退去時の敷金 通常使用なら「全額返還」が原則
賃貸住宅の退去時の敷金返還を巡るトラブルは少なくない。普通に暮らすうえで避けられないキズや汚れまで、入居者負担で修繕しようとする家主や不動産業者がいるからだ。敷金返還の原則を知っていれば、余分な費用負担を避けられるだろう。
◇ ◇ ◇
賃貸住宅の敷金や原状回復をめぐるトラブルは国民生活センターに寄せられるものだけで年間1万件を超える。その内容について、敷金トラブルに詳しい行政書士の永井恒司氏は「高額なクロス(壁紙)の貼り替え費用などを請求する不動産業者や家主が少なくありません」と話す。
本来、クロスに限らず通常の使用によるキズや汚れなどの修繕費用は月々の家賃に含まれているため、敷金から引かれることはない。ところが、この原則を知らなかったばかりに泣き寝入りしてしまう入居者がいるというのだ。
では、どのようなキズや汚れなら通常使用とされるのか。国土交通省が公表しているガイドラインを見てみよう。
例えば壁に画びょうで貼っていたポスターをはがすと、日焼け跡や画びょうの穴が残る。これは通常使用の範囲内。冷蔵庫の後ろの壁が黒ずむ「電気焼け」も同じ。いずれも修繕費用は家主負担だ。一方、手入れをせずに放置した台所の油汚れ、子どもの落書きなどは入居者負担になる。
ただし、入居者に落ち度がある汚れも、貼り替え費用の一部は家主が負担しなければならない。内装は通常の使用と日差しなどによる経年劣化で年々価値が下がっていく。いわゆる減価償却だ。ガイドラインによると、クロスやカーペットなどは貼り替えてから6年で価値がほぼゼロになる(図のaの線)。この分は入居者には責任がない。
入居者が負担するのは過失によって余計に価値を下げた場合だ(同bの線)。つまり、aとbの差額のみ負担すればいい。永井氏は「クロスの貼り替え費用を100%入居者負担にして敷金から差し引くのは、裁判所の判例やガイドラインなどのルールに反します」と強調する。
この記事が気に入ったらいいね!しよう
NIKKEI STYLEの最新記事をお届けします
- 通販返品、入場券… コンビニ、より暮らしに密着
- コンビニなら 住民票や証明書、休日でも安く入手
- 家具の配置、アプリで確認 購入前にシミュレーション
- メガ金利の48倍、懸賞総額5億円… 一芸銀行を探せ
- 「得々家計」 記事一覧はこちら
マネー研究所新着記事
Daily Ranking- By マネー研究所 -
-
1
身近なマネー研究
世帯年収900万円夫婦の子育て 何人までなら大丈夫?
-
2
身近なマネー研究
賃貸か購入か、どっちが得? 900万円夫婦の住まい
-
3
得々家計
退去時の敷金 通常使用なら「全額返還」が原則
-
4
マネートレンド
遺言は自筆より「公正証書」で もめない内容かも大事
-
5
日経マネー 特集セレクト
候補銘柄が1カ月で急騰 次の「10倍株」はこれだ
-
6
投信調査隊
少額分散投資だけじゃない 一歩進んだETF活用法
-
7
ポイント賢者への道
クレジットカードは定期的に見直し 新年度が狙い目
-
8
マネー
子どもの教育、あきらめない 奨学金の最新事情
-
9
大富豪が実践しているお金の…
お金持ちのお店選び 「行きつけの和食」が定番の理由
-
10
ポイント賢者への道
カード選びは「還元率」に注目 魅力のリターン
マネー研究所の最新情報をお届け
keyword
- アート&レビュー
- 家計
- くらし&ハウス
- 株式・投信
- フード・レストラン
- 外貨投資
- 旅行・レジャー
- 不動産・住宅ローン
- 健康・医療
- 保険
- 女性
- 年金・老後
- 趣味・ガジェット
- 相続・税金
- 働き方・学び方
- マネーコラム
- ライフコラム