誘発された雪崩が別の班の9人も襲っていた
業務上過失致死傷容疑の適用を視野
栃木県那須町で27日、春山登山訓練をしていた高校生と引率教員計48人が雪崩に巻き込まれた事故で、最初に発生した大きな雪崩が先頭の第1班14人(大田原高)を襲い、これに誘発された小規模な雪崩が、少し北側に離れた斜面にいた第2班9人(真岡(もおか)高)を巻き込んだとみられることが、引率教員の説明でわかった。
第1班は雪に埋まり、生徒7人と教員1人が死亡。第2班はほぼ全員が自力で脱出できたが、雪崩の規模によっては、危うく被害が拡大しかねない状況だった。
訓練は、県高校体育連盟が主催する「春山安全登山講習会」の一環で実施。当初は那須ファミリースキー場付近から茶臼岳(1915メートル)に登る予定だったが、積雪のため、ゲレンデ周辺の林で雪をかき分けて進むラッセルの訓練に変更され、教員を含めて5班計55人が参加した。雪崩は訓練開始30分後の午前8時半頃、ゲレンデ先の国有林にいた第1班の上方約200メートルから雪の塊が押し寄せてきたとみられる。
29日に記者会見した講習会の現場責任者、猪瀬修一・大田原高教諭(50)の説明によると、第1班を襲った雪崩から派生した別の小さな雪崩があり、第1班から見て斜面北側にいた第2班が巻き込まれた。生徒らは雪で流され、一時的に誰がどこにいるのか分からない状態になった。間もなく全員の無事が確認されたが、第2班の引率教員は、第1班がより大きな雪崩に巻き込まれていたことを把握できなかったという。
一方、第1班は全員が雪に埋まったとみられ、東側に離れた林の中で休憩中だった第3班(那須清峰高、矢板東高)と第4班(宇都宮高、矢板中央高)の生徒らが第1班の救助に向かった。
引率教員らが事態を把握し、講習会の本部となっていたスキー場近くの旅館で待機していた猪瀬教諭に連絡できたのは、発生から約45分後。猪瀬教諭は午前9時20分頃に110番し、消防などが救助に向かったが、生徒らは電波発信器「ビーコン」を携行しておらず、第1班のメンバーは発見されるまでに3時間以上かかった。
猪瀬教諭は29日の記者会見で、ラッセル訓練の実施は、自分を含めて登山歴20年以上の教員3人で相談して決めたと説明。26日から那須町になだれ注意報が出ていて、スキー場内の別の場所は雪崩の危険があると認識していたが、今回の訓練を行った場所は「絶対に安全であると判断していた」などと説明した。
県警は30日に現場検証を行い、雪崩の規模など確認。業務上過失致死傷容疑の適用を視野に、訓練を実施した判断が適切だったか、経緯を捜査している。