「証拠能力認めず」男性に無罪判決 大阪地裁
覚せい剤取締法違反(使用)の罪に問われた大阪府豊中市の男性(55)の判決公判で、大阪地裁は24日、無罪(求刑・懲役2年)を言い渡した。職務質問中だった大阪府警の警察官が逃走を図ろうとした男性に対し、強制捜査が可能な令状がないまま投げ飛ばすなどして取り押さえており、飯島健太郎裁判長は「任意捜査の範囲を超えた逮捕行為で違法。その過程で採取された尿に証拠能力は認められない」と述べた。
男性は昨年6月、大阪市生野区の店舗で覚醒剤を使用したとして起訴された。
判決によると、男性は昨年6月16日未明、大阪市北区の路上で、府警曽根崎署員らから職務質問された。署員は任意の採尿を求めたが男性は拒否。男性は「心臓が悪い」と話したため、病院に搬送された。府警は強制採尿のため捜索差し押さえ令状の請求手続きを始めた。
だが、男性が急に病院の外に走り出したため、署員のうちの一人が男性を投げ飛ばしたり、首をつかんだりして取り押さえた。この段階で令状は現場に届いていなかった。男性はその後、令状に基づき採尿を受け、覚醒剤反応が出たため逮捕された。
飯島裁判長は「逃走防止の必要性は高く、一定程度の有形力の行使は許容される」と指摘したが、「警察官の行為は任意捜査の範囲を超え、令状主義の精神を没却する重大な違法があった」と判断した。【向畑泰司】