いじめのために子どもが自殺するというニュースが報道されるたび、親として本当に心が痛みます。
また自分の子どももいじめに遭うかもしれないと想像すると不安でいっぱいにもなります。
他にも
・学校の先生までも子どものいじめに加担していた
・学校側がいじめの調査内容を隠ぺいする
といった非人道的な大人の対応も報道されています。
このようなニュースを見ると、もし子どもがいじめにあったら一体誰にどのような形で相談すればいいのか更に心配になります。
ここでは
・子どもの「いじめ」について知識を深める
・子どもがいじめにあう前に親としてできること
・もし子どもがいじめにあったら
という3つの点についてお話します。
いじめの定義
文部科学省の提示している定義は
「いじめ」とは当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
となっています。
また解説として、
・いじめられた児童生徒の気持ちを重視すること
・仲間はずれや集団による無視などの心理的な圧迫もいじめに含む
とされています。
物理的な攻撃は暴力だけでなく、金品をたかられたり、隠されることも含まれています。
喧嘩はいじめには含まれていません。
いじめの原因
子どものいじめが起こる原因として以下のものがあげられます。
・自分と違う人を排除しようとする
・心の安定を保つ
・自分がいじめられないため
・遊びの延長
・暴力のある家庭で育った
というものです。
昔のいじめと今のいじめの違い
昔は特定の決まった子どもがいじめにあうというケースが多かったです。
しかし今のいじめは、いじめる人間といじめられる人間が流動的に入れ替わるというのが大きな特徴です。
そのため国立教育政策研究所生徒指導研究センターの調査で仲間はずれ、無視、陰口の被害にあったことのある子どもは90%、逆に加害者になった経験がある子どもは89%という結果がでました。
また別の調査でいじめが続いた期間を調べたところ、半年以上継続するいじめは半分以下であり、いじめの被害者、加害者が頻回に入れ替わっているということが分かりました。
そのため今のこどもは「いじめられやすいタイプ」など関係なく、どの子どもも被害者にも加害者にもなる可能性が高いのです。
こちらの本では今の学校教育や教師の問題点などについても詳しくかかれています。
いじめに対する親としての心得
よく「いじめをなくそう」というキャッチフレーズなどが使われますが、現実的ではありません。
なぜなら子どもは発達過程の存在だからです。
今、物事の善悪を学んでいる最中です。
大人になるまで一度も人を傷つけたり、傷つけられたりしたことのない人などいないと思います。
大人になった今、言って良いこと悪いことが判断できるのは、実際にひどいことを言われたり、逆にひどいことを言って相手を泣かせたり怒らせてしまった経験があるからではないでしょうか。
子どもも今その過程にいます。
ですから遊びがエスカレートしていじめに発展してしまったり、むしゃくしゃして友達にひどいことをしてしまうことがあるのです。
そういった視点からも、加減や物事の善悪を学んでいる最中の子どもに対して、いじめをなくそうと考える方が無謀なのです。
そのため「いじめを撲滅する」という発想ではなく、いじめは起こるものだと認識した上で、その早期発見と早期対応が必要となってきます。
親だからできる事前の教育
いじめの対応として大切なのは早期発見です。
ただいじめはいじめられている子ども自身も
・いじめられているという事実を受け入れたくない
・いじめっ子からの報復が怖い
・親に心配をかけたくない、親を傷つけたくない
という思いから隠そうとします。
そのため、いじめが起こる前からに日常的なコミュニケーションの中でいじめに関する教育をしておく必要があるのです。
普段から学校の話をよく聞く
普段から子どもの話には耳を傾けるようにしましょう。
・なんという名前の子と仲が良いのか。
・普段何をして遊んでいるのか。
など普段から会話を沢山することで、子どもが何でも話せる関係性を築いておきましょう。
子どもに安心感を与えておく
「もしいじめにあったら絶対に守ってあげるからね」というメッセージを普段から伝えておきましょう。
また子どもは自分の世界がすべてであると思っています。
なのでいじめに遭っても、そこから抜け出す術を知りません。
普段から「いじめに遭った場合は、転校することも出来るんだよ」「別に学校なんて行かなくてもいいんだよ」と逃げ道があることも伝えておきましょう。
「学校にいかなくてもいいなんて、良いわけないだろ」と思われるかもしれませんが、学校生活が充実していれば「親に学校に行かなくていいと言われたから学校に行かない」なんて言いません。
大事なのは「逃げ道がある」ということを事前に教えておいてあげることです。
そうすることで報復に対する恐怖心は抑えることができるので、もしいじめられた場合も親に打ち明けやすくなります。
他にも子どものためのホットラインがあることも伝えておきましょう。
子ども自身の対処の手段が広がります。
また子ども人権110番なら子どもだけでなく、いじめを受けた子どもの親も対象となっています。
子どもの自尊心を高めておく
「いじめ」という行為は、被害者に人としての自信を奪い、助けを求める気力さえ奪う力があります。
特に暴力は「あんたはクズだ」「価値のない人間だ」というメッセージとして相手に伝わります。
なので相手の自尊心を大きく傷つけます。
そして自尊心の傷ついた人間は不当な暴力に対して「殴られるのは私が悪いからだ」といじめの原因を自分に向けてしまうようになります。
結果、助けを求めることもできなくなるのです。
そのため親として出来ることは、普段から親の愛情をいっぱいそそぐことです。
普段の関わりのなかで「あなたは大切にされるべき存在なんだ」というメッセージをいっぱい伝えましょう。
そうすることで、いじめにあった時に「いじめにあうのは自分に原因がある」という誤った解釈をすることを防ぐことに繋がります。
いじめは犯罪だということをしっかり教えておく
「いじめ」というと子どもの世界の一時的な出来事という風に受け取る人もいるかもしれません。
しかしいじめの行為は、どれも列記とした犯罪である場合がほとんどです。
押す、殴る、蹴るの暴力⇒暴行罪
暴行によりケガをした⇒傷害罪
金銭や私物を奪う⇒恐喝罪
悪口などを言いふらす⇒名誉棄損罪
「そんなことして良いと思ってんのか」と脅す⇒脅迫罪
倉庫などに閉じ込める⇒監禁罪
私物を壊す、捨てる⇒器物損害罪
そのことを普段から教えておくことで、いじめという行為がどれほど卑劣なことなのかということを伝えておきましょう。
自分の子どもが加害者になりそうな時の抑止にもなりますし、被害に遭った場合も「遊びの延長だから」と自分の中でいじめ行為の正当化をすることを防止できます。
子どものいじめのサイン
前述でも説明しましたが、子どもは親にいじめにあっていることを隠そうとします。
そのため家では明るく振る舞ったり、イタズラされた私物を隠そうとします。
なので家族が子どものいじめに気付くことは容易なことではありません。
ここでいじめられている時のサインをあらかじめ知っているということが重要になります。
いじめのサインと知っていることで、ちょっとした出来事から「もしや」と気づくことが出来るからです。
こどものいじめのサインは以下のようになっています。
・食欲が減る。体重が減る
・体調不良を訴えることが多くなる
・ケガやあざが増える⇒肌の露出を避け隠している場合もあります。
・感情の起伏が激しくなる
・外見を気にしなくなる
・電話の着信音に敏感になる
・衣服や持ち物の汚れが目立つ
・持ち物をよくなくす
・何度もお小遣いの要求をするようになる
・家のお金を黙って持っていくようになる
・放課後、休日家にこもりがちになる
・学校の話を避けるようになる
・いつも聞いていた友達の話が出てこなくなる
・成績が下がる
これらのサインは一例にすぎません。
もし今までと違うと感じた場合は、一度子どもとしっかり話し合う時間を作りましょう。
子どものいじめに気付いたら
もし子どものいじめに気付いたら、まずは子どもの話をしっかりと聞きましょう。
この時に親が感情的になると、子どもも話がしにくくなります。
冷静に対応し子どもが言葉に詰まっても、子どもが自分の言葉で話してくれるまで待ちましょう。
間違っても問いただすようなことは避けましょう。
また子どもが話をしてくれたら「話してくれてありがとう。あなたは何も悪くないんだよ。」と声をかけてあげましょう。
「いじめられる自分にも問題があったんじゃないの?」とか「そんなことする奴は放っておけばいいんだよ。」という言葉は絶対に言ってはいけません。
いじめられたことで、本人の自尊心は大きく傷ついています。
「あなたにも原因がある」という言葉は、その傷をさらにえぐるようなものですし、子どもからすると自分の親がいじめを肯定しているともとれる発言です。
またいじめられても気にするなという発言も、子どもからすると親身になってもらえていないと感じます。
どちらの発言も親に対して不信感を抱いてしまい、子どもがSOSを出すことを諦めてしまいます。
なので子どもの話を否定することなく、全面的に受け入れる姿勢が大切です。
またその後の対応についても子どもの意思を尊重しましょう。
・学校に相談する
・加害者の親に連絡する
等の判断は子どもと一緒に相談しながら進めましょう。
子どもの気持ちを確認せず親が勝手に学校に相談などをすることで、さらに問題がこじれる場合があります。
親が一人で判断して行動するこということは避けましょう。
いじめにあっている本人からすると学校にいくことはとても恐怖です。
いじめがかなりエスカレートしている場合は命の危険性さえあります。
なので「学校に行かない」という手段をとる必要がある場合もあります。
しかし子どもからすると「学校はいかなくてはならない」と認識しており、なかなか自分から休むという判断をするのが難しいものです。
そのため親から「学校休んで良いよ。どうする?」と聞いてあげましょう。
学校に話を聞きに行くときのポイント
いじめが発覚し学校に相談に行く際に以下のことに注意しましょう。
また子ども自身が信頼している先生がいる場合は、その先生に一番に相談してみるといいでしょう。
またいじめに対する怒りの矛先を学校に向けてはいけません。
感情的になることで学校側の話が冷静に聞けなくなりますし、学校も責任を追及されていると感じることで事実を隠そうとしてくる可能性が出てきます。
感情的な問い詰めはいじめという問題を解決する上でマイナスとなります。
問題解決する上で大切なのは、全員が同じゴールを目指しているという状態です。
なので親と学校が一緒になっていじめを解決するという姿勢が大切になります。
そのためにも感情的になり学校に責任を追及するのではなく、冷静に問題解決に向けて相談をするという姿勢を心掛けるようにしましょう。
解決が難しいいじめは弁護士に相談しよう
もし学校側の対応に不信感を感じたり、加害者の親が不誠実だった場合は弁護士に相談するというのも重要です。
「弁護士」というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、弁護士に入ってもらうことで今まで困難だった問題がスムーズに解決される場合があります。
ここでは「ママ弁護士の子どもを守る相談室」という本を参考に解説します。
この本は著者である弁護士の浮田氏が、いじめ問題で弁護士が登場するのは子どもが大けがをしたなど事体が深刻になってということに虚しさを感じ、事態が深刻化するもっと早い段階で弁護士を頼って欲しいという思いから書かれています。
私もこの本を読むまでは「いじめで弁護士に相談する」など想像もしたことがなかったのですが、この本を通して弁護士はいじめの問題解決にとても重要な役割を果たしてくれるんだということを知りました。
例えば、親から学校にいじめの調査依頼をしても、きちんと対応をしてくれないという場合、弁護士からいじめの調査依頼をしてもらうことで、学校も調査をしっかりしてくれ不正行為なども抑止することができます。
またいじめの加害者も親も全く反省をしていないのであれば、弁護士から警告書や慰謝料の請求書を出してもらうということもできます。
加害者親子に慰謝料や警告書などを出したら、余計いじめられるんじゃないかと思われるかもしれません。
しかし実際に警告書などが送られてくると子ども自身も「大変なことをしてしまったんだ」ということに気付き、多くのケースでいじめがなくなると書かれていました。
いじめの内容がかなり悪質で、警察に行ったがあまり取り合ってもらえない場合もあります。
そのような場合も弁護士が入ることで対応が変わります。
これらのような対応が可能となるため、家族や学校だけでは解決できそうにないと感じたら弁護士に相談するという手段があることも知っておきましょう。
まとめ
今の子ども達は誰もがいじめにあうリスクを抱えています。
子どもの世界ではいじめは起こりうるものだと認識した上で、大人達が早期発見、早期対応していくことが重要となります。
普段から子どもが親に相談しやすい雰囲気を作り、また子どものいじめのサインに気付けるように注意しておきましょう。
いじめに気付いた場合は学校と一緒に解決するという姿勢を忘れずにしましょう。
解決が困難な場合は弁護士に相談するという手段も知っておきましょう。