熊本地震で崩落した巨石によって全壊した大津町の「瀬田神社(神宮)」の社殿が完成し、26日、氏子ら瀬田地区住民が落成を祝った。巨石は撤去せず、「降臨した神様」として祭った。
熊本地震で崖から崩落した巨石(中央)と落成した瀬田神社の社殿=大津町
同神社は1570年ごろの創建と伝わる。昨年4月の熊本地震で社殿横の崖から高さ約4メートル、周囲約18メートルの巨石が崩落し、社殿を直撃した。ご神体2体と守り神2体は奇跡的に無傷だった。
巨石の撤去を検討したが、震災の記憶として後世に語り継ごうと、そのまま残すことにした。新社殿は木造平屋造りで、倒壊した社殿の梁[はり]や飾りの一部を再利用した。
同日は住民ら約100人が出席。神事の後、勇壮な神楽の舞が花を添えた。
合志通夫区長(67)は「神社は生活の中心で、無くてはならない存在。住民の念願だった早期再建を果たせて大変うれしい。祭った巨石で震災の怖さを後世に伝えたい」と目を細めた。(横山千尋)
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