製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」をめぐる論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(誇大広告)罪に問われた元社員白橋伸雄被告(66)の判決が16日、東京地裁であった。
辻川靖夫裁判長は白橋被告による改ざんを認定したが、「論文は広告に当たらない」と判断し、無罪(求刑懲役2年6月)を言い渡した。法人としての同社も無罪(求刑罰金400万円)とした。
白橋被告は京都府立医科大の医師らが実施したディオバンの臨床研究で、データの統計解析を担当。同社に有利に改ざんしたデータを医師に提供し、2011、12年に論文を発表させたとして起訴された。
弁護側は「意図的な改ざんをした事実はない」と無罪を主張したが、辻川裁判長は、白橋被告がデータの管理を一手に担っていたことから、医師ら第三者による改ざんを否定。「被告が意図的にデータを改ざんしたと推認できる」と述べた。
その上で、白橋被告が渡したデータを基に医師が論文を作成し、学術雑誌に投稿した行為が誇大広告に当たるかを検討。「研究成果の発表であり、購入意欲を喚起させる手段とは言い難い」と判断し、被告の行為は罪にならないと結論付けた。
ディオバンの臨床試験は府立医大のほか4大学で実施されたが、データ改ざんが発覚し、同大などの論文は撤回された。14年に厚生労働省が刑事告発していた。
厚労省は「引き続き臨床研究と製薬企業の活動の適正性確保に努めたい」との談話を発表した。
落合義和東京地検次席検事の話 主張が認められなかったことは遺憾。判決内容を十分検討して適切に対処したい。
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