口の純米大吟醸酒です。
ハンサム今井:これは甘い!口に入れた瞬間に華やかな香りが溢れてきます……。でも、後味はスッキリとしているので、甘口があまり好みじゃないという方にも受け入れられそうです。
加藤店長:甘さはしっかりありますが、重みがないので、爽やかな飲み口となっています。
【純米酒マメ知識その3】
後味スッキリの甘口純米酒もある
純米酒は食事と合わせてこそ真価が出る!マリアージュを楽しむ3品
加藤店長:純米酒は食事と合わせてこそ真価が出るんですよ。これからオススメの料理と、それに合わせた相性抜群の純米酒を紹介していきます。
▲辛口ばっか飲んでんじゃねぇよ
ハンサム今井:これはまた……インパクトのある銘柄名ですね。銘柄名で説教を食らうとは初めての経験です。
加藤店長:名前からわかる通り「日本酒といえば辛口」という風潮に対して、「甘口のイメージを変えたい」という想いから生まれた甘口のお酒です。
ハンサム今井:想いの伝え方、ストレートすぎやしませんか……。
▲6時間煮込んだ牛すじ煮込み
加藤店長:調理酒に日本酒を使用した牛すじ煮込みです。「辛口ばっか飲んでんじゃねぇよ」は焼き鳥や煮込み料理など、甘みがあり、油っぽさのある料理に合うんですよ!
ハンサム今井:なるほど!確かに牛すじ煮込みと「辛口ばっか飲んでんじゃねえよ」の甘さのトーンが近いので、お互いの良さが引き出されているように感じます。
加藤店長:「辛口ばっか飲んでんじゃねえよ」は蔵元が29歳、杜氏が30歳前後と、若手コンビによって造られたお酒です。ユニークな名前やポップなラベルからも若い感性を感じます。
ハンサム今井:確かに、とても目を引くラベルデザインですね。日本酒の持つ堅い和のイメージが払拭されているので、日本酒初心者や女性にもウケそうです。
加藤店長:このお酒は夏、秋、冬と季節に合わせてラベルを変えているのも特徴です。冬に夏ラベルのものを開けて、熟成による変化を楽しむのも良いですよ。
【純米酒マメ知識その4】
「甘い×甘い」が「旨味」を引き出す
▲酒を売る犬 酒を造る猫

加藤店長:お次はこちら「酒を売る犬 酒を造る猫」。通称“犬猫”です。
ハンサム今井:またこれもかわいいラベルですね!見た目だけでつい手に取りたくなります。
加藤店長:今井さんの仰る通り、ラベルでこちらを選ばれる方も多いですよ。このラベルにはちょっとしたエピソードがあるのですが……その前に料理をご用意しましょう。
▲和食屋さんの生うにクリームリゾット
加藤店長:濃厚でクリーミーな生うにのリゾットです。冷めないうちにどうぞ。
ハンサム今井:この「犬猫」、これはすごい!透明感のある見た目通り、水のようにスルスルと飲めます!
味わいが淡い分、食中酒としては最高ですね。うにの濃厚な強い味に、さっぱりとした「犬猫」が静かに寄り添ってくれています。飼い主に従順なお酒だなあ……。
加藤店長:そうなんです。おっしゃる通りどのような料理にも寄り添えるお酒なので、リゾットのようなご飯物にさえ、邪魔をしないんです。
ハンサム今井:ところで、先ほどお話していたエピソードというのは……
加藤店長:ラベルに描いてある犬と猫にはそれぞれモデルがいるんですよ。
猫の方が杜氏の渡辺さん。
犬は犬は営業担当の若松さんという方です。
二人は醸造系の学校の同級生だったのですが、ある日二人で飲みに行った時にお互いの夢を語り合い、将来は一緒に酒を造ろうと誓い合ったそうで。卒業後にお互い経験を積み、在りし日の約束が形になったのがこの「犬猫」なのです。互いの夢を語り合った宴席が、このラベルに描かれているんですね。
ハンサム今井:それは素敵な話ですね!そういったバックボーンを知ったうえで口にすると、また違った味わいがあります。
【純米酒マメ知識その5】
「酒を売る犬」と「酒を造る猫」は実在する
▲I LOVE CHOCO
加藤店長:デザートに合わせるのはこちら「I LOVE CHOCO」。チョコレートとのマリアージュを楽しむことを前提に造られた日本酒です。
ハンサム今井:え、日本酒がチョコレートやデザートと合うんですか!?洋酒はそのイメージがあるけど、さすがに日本酒は経験がないですね。
加藤店長:実際に試してもらいましょう。デザートはこちらです。
▲手作り日本酒ティラミス
加藤店長:スポンジに熟成古酒を使用したティラミスです。さっそく味わってみてください。
ハンサム今井:これは……口にする前に相性がいいと確信しましたよ。色と香りが特徴的ですが、こちらのお酒も古酒ですか?
加藤店長:そうです。熟成古酒は甘いものとの相性がいいんですよ。ぬる燗で飲むと、香りが際立つのでオススメです。

ハンサム今井:本当だ!品のある甘い香りがティラミスの味わいを引き立てています。これは新感覚ですね……。
【純米酒マメ知識その6】
スイーツに合う純米酒もある
酒器の飲み口の形状によって口当りが変わる
加藤店長:お酒の銘柄だけでなく、お猪口やグラスなどの酒器を変えるのも面白いですよ。うちでは徳利で注文するとお好きな酒器を選べるようになっているのですが、酒器の飲み口の形状によって口当りが変わります。
ハンサム今井:自分好みの酒器を探すのも楽しそうですね。
加藤さん:ちなみに、グラスでご注文いただくと、ワイングラスでお出ししています。
ハンサム今井:なるほど!口の広いワイングラスなら、ワインのように香りを楽しむことができるわけですね!
“何を飲むか”だけでなく“どのように飲むか”という一面もあるなんて、日本酒は本当に奥が深いです。
【純米酒マメ知識その7】
酒器で味や香りが変わる
加藤店長が語る「純米酒」の魅力
ハンサム今井:そもそも「sakeba」さんは、なぜここまで純米酒にこだわっているのでしょうか?
加藤店長:お店のコンセプトの一つとして「料理と日本酒のマリアージュ」というものがあるんです。純米酒は食事と相性の良いものが多いんですよ。
ハンサム今井:思い返せば、今回いただいた日本酒はどれも料理と合うものばかりでした。
加藤店長:また、純米酒は「バラエティ豊か」なのも特徴です。米と水しか使っていない分、蔵元の個性が出やすいんですよ。
ハンサム今井:確かに、見た目から味まで個性豊かなものばかりでした。ところで、お店に置く純米酒を選ぶ基準みたいなものはあるのでしょうか?
加藤店長:コンセプトにもある通り「食事に合う」というのを前提として、東京ではなかなか飲めないものを出したいと思っています。銘柄にこだわらず、見た目や味わいのタイプで選んでいます。
純米酒を選ぶポイントは「日本酒度」!
ハンサム今井:なるほど。純米酒初心者に対して、お酒選びのアドバイスなどはありますでしょうか?
加藤店長:分かりやすいもので言うと「日本酒度」ですかね。この数値はプラスになればなるほど辛口、マイナスになるほど甘口、といった味の基準値です。
あくまで指標ですが、選ぶときの参考にしてみてはどうでしょうか。
ハンサム今井:日本酒度……新しい日本酒を口にするたびにこの数値に気を留めていれば、自分の舌に合う傾向が分かりそうですね!ちなみに、初心者にオススメの銘柄はありますか?
▲テハジメ
加藤店長:こちらの「Te-hajime(テハジメ)」なんてどうでしょう?
こちらの銘柄はみなさんが考えているような日本酒のイメージを塗り替えると思いますよ。酸味が効いていて甘酸っぱいんです。
ハンサム今井:「Te-hajime(テハジメ)」!まさに初心者向けのネーミング。甘酸っぱい日本酒ですか……。
うわっほんとに甘酸っぱいですよ!これって本当に日本酒ですか?
加藤店長:日本酒度はマイナス60度。極端な甘さが特徴のお酒なんです。
ハンサム今井:水と米だけでこんな日本酒が作れるなんて……。
加藤店長:純米酒は味の幅が本当に広いですし、さまざまな料理と一緒にいただけます。たとえば、中華料理のエビチリは古酒とよく合いますし、チーズはワインのイメージがあると思いますが、酸味の効いた日本酒に合いますね。
ハンサム今井:今回お話を聞いて、純米酒の奥の深さが良くわかりました。若い世代の人達が造っていると聞くと、日本酒がぐっと身近に感じられますね。
加藤店長:そうですね。あまりかしこまらず、若い方にも気軽に日本酒を楽しんでいただけたらな、というのが我々の願いです。
【純米酒マメ知識その8】
日本酒初心者は「日本酒度」をチェックすべし
日本酒は大人向け、というイメージがありましたが、すっかりイメージを塗り替えられてしまいましたね。なにより、ネーミングやラベルデザインもおしゃれなものが多い!
「獺祭」のブーム以降、国内でもにわかに盛り上がっていた日本酒ですが、今後も若い才能によって更に盛り上げられていくのではないでしょうか?
最後に、加藤店長のお話をもとに、今回ご紹介した純米酒の分布図を作成いたしました!
ちなみに、「Te-hajime(テハジメ)」はかなり独特な銘柄なのでこのポジションマップに入れるのが難しい。とのことでした。
純米酒初心者の方も、この表を参考にお気に入りの純米酒を見つけてみましょう♪
まとめ
【マメ知識その1】使ったお米の名前が反映される銘柄がある
【マメ知識その2】人気銘柄から派生する物もある
【マメ知識その3】後味スッキリの甘口純米酒もある
【マメ知識その4】「甘い×甘い」が「旨味」を引き出す
【マメ知識その5】「酒を売る犬」と「酒を造る猫」は実在する
【マメ知識その6】スイーツに合う純米酒もある
【マメ知識その7】酒器で味や香りが変わる
【マメ知識その8】日本酒初心者は「日本酒度」をチェックすべし
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
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著者・SPECIAL THANKS
今井辰実(ハンサム今井)
新宿ゴールデン街の元バーテンダー。
お酒と海外小説が好き。
編集/ヒャクマンボルト
撮影/ポメラニアン高橋