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<雪崩>高校生ら8人死亡40人負傷 犠牲者、先頭班に集中

毎日新聞 3/27(月) 21:06配信

 栃木県那須町の那須温泉ファミリースキー場で27日朝に発生した雪崩事故で、県警によると、県内7高校から「春山登山」の講習に参加して巻き込まれた県立大田原高(大田原市)の男子生徒7人と男性教諭1人の計8人が死亡した。骨盤骨折などで自力歩行できない生徒7人を含む負傷者計40人も病院で治療を受けている。当時、スキー場一帯には前日からなだれ注意報が継続中で、48人は雪中を歩く訓練中だった。県警は、業務上過失致死傷容疑での立件を視野に捜査を始めた。

【救助され、下山する高校生たち】

 県警によると、8人の死因はうち6人が圧死で、2人が外傷性窒息死だった。スポーツ庁は今回の事故を受け、全国の都道府県教委に対し、高校生らに冬山登山を原則実施しない指導を各校に行うよう緊急通知した。同庁は昨年11月にも同様の通知を出している。

 訓練は県高校体育連盟が25~27日の2泊3日の日程で主催した春山登山講習で、大田原▽矢板中央(矢板市)▽矢板東(同市)▽宇都宮(宇都宮市)▽真岡(真岡市)▽真岡女子(同市)▽那須清峰(那須塩原市)--の山岳部などに所属する1、2年生や引率教諭ら計62人(生徒51人、教員11人)が参加した。

 訓練最終日の27日は悪天候のため、予定の茶臼岳(1915メートル)登山の中止を教諭らが決定。深雪をかき分けて進む「ラッセル」と呼ばれる雪中歩行の訓練を同スキー場で行うことにし、生徒ら48人が5班に分かれて参加していた。雪崩は訓練開始から約30分後の午前8時半ごろに起きたとみられ、亡くなった生徒はラッセルの先頭にいた大田原高に集中。雪崩は同校生徒らの「1班」を直撃したらしい。

 県などによると、同スキー場は20日に今季の営業を終え、新雪を固める圧雪作業は行われていなかった。現場一帯は前日から雪が降り続いており、古い雪面に積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」が起きた可能性が高い。雪崩はゲレンデ付近の標高約1300メートルにある樹林の斜面で発生し、長さ100メートルから200メートルにわたって滑り落ちた。

 宇都宮地方気象台などによると、栃木県北部では26日から降雪が続き、27日午前10時に那須高原で34センチの積雪を観測。26日午前から同スキー場のある県北部になだれや大雪注意報が出されていた。【田中友梨、野口麗子】

 ◇亡くなられた方々

 【大田原高生徒】

 高瀬淳生さん(16)=矢板市▽浅井譲さん(17)=那須塩原市▽佐藤宏祐さん(16)=大田原市▽奥公輝さん(16)=さくら市▽萩原秀知さん(16)=高根沢町▽大金実さん(17)=那須塩原市▽鏑木悠輔さん(17)=那須町

 【大田原高教諭】

 毛塚優甫さん(29)=大田原市

最終更新:3/28(火) 0:55

毎日新聞

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