毎シーズン5万人の行楽客を集めてきた浜名湖の潮干狩りが2年連続で中止となることが明らかになった17日、地元観光関係者は「浜名湖の潮干狩りが忘れられてしまう」と危機感をにじませた。アサリは全国的に減少傾向が続き、漁業者も資源回復が見通せない現状に不安を抱く。「アサリを守るため、できることから始めたい」。関係者は苦境の中でも潮干狩り復活への思いを新たにした。
「残念だが、『浜名湖といえば潮干狩り』とのイメージは薄まりつつあるのでは」。潮干狩り場に近い、弁天島(浜松市西区舞阪町)のファミリーホテル「開春楼」の前田陽介統括部長(36)は、ここ5年で3度目の中止となった潮干狩りの知名度低下を懸念する。県外の潮干狩り客がホテルを利用するケースも多かっただけに、「復活してほしい」と期待した。
舞阪町観光協会の渭原庸雄会長が支配人を務めるホテル「ジ・オーシャン」でも、潮干狩りが中止になった年はシーズン中の大浴場の利用が約9割減になった。昼食の利用や宿泊客も減少した。渭原会長は「一番の観光資源。潮干狩りがなくなれば、浜名湖が忘れられてしまう気がする」と危惧する。
同協会は潮干狩り場への渡船乗り場がある弁天島海浜公園について、道の駅のような地域の観光拠点として整備するよう県や市に提案している。美しい景観や豊富な水産資源など浜名湖本来の魅力を高め、「潮干狩りなどのイベントだけに頼らず、常に観光客が訪れる場所にしたい」(渭原会長)という。
漁業者らの悩みも深刻だ。アサリ漁師の男性(65)は「アサリが全然いない。(初めて中止になった)4年前よりひどい」と肩を落とす。潮干狩りの中止を決めた浜名漁協弁天島遊船組合の間瀬泰成組合長は「組合員も不安でいっぱい」と表情を曇らせ、「これで終わりではない。アサリ復活へ努力を続ける」と言葉に力を込めた。
静岡新聞社
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